五葉山(ごようざん)・深秋

2003.11.28

岩手県大船渡市・釜石市と気仙郡住田町との境界に位置する。
標高1351m。
山頂部は北上山地南部にあり、太平洋岸、つまり三陸海岸にも比較的近いので、好天なれば山田湾から牡鹿半島にかけてのリアス式海岸の景観も期待できる。
山名については、林産資源が豊富であったことから、藩政時代、伊達藩の支配地となって、「御用山」と呼ばれており、それが後にゴヨウマツのこともあって、「五葉山」になったといういわれがある。
太平洋に近く暖流の影響を受け、豊富な樹林帯を擁していたわけだ。
なお、山地全体としては周氷河作用を受けているといわれている。
また、ホンジュウジカ、ツキノワグマ、ニホンカモシカ、サル等の野生動物も多い。
「五葉山県立自然公園」に属する。
登山道が四方からあるので、読図しながらの登山行動を心がけられたい。
(地形図1:25000「五葉山」、撮影は11月)

JR大船渡線「盛」駅の高架橋より見た大船渡市盛町地区と五葉山方面。
山頂部は、平坦な準平原の様相を示している。
山麓(約200m)の黄葉はまだ落葉していなかったが、上部の落葉樹は既に落葉してしまっていた。
山頂部を望む。
すぐ傍には、シカの侵入食害を防ぐための防御金網が広範囲に張りめぐらされていた。
赤坂峠(712m)の登山口。
鳥居の左より入山する。
所によっては、分厚い落葉を踏んで歩くことになるが、垂幕にあるように登山行動で最も注意すべきこと、恐怖の対象は“山火事”であることを肝に銘じたい。
なお、登山翌日の地元新聞には、県中央のJRローカル線では、大量の落葉のため車輪が滑りやすくなり、減速運転をしたことが報じられていた。
大船渡市内の日頃市町方面を見下したところ。
盛川の上流の谷で、谷の中央ではダムが建設されていた。
遠方の稜線は標高約800m前後、黄葉の進んだ広がりが眼に焼きついた。
登山者の多いことを示す幅広の登山道を歩き始め、900mを越えると「賽の河原」の裸地に出会う。
カラマツも凹地以外では丈も低くなり矮小化しており、この写真の場合、左(北西)から冬季の季節風のため、樹木の先端や枝が右(南東)へ靡いているのがわかる。
やがて「畳石」と呼ばれる小平地があり、花崗岩の礫や岩塊が散在している。
これは縦、横、高さが1.5m、5m、1m位の巨岩で名の由来と思われる。
「五合目」付近には、ミヤコザサの中、ミズナラ(ブナ科)の純林が広がっている。
結構太い主幹なのに冬季の厳しいモンスーンのため傾斜していることが、今落葉しているだけに一目瞭然である。
全体として、コメツガ、アスナロ、キタゴヨウ、ヒノキ等の有用材の樹種が豊富だ。
標高1300m地点に近づくと、立派な避難小屋(「しやくなげ荘」)の屋根も見えてきた。
ツツジ、ミネカエデ、シナノキ等の低木帯を抜けると、シヤクナゲやハイマツが現れており、ダケカンバは冬の低温と降雪、強風のため、複雑に萎縮した姿態を示している。
一等三角点(1341.3m)の傍に、山名を記したコンクリートの標識がある。
展望は頗る良い。
北西方向を眺望したもので、大開山(1139m)、大角牛山(1294m)等の南部北上山地の向こうは早池峰山(1917m)である。
三角点の東方に「日の出岩」と呼ばれる花崗岩の尖った岩塔が見られる。
付近には、ヒノキアスナロ(ヒバ)の変型した樹相が見られ、自然の庭園風の雰囲気もある。