終戦80年のこの夏、祖父と孫が伝える平和への祈りを絵画展で。.

   

  日本が戦後80年を迎えるこの夏、さぬき市細川林谷記念館で、シベリア抑留生活を経て帰国した祖父と、その祖父の話を聞きながらシベリア抑留をテーマに絵に描き留めてきた孫の二人展が開催されています。

『故・川田一一と孫 千田豊実の二人展「戦後80年 記憶のしらべ~後世に伝える平和への祈り~」』

会場には川田一一(かずいち)さんの作品が18点、川田さんの孫にあたる千田豊実さんの作品が7点の計25点が展示されています。

(川田一一さんの作品『歓喜舞鶴1』)

川田さんは終戦後、捕虜となり20〜23歳までの3年間シベリア抑留生活を体験。1948年に帰国されたものの、過酷な抑留の様子を家族に伝えることはなかったそう。70歳で肺を悪くされたことをきっかけに、帰国が叶わなかった仲間たちのことを忘れないためにもその当時の様子を伝えなければと筆を取り、絵を描き始めました。

(千田豊実さんの作品『祖父と蛍』)

当時中学生だった千田さんは、お祖父さまから「シベリア抑留」についても描いてみないか?と言われたことをきっかけに、絵のシリーズのひとつとして『シベリアシリーズ』を描き始め、現在もそれは続いています。

(川田一一さんの作品『抑留』)

会場の展示は第一章から第三章に分かれており、第一章では過酷な抑留生活の様子を垣間見ることができます。特にシベリアの三重苦とも言える「飢え・極寒・強制労働』の様子は、真実であって欲しくないと思うほどの風景。

渡り鳥を見送る絵は3枚あり、ある季節になると日本の方向へと向かって飛んでいく彼らの姿は抑留者であった川田さんやその仲間たちにとって希望の光でもあったことが伺えます。

(千田豊実さんの新作『シベリアの月』)

第三章では『祖父の想いを繋ぐ』と題し、千田さんが今年描かれた新作2点などを展示。

『シベリアの月』は、川田さんと同じくシベリアでの抑留生活を体験された蓮井秀義さんの短歌「シベリアの月」からインスピレーションをうけて描いた作品。収容所の窓から有刺鉄線越しに原生林と月を眺めている目線から当時の若者たちの気持ちが汲み取れます。

これまでにも祖父と孫の二人展を開催してこられた千田さん。

戦後80年の今、思うことは…

(美術作家 千田豊実さん)

「祖父が元気だった頃に比べてどんどん戦争を体験した方が少なくなって、伝えていく次の世代を作ることが課題だと思っています。祖父が、子どもには話せなかったけど孫の自分には話せたという事実を大切に、次の世代に繋げていけるよう、シベリアシリーズをこれからも描き続けていこうと思っています。」

あまりにも過酷で悲惨すぎる当時のこと。

想像ができないほどに時は進んでしまいましたが、そのかけらを目にすることで何かを学ぼうとしたり話を聞いてくれると千田さん。

あなたもこの終戦記念の時期に二人展に訪れてみてはいかがでしょうか?

 

故・川田一一(かずいち)と孫 千田豊実の二人展

「戦後80年 記憶のしらべ~後世に伝える平和への祈り~」

開催期間/開催中〜8月17日(日)9:00〜17:00(最終日は16:00まで)

会場/さぬき市寒川町の「さぬき市細川林谷記念館」

休館日/月曜

入場料/無料

※8月10日(日)10時からはギャラリートークも行われます

詳しくはさぬき市のホームページで。

https://www.city.sanuki.kagawa.jp/wp-content/uploads/2025/07/r707rinkoku.pdf