小豆島霊場 やさしさの先達物語
香川県小豆島霊場第二番札所 碁石山(第八番常光寺奥の院)
内海湾を見下ろす山岳霊場
堂守 大林 慈空さん
慈空さんは自らの経験から、歩き遍路のすばらしさを伝えたいという思いから様々な歩き遍路行事を行い
霊場を共に歩いて案内してくれる先達さんとして、初心者お遍路さんを導きます。
お遍路の良さを伝えられる人でありさえすれば先達になれる
<大林慈空さん>
私はサラリーマンからお坊さんなりました。
島を知るために、自分で歩き遍路をしたところ、本当にすばらしい経験だったので
このすばらしさをみなさんに知ってもらいたくてガイドをしているだけなのです。
私も先達と呼ばれますが、歩き遍路の良さを伝えられる人であれば、
お経をちゃんと唱えることができ、参加する方々がケガしないように安全に道案内できる。
というスキルさえあれば誰でも先達になれると思っています。
慈空さんに聞く 妻 幸絵さんの先達物語
最初彼女は、私の案内しているお遍路行事の参加者だったのですが、その体験を通じて
妻も遍路の良さに目覚めていったということなのです。
二人とも島外出身で、お寺とは縁のないところからここにやってきたので
私と妻は、お寺という独特の文化に慣れていくための同志であり、
試行錯誤しながら共闘してきた関係なのです。
慈空さんの奥様であり先達である 幸絵さん
私は歩きたい
<大林幸絵さん>
最初は主人の歩き遍路行事のお手伝いをしていました。
お寺の奥さんとしてお寺で過ごす時間が次第に長くなり、お寺の外や島を見る時間もありませんでした。
お遍路で一日島を回ってみて初めて、いつもなら見えない景色が見え、小豆島にこんなところがあるのかと。
住んでいる私自身が島を全然知らないことに気づき、今まで以上にどんどん島が好きになったのです。
スタートラインはだれも同じ
服装、持ち物からも、何をしたらいいのかなど戸惑うのは皆さん同じ。
仕度で必要なものは、御貸しします。
初めは簡単にコースを説明し、お経は最初からいきなりではなく、
慈空さんに簡単経本を作ってもらって一緒に唱えることから始めました。
途中で休憩しても、景色を眺めてもいい、写真撮ってもいい、きれいなお花が咲いていたら
みんなで花を眺めてもいい。
ゆっくりとしたペースで歩くことができるコースを作りました。
すると参加した人の中から、普段全く運動しないけれど、この遍路ならみんなと歩けたという口コミが広がり、
今も続けています。
去年より今年どんどん好きになる島の魅力
私は島に来て10年になりますが、毎年どんどん島が好きになっています。
こんなに素敵な島の魅力をもっともっと知っていただく一つのアイテムとして歩き遍路があります。
小豆島霊場をすべて回ると、島のどの集落も一つとして抜かすことなく歩けます。
島は北と南では景色も、島の形も、海の色も、この小豆島から見える他の島も場所によって違うのです。
そんな歩き遍路の良さ知ってくれた参加者には
「今度はあなたたちがお友達や島外の方々と一緒になって歩けるようになっていってね」
と伝えています。
それがいつでも、今でも、いつかでも、構わない
私がお遍路を始めたのも40歳過ぎてからです。
何がきっかけで、何が縁でここに来ることになるかは、人それぞれ。
それがいつでも、今でも、いつかでも、構わない。
その思いをずっと持っていただければ、いつか、そのチャンスが来る。
直接お問い合わせする勇気がもてなくても、お手紙や、誰かに興味があると言葉にすることで繋がりるのではないかと思います。
私たちは、いつでもここにいます。
私たちはずっとここにいます。
どなたかがお越しになり声を発してくださったら、ここで受け止めることが私たちの役目だと思っています。
私たち自身もこのお寺とご縁があってここにいるからこそ、
皆さんが思いを伝えてみようとしてくださったときに、受け入れることができるようここにいます。
だからこそ、どんな形でもいいので、勇気をもって声に出してほしいと思っています。
幸絵さんの先達で島を歩いてみたい…です!
歩き遍路に興味ある人を迎入れる、『小豆島霊場・やさしさの先達物語』でした。