STORY 八十八

毎週日曜日9:00~9:15

それぞれの人や文化が持つ多様性。
未来のために今、それぞれの想いを受け入れるやさしさが、求められています。
古来よりうれしさや悲しみ、時にはその人の人生そのものを受け入れてきた四国お遍路には、
過去・現在、そして未来に続いているやさしさがあります。
これは、そのやさしさを探しに行く八十八という名の物語。

STORY 八十八

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毎週日曜日 9:00~9:15
提供 株式会社アイム

2022年03月06日放送分

出会い・導かれ、善通寺で僧侶になった人の物語

総本山善通寺

春を告げる行事・大会陽も終わり、お参りのお遍路さんの姿も増えてきました。

来年令和5年に弘法大師生誕1250年の行事が予定される善通寺で

一人のお坊さんに出会いました。

今回は出会い・導かれ、善通寺で僧侶になった人の物語です。

中嶋孝謙(なかしま こうけん)さん

善通寺で広報のお仕事をされています。

 

お坊さんとしてのお名前はどのように決まるのですか?

《中嶋さん》

「基本的にお師匠さんがいますので、お師匠さんからお坊さんになる前に

名前をいただくが一般的かと思います。

私もお師匠さんから『孝謙(こうけん)』という名前を頂きました。」

お坊さんとして善通寺に「お勤め」という形になるのですか?

《中嶋さん》

「法要があったり、月例のいろいろなお勤めがあったりしますので

それにはもちろん僧侶として、出ます。

それ以外の時間の中で「広報」のお仕事をしているというのが実情です。

平成26年から善通寺に奉職させていただいています。

中嶋さんが初めて善通寺にいらっしゃった時、

この大きな善通寺という「特別な場所」をどんな風にご覧になりましたか?

《中嶋さん》

「香川県には来た事はあったのですが

実は「善通寺」というところには、お坊さんになるため・修行をするために

初めて来たのです。

29歳。

30歳になるその年に初めて善通寺に来たのです。」

もともとご実家がお寺さんだったのですか?

《中嶋さん》

「実家がお寺ではなく、一般家庭です。

お父さんはサラリーマンでお母さんは主婦という

一般家庭の生まれです。

出身は福岡なのですが、

福岡で育って、大学までいって普通に就職もしてという「普通の人」です。

会社にお勤めさせていただいているときに、

リストラに遭い会社を辞めることになりました。

「次、何か仕事しないといけないが、どうしようか」と思っている時期に、

その前から出会っていたお坊さん(その後、師匠になる方)から

「善通寺というところで、お坊さんの修行をしてみないか?」と誘われました。

その時に時間もあり、次の仕事も決まっていなかったので、

「じゃあ、1年間修業させてもおう」と善通寺での修行が始まりました。

だから私は30歳になる年ですが、(自分とは10歳くらい下の人たち)

高校や大学を卒業されたばかりの人たちと一緒に修行を始めました。

一緒に修行した人たちは、実家が「お寺」であるという都合で

当然のようにお坊さんを志したという人が、圧倒的に多かったと思います。」

1年間善通寺で修行・勉強をして「僧門」に入られたのですね?

《中嶋さん》

「はい。『加行(けぎょう)』というのですが、真言宗ならではの

お坊さんになるための修行があります。

ここからが本当の修行「お坊さん」になるための修行を90日間。

「ザ・修行」。ぎゅっと濃密な修行です。

ご飯は精進料理という生活を約3カ月間、「お坊さんになる」という修行をします。

それができたら「お坊さん」になれますよという修行です。

 

ご縁があって「善通寺」に来られたのかなと本当に感じるところがあります。

例えば仕事を辞めてなければ、

いえ(その前から辿ると)

大学へ進学して、もしその仕事ではないところに就職していたら

たぶん「善通寺」に来ていないのです。

福岡で再就職しようと決断していたと思うのです。

たまたまその大学にいって卒業して、ご縁があった会社に勤めて

結果辞めることになるけれども・・・・

その後たまたま、「修行しませんか」ということになって

「善通寺」に・・・・・。

実は高野山や京都のお寺で修行することもあり得たのです。

その可能性がたくさんあった中で、

たまたま「善通寺」という場所にご縁があったのです。

師匠から「善通寺で修行してきなさい」と勧めがあり、

ここへ導かれる良いターニングポイントがたまたま

たくさんあっただけです。

今からもそんなターニングポイントがあればいいなと思います。」

その時その時で大変悩まれて、これはどうなってしまうのかと・・・」

戸惑いの中ですよね?

《中嶋さん》

「ありました。実はあまり学力も良くなくて大学へ行けるのかと

ずっと高校の時に思っていました。

大学卒業して、就職試験を受けてもなかなか受からなかった。

皆さんもそんな時期があると思うのですが、

そんな悩んでいた時に

いろいろな方からお声を掛けていただけたことが、

自分は本当に運がいいと思いました。」

人との出会いに恵まれたということですか?

《中嶋さん》

「それは本当に思います。

人生って、『これをやりたいな』と思う時が

皆さんにもあると思うのです。

しかしなかなかできないという時もあって、

でもその(やりたいこと)ではなく

ご縁がある方に声を掛けられて

それを一生懸命やったら

『良い人生になった』というのも面白いのかなと。

僕は基本的にはずっと「声を掛けられて」

そのことをやっている人生です。」

 

やはり、導かれていらっしゃったのではありませんか?

《中嶋さん》

「はい。有難いなって。

そういう感覚があります。不思議です。」

 

中嶋さんは「善通寺」の広報をされながら

実はあるお堂の堂守という大事なお役割もされていらっしゃるとか?

《中嶋さん》

「約3年前から、この善通寺の近くにある

『仙遊寺』というお寺が再建されました。

再建をしたときに、

お寺の堂守というお仕事も一緒にさせていただいています。

この仙遊寺はもともとお大師様が幼い頃、

遊ばれていたということが始まりといわれています。

仙遊寺があった場所は湿地帯だったみたいで

お大師様が泥遊びで仏様のお姿を作り

小さなお堂を作って手を合わせていたという

伝承が残っています。」

お参りするときに、「お願い事」をしても良いのでしょうか?

《中嶋さん》

「お願い事」をして頂いても良いですし

「日々の感謝」をしてもらっても良いと思います。

やはり、何かが作用して元気に生活できていると

僕は思っているのです。

それが神様なのか、仏様なのか

そのあたりは人それぞれだと思うのですが

やはり「感謝する」ことが大事だと思います。

「お願い事」をすれば「感謝」することも

大事なのではないかと、お坊さんになってから

思うようになりました。」

 

「感謝」のお参りに

仙遊寺に足を運んでみたいと思います。

 

お話は

総本山 善通寺 広報

稚児霊跡 仙遊寺 堂守 中嶋孝謙さんに伺いました。

この番組は、radikoでも お聴きいただけます

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