5月4日/坂出市・瀬居町 陸続きになる前の瀬居島.

坂出市の中心部から車で15分ほど。

番の州臨海工業団地の東、新緑に包まれた小さな山の麓にあるまち「坂出市瀬居町」。

今から57年前の1968年、埋め立てにより陸続きとなった、かつて離島だった「瀬居島」です。

瀬居島生まれ、瀬居島育ち、島のまちあるきイベントのガイドを務めるなど島の歴史に詳しい

大森岳司さんにお話お聞きしました。

 

西浦、北浦、本浦、竹浦という4つの地区がある瀬居島。

島の東側にある竹浦地区は平地が少なく、坂道だらけ。斜面に家が立ち並びます。

対岸には五色台や大槌島を臨む、かつて島だったことを感じさせる風景が広がっています。

 

子供の頃、漁師だったお父さんから島の歴史や昔話をよく聞いたという大森さん。

10年ほど前に定年退職後、時間ができたこともあり以前から興味があった島の歴史について調べることを始めました。

当時、瀬居島出身の郷土史家 中西修造さんら先輩方に色々教えてもらったという貴重な資料も見せていただきました。

 

「瀬居島」とお隣の「沙弥島」の名前の由来には、ある伝説が。。。

「三味線島」という名前の通り三味線の形をしていた島が大地震で頭の部分と胴の部分に分かれ、他の部分は水没し、この頭の部分が「三味島」、胴の部分が「線島」と呼ばれ、のちに沙弥島、瀬居島になったそう(諸説あり)

 

埋め立て前は瀬居島の周りには洲があり貝がたくさんとれたそうですが、大森さんがよく行っていたのは沙弥の洲や本島の園の洲、笠島の洲。

大森さん「はえなわ漁に使う餌になるムシがたくさんとれたんよ。瀬居の洲はムシが少なかったからな。」

瀬居の山から見ると、大潮の時は歩いていけるのでは?!というくらい沙弥の洲が目の前に広がっていたという風景は、今も目に焼き付いてるそうです。

 

大森さんが中学3年生の時、坂出市の聖通寺山から撮ったという写真を見せていただきました。

真ん中に見えるのが瀬居島。手前に始まったばかりの埋立地、奥に見えるのは岡山県です。

 

こちらは高校生になった大森さんが坂出〜瀬居島の定期船から撮った写真。

島の山肌がたくさん見えていますが、昔は8割ほどが畑で麦や芋をたくさん作っていたそうです。

 

当時は坂出〜岡山・児島を結ぶ定期船以外に、渡海船という島の人々の生活を支える船が出ていました(瀬居島の3つの地区から)

坂出までは当時のポンポン船で20分ほど。便はたくさんあったし、坂出の港を降りるとすぐ港町商店街、大黒町商店街、本町商店街があり不便さは全くなかったそう。

瀬居島が陸続きになったのは1968年(沙弥島は1967年)

社会人になりたてだった大森さんは自転車で通っていたそうですが、行きに通った道が帰りには無くなっていたりと毎日、景色が変わっていたそう。

生活から何からがガラッと変わった激動の時代でした。

 

漁師のまち「瀬居島」の秋祭りでは、瀬居八幡宮のお神輿を大漁旗を掲げた漁船で運ぶ「船渡御」が行われます。

陸続きになる前は全ての地区を船でまわって獅子舞を奉納し1日かけて島を一周していましたが、今は半分は台車に乗せて陸上を、半分は船で回るように。

 

秋祭りで太鼓を叩く大森さん。

昔は男性、男の子しか参加できませんでしたが子供の数が減ったことから女の子も太鼓持ちとして参加できるようになりました。

毎年、9月の最終土曜日曜に開催される「瀬居八幡宮秋祭り」には、島外にいる島出身者もたくさん帰ってきます。

大森さん「でも参加する人が減っているから50代までは若手、青年です(笑)途絶えることなく残していけるように、形を変えながら続けていってほしいと願っています。」

 

旧瀬居中学校の隣にある「瀬居八幡宮」

もうひとつ、島をあげて伝承しているのが民謡「塩飽お舟唄 おめでた」です。

豊臣秀吉が朝鮮出兵の際、大阪・堺の造船所で二隻の船を建造し、その進水祝いに塩飽諸島出身の船大工が歌ったのが始まりとされています。

他の塩飽諸島でも歌われていたはずですが現在、残っているのは瀬居島だけとのこと。

船の進水式や家を新築した際、結婚式、子供が生まれた時など、お祝いの時に親戚、近所の人たちが集まって家で歌うのが恒例でした。

 

「瀬居八幡宮」の隣にある「塩飽お舟唄」の石碑。

「瀬戸内国際芸術祭2025」春会期 瀬戸大橋エリアの会場になっている瀬居島。

そのオープニングイベントで、塩飽お舟唄が披露されました。

塩飽お舟唄保存会のメンバーでもある大森さんは「たくさんの人の前で歌うのは緊張したけど楽しかった。瀬居島では初めての瀬戸芸。たくさんの人に瀬居島の良さを感じてほしいですね。」

 

竹浦地区にある「法楽稲荷大明神」は、もうひとつの天空の鳥居として注目のスポット。

ぜひ、アート巡りと共に足を運んでみてください。

住民の皆さんのご迷惑にならないように、ゴミをポイ捨てしない、私有地へは立ち入らない、交通ルールを守るなど、ご注意ください。

 

坂出市の島に関する情報は 坂出市観光協会のホームページ をご覧ください。

 

現在、開催中の「瀬戸内国際芸術祭2025」

瀬居島まで車で行くことはできますが集落への車の乗り入れはできません。

指定の駐車場をご利用ください。

また、JR坂出駅から有料シャトルバスが運行されています。

詳しくは 瀬戸内国際芸術祭ホームページ または、 坂出市ホームページ をご覧ください。

 

香川しまびより

今日も、香川は “しまびより”

穏やかに晴れた日曜日の朝は、瀬戸内海にぽっかり浮かんだ香川の島に出かけたくなる、絶好の“しまびより”。

寄せては返す瀬戸のさざ波に誘われて3人のパーソナリティが、香川の島々に暮らす人たちに会いに行きます。

そこに代々暮らし続けている人、戻ってきた人、または、新たに暮らし始めた人。

今、島に暮らしているいろいろな人たちのお話しを通じて、そこに脈々と流れる歴史や独自の文化、そして今でも続く風習など、私たちが知っているようで知らない、島々の魅力をお伝えします。

放送時間
毎週日曜日9:00~9:15
毎週木曜日12:30~12:45(再放送)
パーソナリティ
市川智子、柏原砂里、岡加依子

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