6月1日/男木島 島のおとうさんたちを表現したアート作品「タコツボル」.
(瀬戸内国際芸術祭2025 参加アーティストTEAM男気(おぎ)による作品「タコツボル」)
男木島の港にある巨大なたこつぼ。実はこれ、瀬戸内国際芸術祭2019年をきっかけに設置されたアート作品なんです。
太い縄で縛られ、いいかんじに日焼けし、フジツボをびっしりとくっつけた姿はまるで昔からこの場所にあったかのよう。わたしたちもタコの気持ちになって中に入ったりして楽しむことができます。
(お話をお聞きしたアーティストの大島よしふみさん(写真左)、ちいさん(写真右)
作品を制作されたのは香川県のアーティスト集団、TEAM男気(おぎ)のみなさん。代表の大島よしふみさんは瀬戸内国際芸術祭に初回から参加されている香川県出身の彫刻家で、男木島のおかあさんたちが島で使っている手押し車「オンバ」をアレンジするアートプロジェクト「オンバファクトリー」の代表としてもおなじみの方です。
「オンバファクトリー」で島のおかあさんたちと仲良くなった大島さん。明るく魅力的なおかあさんたちの後ろにドンと構えた無口なおとうさんたちにもスポットを当てたいと「TEAM男気」を結成。2013年の瀬戸内国際芸術祭からおとうさんたちの漁船のペイントや大漁旗の制作、サワラ漁の船を賑やかに出迎える男木島の伝統「踊り込み」の再現などを行ってきました。
最新作の「タコツボル」は男木島を代表するたこつぼ漁をテーマにしたもの。海の上で潮を読み、見える風景からつぼを仕掛けた場所を見つけられるおとうさんたちの男気をこの作品に込めています。
しかし昔から盛んだったたこつぼ漁も今では高齢化の影響でだんだんと漁師さんが減ってしまっているのだとか。
(取材の日は「タコツボル」の前でTEAM男気による「タコツボペイント」ワークショップが開催されていました)
実は「タコツボル」は島の子どもたちにとっての遊び場という役割も。放課後にここでおままごとをしたり、おにごっこをしたり。日曜になると『男木っこバンド』という5人組の音楽グループが登場し、そのあたりのものを使って演奏を気まぐれに行ったりもするのだそう。
2011年、3人の中学生が卒業したのをきっかけに一時的に子どもたちがいなくなった男木島。その後、移住者が増えて、今では「タコツボル」のまわりで子どもたちが遊ぶ姿を見られるまでになりました。それを嬉しそうに眺める大島さん。
どっしりと構える島のおとうさんのように、「タコツボル」が子どもたちと男木島の未来をこれからも見守りつづけていきます。
■「タコツボル」
鑑賞時間/屋外展示作品 | ※内部の鑑賞は9:30-16:15
観覧料金/無料
場所/男木港
「瀬戸内国際芸術祭2025」公式サイト/https://setouchi-artfest.jp/artworks/detail/7a828576-d432-455a-9a17-cb53793de53f