高徳線全線開通90周年記念「走れ高徳線 ー全線開通までの物語ー」展.

東かがわ市歴史民俗資料館で現在開催中の「走れ高徳線 -全線開通までの物語-」展。

学芸員 小川 浩功(おがわ ひろのり)さんに案内していただきました。

 

まずは、高徳線建設に至るまでの歴史的経緯を説明したコーナー。

昭和10年に出版された「高徳線は斯くして」という本と、その内容が紹介されています。

「東讃地域の人たちの請願運動が始まったのが大正6年。そこから3年間かかり、大正9年に政府が予算を認め、建設が実際始まっていきます。大坂山トンネルや吉野川の鉄橋は難工事で、7年ぐらいかけて昭和10年に無事開通しました」

 

キーマンとなったのが 渡瀬卯太郎さん。高徳線の全線開通を目指し国に掛け合うなど、地元住民の悲願実現のため奔走しました。

 

 

高徳線全線開通後、観光客の誘致に力を入れていたことがわかるのがこの観光パンフレット。

「四国中の醸造家が、鉄道に乗って沿線の名酒を飲みに来てと案内する内容です」

沢山の酒蔵の情報と、裏面には広域路線図が書かれています。

 

高徳線が全線開通したことにより、東かがわには観光客が押し寄せました。

「安戸池概要」というJR四国に保管されていた資料に当時の様子が記されています。

東かがわにある安戸池はハマチ養殖発祥の地。野網和三郎が主に技術的なことを、父親の佐吉が経営を担っていました。当時安戸池にはボラがいて、「エサを撒くと群がってくるのが壮大な景観だ」と書かれており、昭和初期に人気の観光地だったことがうかがえます。

 

SLなどの写真や、実際に鉄道運行に使用されていた物も展示されています。

 

 

これ、何ですか?

「これは昔の携帯電話みたいなものですね。沿線約500mおきに端子箱が設置されていて、倒木や積雪などトラブルがあった際、その端子箱に電話器を繋ぐと最寄り駅に連絡がとれるというものです」

 

「来館頂いた際、昔の高徳線について覚えていることがある方や かつて鉄道の仕事をしていた方、ぜひスタッフに話を聞かせていただきたいです。よりバージョンアップした展示にできるので、情報大歓迎です」と小川さん。

11月30日(日)13:30~小川さんの展示解説があります。興味深い「高徳線の始まりの話」を聞けそうですよ。

 

「東かがわ市歴史民俗資料館」

場所:東かがわ市引田1000-4

開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで) 火曜休館

入館料:無料  TEL:0879-33-2030

 

「高徳線全線開通90周年記念展 走れ高徳線 -全線開通までの物語- 展」

会期:2025年10月8日(水)~12月22日(月)

※展示解説:11月30日(日)13:30~15:00 資料館企画展示室にて