麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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「うどん焼き」vs「焼きうどん」

団長:前回、「焼きうどん」と「うどん焼き」の呼び方の話題が出たのを受けて、今回は放送回ではなくて、2022年に『インタレスト』で調べた「焼きうどんvsうどん焼き」の調査結果を発表しておきましょう。

ごん:そんなの、どうやって調べたんですか?

団長:学生20人ぐらいを動員して、まず『食べログ』に出とる全国のお好み焼き屋さんの「メニュー写真」を徹底チェックする。しかるのち、そこに書かれているメニュー名が「焼きうどん」か「うどん焼き」かを確認して都道府県別に集計するという、単位がかかった学生にしかできん作業や。

ごん:あっはっは! 学生もえらい迷惑!

団長:違いますよ。世界中で誰もやったことのない調査に携われるんだから、大変名誉なことですよ(笑)。では行きましょう。まず、調べたのは北は北海道から南は沖縄まで、全部で3654軒のお好み焼き屋さん。

H谷:そんなに調べたんですか!

団長:やるなら徹底的にやる。で、その3654軒のうち、約55%の1997軒で「焼きうどん」または「うどん焼き」のメニューが確認されました。

ごん:すると、全国のお好み焼き屋さんの半分近くは「焼きうどん」または「うどん焼き」のメニューがないということですか。

団長:そうなんよ。都道府県別の「お好み焼き店のメニューに焼きうどんかうどん焼きがある率」は、こうなった。

1位 岡山県 90.1%
2位 愛媛県 90.0%
3位 広島県 83.7%
4位 高知県 77.4%
5位 京都府 68.0%
6位 山梨県 66.7%
7位 兵庫県 66.0%
8位 香川県 65.4%
9位 千葉県 59.1%
10位 奈良県 59.0%

ごん:香川は8位ですか。というか、トップ3が岡山、愛媛、広島って、全部瀬戸内海沿岸ですやん。

団長:そうなんよ。トップ10以下も中国、四国、近畿と九州の北部の県が上位に並んどったから、お好み焼き店のメニューに「焼きうどん」か「うどん焼き」がある率が高いのは間違いなく西日本で、北海道、東北、北関東と九州の中南部のお好み焼き店には「焼きうどん(うどん焼き)」をあんまり置いてないことがわかった。

H谷:うどん文化の強さが関係してるんですかねえ。

ごん:「西はうどん文化、東はそば文化」って言われますからね。

団長:何となくベースにはそんなんがあるんかもしれんけど、全国の「うどん処」と言われる県でも、東の方は「焼きうどん」があまり定着してない。「水沢うどん」の群馬県は40.5%、「加須うどん」の埼玉県は34.4%、「氷見うどん」の富山県も34.1%、「稲庭うどん」の秋田県にいたっては16.2%のブービーや。

ごん:まあ、あの高級そうな稲庭うどんを焼きうどんにするというのもちょっとね(笑)。

団長:というわけで、本題の「焼きうどんvsうどん焼き」です。「焼きうどん」または「うどん焼き」のメニューが確認された1657軒の「表記の比率」を出したら、こうなりました。

「焼きうどん」…1566軒(94.5%)
「うどん焼き」… 91軒( 5.5%)

ごん:「焼きうどん」の圧勝じゃないですか。

団長:いやほんと、まさか「うどん焼き」がこんなにマイナーだったとは。で、そのマイナーな「うどん焼き」率のランキングはこうなりました。

1位 香川県 52.9%
2位 徳島県 48.3%
3位 兵庫県 45.5%
4位 福島県  5.3%
5位 鹿児島県 3.0%

ごん:うわ! 香川と徳島と兵庫だけですか!

団長:はい。全国で「焼きうどん」を「うどん焼き」と呼んでいるのは、ほぼ香川県と徳島県と兵庫県の3県だけであるという新事実が発覚しました。

ごん:ちなみに香川が1位ですけど、それでも半分は「焼きうどん」なんですね。

団長:そう。だから某番組の「香川では『焼きうどん』を『うどん焼き』と言う」という話は、事実を約2倍に誇張していることがわかりました。これが、いわゆる「ファクトベースの情報」です。

ごん:ちゃんとしたデータを元にしたら、結論に説得力が増しますね。

H谷:勉強になります。

団長:勉強しても「うどん焼き」の話だけどね(笑)。

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