麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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団長:時々、学生を連れてうどん屋に行くことがあるんやけど。

ごん:授業をサボって。

団長:それはよその大学の先生や! 

H谷:昔、ネットのニュースで話題になってましたよね(笑)。

団長:「香川大学の教授」って書いとったのに、それを「香川の大学の教授」って読んだやつが「香川の大学の教授で“学生をうどん屋に連れて行って授業に遅れた”いうたら絶対田尾さんや」いう噂を流したんや(笑)。

ごん:ま、自業自得ですね。

団長:何で「自業」や! 俺は『インタレスト』の取材で学生連れてあちこち行く時に、昼飯でうどん屋に寄ることはあるけど、『インタレスト』は「情報加工演習」というれっきとした授業やからな。

H谷:しかも、「団長と一緒にうどん屋へ行く」いうのは、別のある意味すごい授業ですよ。

ごん:わかってますよ。わかってますけど、我々の間では「おもろい方が事実になる」という原則がありますからね(笑)。

団長:ほんまに、ろくでもない原則や。ほんで、インタレストメンバーの中では「田尾さんとうどん屋に行ったら必ず何かが起こる」という噂も立っとるらしい。

年に一度は「八十八庵」

団長:こないだ、学生10人連れて「八十八庵」に行ってまいりました。

ごん:遠いのに結構行きますね。

団長:結構いうても年に1~2回か、せいぜい3~4回なんやけど、とにかく俺の中では「年に1回は行く」と義務づけてあるんや。初夏のアジサイのシーズンか、暑い夏の避暑がてらか、秋の紅葉と栗のシーズンか、冬の寒い山のシーズンか。とにかくあそこは「四季を体感できる別世界」やから、何か「行っておかないと」みたいな位置づけなんよね。

H谷:いつも食べるのは「打ち込みうどん」と「おでんのコンニャク」でしたっけ。

団長:はいそうです。「八十八庵」の手づくりコンニャクは、ちょっと他にはないゴリゴリした食感の絶品。打ち込みうどんは讃岐の「田舎風打ち込みうどん」の最高峰。ちなみに、洗練された「都会風打ち込みうどん」の最高峰は、「焼肉中村」の打ち込みうどんですけど。

H谷:はいはいはい(笑)。

ごん:うまかったですねー。しかも。オゴっていただいたので余計にね。

団長:キミらのために俺が1万円も払たんぞ。

H谷:いやーもう、たまらなかったですよねえ。

団長:リスナーのために説明しておきますと、以前紹介したKSBのうどんランキング番組の何かの部門で「焼肉なかむら」の打ち込みうどんが1位になってて、それを我々が紹介するんやけど、我々は常に事前にちゃんと食べに行って最新情報を入手してから収録に挑むという誠実な情報発信をやっているので、収録前に3人で屋島の「焼肉なかむら」に行ったわけです。そこで、打ち込みうどんを食べる前に焼肉を食ったら、3人で1万円を超えたという。言うとくけど、あの番組のうどん代、全部自腹やぞ。

ごん:それね、番組担当の安Zさんに「焼肉なかむらで1万円も払いましたよ」言うたら、「そんなもん、打ち込みうどんだけ食べて帰ったらいいじゃないですか」って言われましたよ。

団長:ひどい話やのー。

ごん:でしょー?

団長:いかにうどん番組とは言え、「焼肉なかむら」に行って焼肉を食べずに帰れるか?

ごん:お店に失礼でしょ。そらロースもカルビも食べないとね。

H谷:タンもいりますしね。

団長:大体、そんなところで俺らがうどんだけ食べよるところを見られた日にゃ、「麺通団って、ここまで来てもうどんしか食べんのか」とか言われるやんか。しかもそれを写真撮られてネットにアップされた日にゃ。

ごん:食いよる最中にツイッターか何かに書かれた日にゃね(笑)。

団長:というか、何でこんな話になったんや。

H谷:「八十八庵」です。

団長:あ、「八十八庵」。田舎風の打ち込みうどんの最高峰。実はその日、午前中に『インタレスト』の取材で学生らと車3台連ねて、総勢11人で白鳥の海岸にある「ランプロファイア岩脈」に行ったんや。ところが、行ったら潮が満ってて引きの写真が撮れんことがわかってね。

ごん:相変わらず下調べなしで行きますねえ(笑)。

H谷:だからしょっちゅう、うどん屋の定休日に当たるんですね(笑)。

団長:それも旅の一興じゃ。ほんでね、干潮になるまで時間潰さないかんということで、「しょうがない、八十八庵行くか」ということになったんや。ほんで行ったら、女将さんが「今日、『うどんの日』って知っとん」いうて。7月2日や。

H谷:半夏の日ですね。

団長:聞いたら「『うどんの日』に打ち込みを頼んだら、帰りにお土産うどんをくれる」って。

ごん:あら。

団長:それを聞いてさっそく学生が「やっぱり田尾先生、持ってますね」って。

ごん:その程度で「持ってますね」言われてもね。

団長:ほんでね、そこでみんなで打ち込みうどんとおでんのコンニャクを食べよったら、しばらくして向こうから女将さんが男の人を連れてきて、「田尾さん、申し訳ないんやけど、ちょっとお話ししてもろてもええやろか」言うんよ。

ごん:お、話が展開してきましたよ。

団長:聞いたら、さぬき市のケーブルテレビがたまたま取材に来とって。

H谷:「うどんの日」で。

団長:そう。ほんで「食べているところを取材してもいいですか?」って言うから「ええですよ」言うたら、学生らみんなが食べてるところをカメラで撮り始めたんや。そやから俺はちょっと後ろに引いて、「みんな、いつもよりうまそうに食べろよ」とか「麺は必要以上に持ち上げろ」とか、「いちいちカメラ目線で食べてもええぞ(笑)」とか指示してね。

ごん:ほとんど撮影を妨害してるようにしか聞こえませんが(笑)。

団長:撮影を盛り上げとったんや。ほんでその後、『インタレスト』の学生編集長と前編集長が簡単なインタビューを受けて終わったと思ったら、今度は俺に「お話を伺ってもいいですか?」って言うてきた。

ごん:そこは事務所を通してもらわないとね(笑)。

団長:事務所を通したらケーブルテレビが買えるほど請求されるがな…って、何でやねん。ほんで「何をしゃべったらいいんですか?」言うたら、何て返ってきたと思う?

ごん:何でしょう。

団長:「いや、あのー、讃岐うどんについて」って。

ごん:あっはっは!

H谷:麺通団団長にすごいこと言うてきましたね!

ごん:身の程知らずにもほどがありますね。

団長:で、とりあえず「讃岐うどんについて」と題しまして、2分にまとめてしゃべってきました(笑)。

H谷:うわ! 聞きてー!(笑)

団長:という「八十八庵」です。皆さんもぜひ、1年に1回は訪れて、この世の別世界を体験してみてはどうでしょう(笑)。

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