編集 田尾 和俊
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団長:今回は閉店した店を回顧するみたいな話の回を。
ごん:「昔話をし始めたら老人への第一歩」とかよく言われますけどね。
団長:俺はもう3歩ぐらい踏み込んでるから、全く気にしない(笑)。
語り継ぎたい珠玉のうどん
団長:ブームも黎明期から15年も経つと、惜しまれつつ閉店して消えていった店やメニューや麺やダシなんかがだんだん増えてきました。
ごん:まあ仕方がないことではありますけど。
団長:そこで、そういう珠玉の素材をせめて記憶に残しておくか、あるいは可能なら誰かが再現して引き継げたりしたらいいなということで、ちょっと思い出してみようと。
ごん:はいはい。
団長:まず、「讃岐家」の「なめこおろしうどん」。
H谷:ええええ。
団長:「讃岐家」は「洗練された力強い麺」が当時の一般店の中でもトップ3に入るぐらい素晴らしかったんやけど、そのハイレベルの麺が浅い鉢に入って、上に大根おろしとなめこが乗って、その上からカイワレをパラパラとまぶして、それをあの甘酸っぱい辛旨い珠玉のダシが薄く包み込んだ絶品メニューだ。
ごん:うどんに「酢」系のダシを合わせるというのは「谷川米穀店」が有名ですけど。
団長:「谷川」はうどんに醤油と酢を回しかけるという、いわば「田舎のシンプルな酢醤油うどん」という方向性の絶品やけど、「讃岐家」のは「洗練された都会風の酢醤油系ダシ」の最高峰。当時、あれを真似する店も出てきたけど、「讃岐家」の「なめこおろしうどん」のダシに及ぶものは出てこなかった。
H谷:素晴らしかったですね。
団長:続いて、丸亀の「西森」。
H谷:僕、「西森」は行ったことないんです。「西森」の大将にうどんを教わったのが飯山の「なかむら」の初代なんですけど、聞く話によると、「西森」は「なかむら」とは違って太麺だった、太いけど伸びがあったって。
団長:俺の記憶では太麺というよりよくある中太だったと思うんやけど、柔らかい伸びがあってね。と言っても洗練された都会麺風ではなくて、完全に田舎麺。田舎麺なのに、伸びがある。
H谷:聞く度に「食べておけばよかった」と思いますね。
団長:けど「西森」に関しては、何を残すかと言われたら、麺と一緒に、土器川の土手にあったあの店の建物ごと残したかったなあ。
ごん:もはや丸ごと文化財的な。
団長:あったらそのまま映画『UDON』のセットにできたかもしれん。ま、本広監督が作ったあのセットよりは、かなりあっさりしとったけど。続いては、高松の番町の「久保」。
ごん:久保は何回も食べに行ったことがあるんですけど、「具体的に何か?」と言われると、あんまり記憶に残ってないんですよね。
団長:「久保」はの、まず、「舌に焼きつくイリコダシ」や。
H谷:『恐るべき』の見出しに付けたフレーズ(笑)。あれは一発でガツーンときましたよねえ。すごい記憶に残る味わいというか。
団長:ヒリヒリするぐらい来るんよな。ほんで、最後にベタッとしたのが何も残らんのや。口の中がスパーッと収まる。あれも類のない差別化されたダシやった。
ごん:麺はどうでしたか?
団長:「久保」の麺は伸びもあんまりないし、エッジが立ってるわけでもない。どっちかというと角丸系で、断面が正方形に近い中細麺。表面は田舎麺風にちょっとザラついとった気がするけど、その中細麺がねじれも縮れもなくてしゅーっと伸びてて、「あのヒリヒリのダシにはこの麺がベスト!」いう名コンビだったんや。
ごん:イメージするなら、柳川系?
団長:おお、柳川の麺を真っ直ぐに伸ばして軽くエッジを取ったみたいな感じ。
H谷:団長が大好きだった飯山の「木村」は、何がよかったんですか?
団長:「木村」は、ダシと天ぷらのコロモ。
ごん:ほー。
H谷:「木村」のダシは「土瓶に入ってる」いうネタばっかりが表に出てましたけど(笑)。
団長:誰が出したんや。
ごん:あなたです。
団長:失礼しました(笑)。それと、ゲソ天のコロモがとにかくうまかった。
H谷:確かに、あのコロモは独特でしたね。
団長:などというええ話がまだまだ続くというのに、K米君が空気読めずに今、巻きを入れてきました。
ごん:あっはっは!えらい言われようです(笑)。
団長:ま、これから我々、人生の晩年に入っていくわけですが、あ、私だけ晩年に入っていくわけですが、この『うどラヂ』も歳を重ねて「何か残しておきたい」というメンタリティが出てきたということで。
ごん:歳とると、どうしてもね。
団長:決して「『うどラヂ』を残す」という話ではなくてね。
ごん:『うどラヂ』は残さんでええですからね(笑)。
団長:無理に残さんでええけども、「そういう話ですかねえ」いうてK米君、上に言うといてね。
ごん:あっはっは!
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