麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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団長:今回は、前回紹介した放送回の続きです。

ごん:前回って、そんな大ネタでしたっけ?

団長:いや、前回はお便りの冒頭から脱線して『タウン情報かがわ』時代のおバカネタを紹介したんやけど、続きでもう一本、当時の鉄板ネタをしゃべってたので、ついでにテキスト版に残しとく(笑)。

御大自ら(おんたいみずから)

団長:これ、お便りの途中やったんや。どこまで読んだっけ。

団長が編集長と呼ばれていた頃、なかなか発売されない『タウン情報かがわ』を…

団長:ここや。ここから「発売日が2日遅れた」という話に脱線したんや。

ごん:そうですよ(笑)。ちゃんとお便りに戻ってあげてくださいよ。

団長:あ、「2日遅れ」と言えば、もう一つ思い出した。

ごん:すいません、もう一回脱線するみたいです(笑)。

団長:あの頃、時々遅れよったやんか。

ごん:あの、「時々遅れよった」って普通みたいにしゃべってますけど、どうなんですか、その当時の編集長として。

団長:まあ、読者と固い絆で結ばれてたから許されたということで(笑)。ほんでね、創刊して何年かは会社も貧乏だったから、配本日になると俺ら編集部員がみんなで手分けして車に本を積んで、県下全域の書店に配りに行っきょったんだ。

ごん:配送屋さんに頼むんじゃなくて、自分で持って行ってましたよね。

団長:俺の担当は高松を出て栗林から32号線に入って綾南の書店に配って、琴平の書店に配って、善通寺配って多度津配って、詫間、高瀬に配って観音寺に配って、最後に豊浜まで、だいたい30~40軒ぐらいの書店に最新号を持って行って、前号の返本を回収して差額の代金をもらって…という作業を1人で1日でやりよったんだ。しかも、配送トラックとかないから、自分の車に本を積んで行く。

ごん:あの頃乗ってた車、スプリンターでしたっけ。

団長:1600ccの「スプリンターSE」。一回、どっかの駐車場に停めてたら、車に貼り付いてる「SE」の文字の後ろにマジックで「X」を書かれたことがある。

ごん:あっはっは!

田尾:ホンダのバイクに乗ってたやつが「HONDA」の後ろにマジックで「RANO」って書かれて「ほんだらの」になったという話も聞いたことがあるけど。

ごん:ええから話を進めてください。

団長:ほんでね、配本の日は本をトランクに満杯、後部座席も後ろが見えんぐらい積んで、さらに助手席にも満杯に積んで会社を出発するんやけど、トランクと後部座席が重すぎて、車の前がちょっと浮き気味になるんよ。それで走ってて、1回パトカーに停められたことがある。

ごん:ありゃ。

団長:綾歌から琴平に入る羽間のあたりに、直線の上り坂があるやんか。

H谷:琴電の線路と並んで走る道ですね。

団長:そうそう。あそこでパトカーに停められて、「何ですか?」言うたらおまわりさんが「ちょっと下りてきて車を横から見てみ」言うから降りて見たら、上り坂でさらに車の前が浮いとるもんやから、車の前がものすごく上を向いとんや。

H谷:はははは(笑)。

団長:ほんでおまわりさんに「あんたこれ、急発進したら空飛ぶで」言われたことがある。

ごん:あっはっは!

団長:それから本を配りながらだんだん車が軽くなっていって、最後に行くのが豊浜の「長谷川書店」。

H谷:ああ、ありますね。

団長:H谷川君の知り合いか?

H谷:いや、知り合いじゃないですけど。豊浜に「H谷川」いうたら、うちの実家と長谷川書店ともう1軒と、たぶん3軒しかないんで。

団長:そうなんや。ほんでね、その長谷川書店に行ったらいつも店番でおっちゃんが座ってるんや。そんなある日、1日遅れて26日に本を持って行って「タウン情報かがわですー」言うて入って行ったら、おっちゃんが「また遅れたんか」言うてきたんよ。

ごん:いやまあ、実際遅れてますからね(笑)。

団長:ほんでおっちゃんが「よう遅れるのう。それお前、何人でやっりょんや」って聞いてきたから、「いや、まだちょっと、6人なんです」言うたら、「何とか。たった6人でしよんか」って。

ごん:そらあんなに売れる本を「6人で作ってる」言うたらびっくりしますわな。

団長:ほんで「はい」言うたら、「それはおまんみたいな配る人も入れて6人か?」って。

ごん:あっはっはっは! 

団長:説明が面倒くさいから、とりあえず「はい」言うといたけど。

ごん:長谷川書店のおっちゃんも、まさか編集長が自ら配ってるとは思いませんからね。

団長:俺、その頃、西日本放送ラジオの昼のワイドの生放送に出よったんやけど、長谷川書店は店内でいつも西日本放送ラジオをかけとんや。

ごん:ほう。

団長:そしたら、それから数ヵ月後にまた1日遅れて本を持って行ったら、長谷川書店のおっちゃんが「お前、また遅れたんか。昨日の昼、お前んとこの編集長がラジオに出とったぞ。ちゃんとお前、編集長にラジオや出んと遅れんように本作れ言うとけ」って。

ごん:あっはっは!

団長:とりあえず「すみません、帰ってちゃんと言うときます」言うて謝ったんやけど。

ごん:「あれは私です」って言う流れじゃなかったわけですね。

団長:「おっちゃんもきっとそうやって俺をいじるのが楽しいんやろな」と思って、俺は長谷川書店では「配る人」に徹しとったがな(笑)。

ごん:いや、正しい対応だと思いますよ(笑)。

団長:そしたら、その翌月や。今度はちゃんと25日に配本に行ったら、おっちゃん、たぶんどっかで奥さんか誰かから「うちに本持って来てくれよる人、編集長やで」って聞いたんやろな。「すんません、タウン情報かがわですー!」言うて店に入ったら、おっちゃんが俺を見るなり、「お、御大自ら」って。

ごん:あっはっはっは!

団長:「あんた先月まで俺のこと“配る人”って言いよったやんか!」と突っ込みそうになったけど、そこは俺も大人や。「あ、いつもお世話になってます」言うて楽しいコミュニケーションをとったという、40年前のいい思い出でした(笑)。

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