麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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ごん:JACKさんは「猿」ですけど、団長は「牛」ですからね。

団長:どんな決めつけや。それは昔、タウン情報誌の読者やラジオ番組のリスナーが俺らに付けとった不本意なニックネームみたいなもんや。

猿人:まあ、おっさん(団長)はタウン誌の編集長時代から「目が大きくて離れとる」いうことで「牛」と呼ばれてましたからね。

団長:読者から「編集長」でなくて、「編集をする牛」ということで「編集牛(へんしゅうぎゅう)」と呼ばれとった。

ごん:その後、専務になって「専牛(せんぎゅう)」と呼ばれ始めましたよね。

猿人:「専ら(もっぱら)牛」に昇格してね。

ごん:ほんで社長になって「社牛(しゃぎゅう)」にまで登り詰めたと。

団長:それから会社を辞めて一旦無職になって、これで不当な牛呼ばわりから逃れられると思ったら、「無牛(むぎゅう)」とか呼ばれ始めて…

猿人:ほんで大学の教授になって「教牛(きょうぎゅう)」になったんですよね。ちょうど「狂牛病」が流行り始めた頃に。

団長:ほんまに。俺が四国学院の教授になったちょうどその頃にBSE(狂牛病)が流行り初めて、吉野家が牛丼を中止したんや。

猿人:ほんで、吉本興業に所属したから「吉牛(よしぎゅう)」の称号が加わって、今日に至ると。

団長:どう考えても「称号」ではないやろ。

ごん:うまいこと吉野家つながりにもなりましたしね。というわけで、団長の「牛」ネタも『うどラヂ』の彩りの一つになっております。

牛の胃の謎

団長:イデザオが「猿、猿」と言われてきたのはわかるけど、

猿人:「わかるけど」って。

団長:俺も不本意にも「牛、牛」って言われ続けて早20年や。

猿人:時々反芻してますしね。

ごん:胃が4つありますしね。

団長:そうそう。だから健康診断の時にバリウムを4倍飲まないかん…って、何でやねん。そうやなくて、ふと疑問が浮かんだんよ。牛の胃は4つあるらしいけど、その4つは一体どういう配置で並んでるんやと。

猿人:ほんまですね! それは素晴らしい視点の疑問ですよ。みんな牛の胃が4つあるのは知ってるけど、配置まで知ってる人はほとんどおらんでしょう。大体、直列か並列かもわからん。

ごん:いや、並列は普通おかしいでしょ。

団長:わからんぞ。大体「宇宙の果て」が謎なんやから、胃が並列に4つあってもおかしないやんか。

ごん:何を言ってるのかわかりませんが。

団長:例えば、直列やったとするぞ。まず、草を食べて飲み込んだら「1の胃」に入るわな。

ごん:直列だったら当然、最初の1の胃に入ります。

団長:ほんで、どんどん食べたらどんどん「1の胃」に草が貯まるやん。

ごん:だから「1の胃」は一番デカいんです。

団長:さてそこからや。反芻いうのは当然、「1の胃」から口に戻ってくるわな。で、反芻してより細かくなった草を飲み込んだら、それもまた「1の胃」に入る。すると、「1の胃」の中には反芻した草と反芻してない草が一緒にゴチャゴチャ入っとることになるやん。

ごん:なりますね。

団長:それをまた反芻で口に戻したら、今度は反芻した草と反芻してない草が一緒に戻ってくるから、嚙まないかん草と嚙まんでええ草が口の中に一緒におることになって、実に効率が悪いでないか。それなら胃が並列に並んどって、まず食べた草を「1の胃」に入れて、そいつを口に戻して反芻して細かくしたやつは「1の胃」に戻さずに直接「2の胃」に送ったらええやん。

ごん:でも反芻して細かくした草を飲み込む時も、まずは同じ食道を通って行くわけでしょ? その先、そのまま飲み込んだら「1の胃」に行ってしまうところを、どうやって「2の胃」の方に送るんですか?

団長:そこはそれ、うまいことするがな。ボーッと飲み込んだらそのまま「1の胃」に行ってしまうから、飲み込んで食道を通った瞬間に腹筋に力入れて、クッ! と。

ごん:あっはっは! すいません皆さん、ラジオで今の団長のジェスチャーと表情をお見せできないのが実に残念です(笑)。あっはっは! あんたアホですか(笑)。

猿人:いやいや、これは目からウロコですよ! 今の話で長年の疑問が氷解しましたよ。やっぱり物事は気合いや、気合い。

ごん:ちゃいますって! あれは直列に並んでてね、「1の胃」の中には微生物がいっぱいいて、入ってきた草を必死で分解しよるんです。けどそれが間に合わんから、「2の胃」が収縮して「1の胃」を押してちょっとずつ口に戻して、反芻するんです。

猿人:じゃあ、「2の胃」はポンプの役目をするわけ?

ごん:まあそういうことですかね。ちなみに、「1の胃」は焼肉で言うたら「ミノ」で、「2の胃」は「ハチノス」ですから蜂の巣みたいに網目状になってて、反芻して細かくなった草はそこを通り抜けて「3の胃」に行くわけです。

猿人:ようできてますねえ!

ごん:で、「3の胃」と「4の胃」でいろんなものを吸収したり消化したりすると。ちなみに、「3の胃」は「センマイ」、「4の胃」はあんまり焼肉屋で聞いたことないですけど「ギアラ」言うそうです。

団長:なるほど。

猿人:あんた(団長)、自分のことなんやからちゃんと知っとってくださいよ。

団長:どこの病院に行っても「牛内科」がないから、教えてくれんのよ。

ごん:というか、いつものことですけどうどんに関係ない話でどんだけ引っ張るんですか。

団長:キミ、麺通団のコンセプトは何や。多くの人が「麺通団はうどんの博士だ、うどんの大家だ、うどん研究家だ」とかいう間違った認識を持っとるらしいけど、麺通団は本来、「うどんの周りで遊ぶ人」やぞ。うどんの中心は「うどん」やけど、うどんの周りにはうどんはないんだ。

ごん:屁理屈の新ネタが出ました!

団長:というわけで、牛の胃の解説も“ごんの話”なので、“ようできた話”ではありますが、皆さんが人に話す時は、改めて自分でちゃんと調べて意見をまとめるように心がけてください(笑)。

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