編集 田尾 和俊
141
H谷:団長、こないだ「がもう」で「讃岐うどん大」いうて注文したらしいじゃないですか(笑)。
団長:いや、俺の前に並んでた県外客らしい女性2人が「讃岐うどんください」「私も」いうて注文したから、その後大将に「今日は何にする?」言われて、つい「「讃岐うどん、大」言うて笑いをとってしもた。
ごん:いやー、その場面に居合わせたかったですねえ(笑)。
団長:私がうどん屋で「讃岐うどん」を注文したのはあれが生涯で2回目やけど、その1回目の話が出た回です。
讃岐うどん下さい
団長:お便りを頂いております。
ごん:ありがとうございます。
団長ごんさんH谷川さんFM香川関係者の皆様こんばんわ。大阪府の男子大生、「練り物系男子ちくわ」です。先日、インターネット上で「さぬきうどん駅」というニュースを見つけ、息が止まりました(実際は鼻で笑いました)。
団長:2011年に香川県が「うどん県」を宣言したら、続いて丸亀市が「骨付鳥市」を名乗って観音寺市が「いりこだ市」を名乗るという“行政の悪ノリ”が続いたんやけど、その勢いでJR高松駅が「さぬきうどん駅」をいう愛称を付けて全国ニュースになったというやつね。
ごん:ほんと行政って、そういうのにすぐに乗りますね(笑)。
団長:ちなみにあの時、高松駅のホームの駅名表示板に「さぬきうどん駅」って出したらすぐに「高松だけが『さぬきうどん』の名称を取り込むのはいかがなものか」とかいうクレームが出て、あわてて「さぬき高松うどん駅」に改称しました(笑)。しかも、一旦作った表示板を作り直すのが大変だから、「さぬきうどん駅」の「き」と「う」の間に「高松」いうハンコを押したみたいな見事な修正ぶりで(笑)。
そこで、「讃岐うどん」という言葉について疑問が生じたのでメールしました。実は僕の父親は多度津の出身なのですが、その父が昔、「香川には『讃岐うどん』という言葉はない」と言い張っていたんです。父曰く、「香川県のうどんは全て讃岐うどんなので、わざわざ『讃岐うどん』と区別して言わなくても通じる。だから誰もそんな言い方はしない」とのことでした。その言葉を信じて今まで『讃岐うどん』という言葉をできるだけ避けてきたのですが、「さぬきうどん駅」というネーミングが行われた今、キツネに包まれたような気持ちでいます。
団長:正しくは「きつねにつままれた」や。キツネに包まれたら「いなり寿司」になるがな。
ごん:これ、そういう意味で使ってるんじゃないですか?
団長:あ、そうか!讃岐うどん用語としてはこれ、間違いでないんや。イナリを語る時には今後、「キツネに包まれたような」「そらイナリや!」というボケツッコミをセットで使おう(笑)。
よく考えれば、過去の団長の著書も『恐るべきさぬきうどん』でしたよね。これはうちの父親が間違った情報をレクチャーしたのでしょうか。それとも昔は本当だったのでしょうか。
団長:まず、かつての香川県民は「ちくわ」君のお父さんの言う通り、「讃岐うどん」という言葉を口にすることはほぼなかったと思います。
ごん:そうですね。
団長:ただし、自分たちのうどんのことを対外的に紹介したり言及したりする時には、結構昔から「讃岐うどん」という言葉を使っていました。具体的には、昭和31年の四国新聞に「讃岐うどん」という言葉が出ているのが確認されています。ちなみに、昭和58年の四国新聞のコラムに「香川のうどんを『讃岐うどん』と呼び始めたのは地元の彫刻家の流政之先生だ」みたいな表記が見つかりましたが、誰も検証できないので事実かどうかは闇の中です。
ごん:そのあたりは「讃岐うどん未来遺産プロジェクト」の「新聞で見る讃岐うどん」シリーズの中に書いてますのでご覧ください。
団長:ただし、私の知る限り、香川のうどん店に「讃岐うどん」というメニューはありません。
H谷:ないですねえ。
団長:私が今までにうどん店で「讃岐うどん」というメニューを見たのは1回だけ。確か2000年頃、讃岐うどん巡りブームが全国区になって来た頃に、徳島の駅ビルに入っていた県外のうどんチェーン店「杵屋」で見ました。店に入ってメニューを開いたらいきなり一番頭に「讃岐うどん」とあって、続いて「きつねうどん、天ぷらうどん、カレーうどん…」とかが並んでた。
ごん:団長としては頼むしかないですよねえ(笑)。
団長:もちろん。お姉さんが注文を取りに来て「何にしますか?」って聞いてきたから「讃岐うどん」って言うた。顔から火ぃ噴っきょったわ。
ごん:あっはっは!麺通団団長が「讃岐うどん」をご注文なされて(笑)。
H谷:事件ですよね(笑)。
団長:情報収集やからしょうがないがな。そしたらしばらくして出てきた「讃岐うどん」は、丼にたっぷりとダシが入って、その中で麺が泳いでる(笑)。
ごん:はいはい(笑)。
団長:そこに、ネギと、天かす。以上。
ごん:え!カマボコも入ってなかったんですか!
団長:ない。
ごん:「素うどん」じゃないですか。
団長:そう。あれはおそらく、ブームで「製麺所型」のうどん屋がめちゃめちゃ注目を集めてたのを見て「讃岐うどん=シンプルでチープで安いうどん」というイメージ持ってしまったからあんなことになったんだと思うんやけど。
ごん:何だかなあ…ですね。
団長:そこでいたたまれなくなった私は、店長を呼んで「これは讃岐うどんの全貌を誤解している!讃岐うどんを貶めることにもなる!」と…
ごん:お!
団長:…いう気持ちをグッと抑えて、お金を払って出てきた。
ごん:お約束ですね(笑)。
団長:というわけで、とりあえず「香川のうどん屋に『讃岐うどん』というメニューはない」ということだけお伝えしておきます。
バックナンバー
-
#28 「讃岐盛り」 (2022.07.11更新) -
#27 「美しいテボの振り方」 (2022.07.04更新) -
#26 「香の香のダシと土井勝先生」 (2022.06.27更新) -
#25 「「田村」の“薫るツルツル麺”」 (2022.06.20更新) -
#24 「「がもう」のルーツ」 (2022.06.13更新) -
#23 「うどん神社」 (2022.06.06更新) -
#22 「CTスキャンに気をつけろ」 (2022.05.30更新) -
#21 「胃カメラ担当医のマニュアル?!」 (2022.05.23更新) -
#20 「「西森」の系譜」 (2022.05.16更新) -
#19 「有名店の大将7人衆による「秘密のうどんイベント」レポート」 (2022.05.09更新) -
#18 「「香の香」のダシの真実」 (2022.05.02更新) -
#17 「太宰府天満宮の奇跡」 (2022.04.25更新) -
#16 「団長とH谷川君の出会い」 (2022.04.18更新) -
#15 「“ニセ団長”現る。」 (2022.04.11更新) -
#14 「牛の胃の謎」 (2022.04.04更新) -
#13 「ススムのミカン」 (2022.03.28更新) -
#12 「2006年・強者50人が選んだ「私の好きな店ランキング」7位~4位」 (2022.03.21更新) -
#11 「2006年・強者50人が選んだ「私の好きな店ランキング」10位~8位」 (2022.03.14更新) -
#10 「2006年・強者50人が選んだ「私の好きな店ランキング」15位~11位」 (2022.03.07更新) -
#9 「幻の麺通団員「猿人J」登場!」 (2022.02.28更新)




















