麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

142

団長:H谷川君は確か、ざるを食べるのが下手だったよな。

ごん:前みんなで食べに行った時、えらいもたついてましたからねえ。

H谷:僕、基本「かけ」系なんで、あの麺を取ってつけダシにつけて食べるいうのがちょっとね。でも団長は確か昔、琴平の「宮武」の大将に「うどん食べるん下手やなあ」って言われてましたよね(笑)。

団長:あれは食べるのがちょっと遅かっただけや。

ごん:ま、真相はわかりませんけど、とりあえず団長がざるを食べるのにヘタを打ったことを白状した回がありましたので、どうぞ。

「はりや」のざるで指を攣る

団長:こないだ。

ごん:はいこないだ。

団長:「はりや」で「天ざる」の大を頼んだんだ。

ごん:えー!「はりや」で大ですか。

団長:メチャメチャ腹が減ってたからついうっかり頼んでしもたんやけど、小山のような麺が盛り上がって出てきたのを見て、後悔した。

ごん:わかりますわかります(笑)。

団長:ほんで大将が「ちょっ変わったんしたからね」言うから見たら、ワカメが乗っとんだ。

H谷:「はりや」のざるにワカメは乗ってきませんからね。

団長:「何があったん?」って聞いたら、「さっきの『ワカメうどん』のお客さんに乗せたワカメが余ったから」って。

H谷:はははは(笑)。

団長:ほんでメニューにない「ワカメ入り天ざる」を食べ始めたんやけど、俺は「はりや」のざるの食べ方に一応、自分の「型」があってね。

ごん:何でしょう。

団長:基本、麺は箸で1回に1本しか掴まんのよ。

ごん:麺1本で一口ですか。

団長:そう。1本だけ掴んでグーッと持ち上げても、「はりや」の麺はちょっと長いから1回では抜けんやん。そやから玉の中にまだ埋まっとる麺の先をそのまま箸でもう一回掴んでたぐって、箸に4本かかった状態にして持ち上げたらたいてい抜ける。それをつけダシにつけてスパッと1回ですすり込むんやけど、その量がちょうどええ感じで、上品に爽やかに食べられるんよ。

ごん:なるほど、飲み込む力が衰えてきたらそれぐらいがちょうどいいかもしれないですね。

団長:気力と体力が充実しとる時は2本掴んで食べることもあるけど、3~4本掴んで取ることはない。3本も4本も掴んで抜いたら、あとが大変なことになるんだ。

ごん:なりますなります。つけダシに全部入れたらダシがあふれますからね。

団長:ほんでね、こないだは腹がめちゃめちゃ減っとったから、2本ずつ取って食べることにしたんよ。ほんでまず表面の2本を掴んで持ち上げたら、伸びがいつも以上にすごくてビヤーッと伸びてきて、麺の先が玉の中にまだ埋もれとるからそこにもう一回箸を入れてグッとたぐって持ち上げたら、普通2回で抜けるのに、まだ抜けんのよ。しかも、1玉目と2玉目の間あたりの「え? そこが動くか?」みたいな所が動いたんや。

ごん:あっはっはっは!あるある!麺を右の方から取ったのに左の下の方の麺が動いたりする(笑)。

団長:そうそう、そんな予想外の所の麺が、1回たぐって持ち上げたのにぬるっと動きよんねん。「え? まだそこが動くんかおい!」みたいなところが。

ごん:あっはっは!

団長:ほんで3回目をたぐって、いつもの3倍の力でグーーッと持ち上げたら…

ごん:ようやく抜けましたか。

団長:指が攣った。

ごん:あっはっはっは!アホや!

団長:薬指。箸を持ったら普通、親指と人差し指と中指で上の箸を一本持って、下の一本は薬指で支えるみたいな感じになるやん。

ごん:なりますね。

団長:それで麺を掴んで持ち上げる時に、俺、結構薬指に負荷を掛けて持ち上げるんよ。それを、1回グーッと持ち上げて、2回目たぐってグーッと持ち上げて、さらにもう1回たぐってグーッと持ち上げて麺を玉から抜いてダシにつけて食べる…いうのを何回も何回も続けよったら、薬指があまりの負荷の連続に耐えられなくなって、上に曲がった状態で元に戻らんようになった。

ごん:あっはっは!

団長:それであわてて一回箸を置いて、薬指をほぐして元に戻して、それから箸を持ち直して残りを何とか食べ終えたんやけど、ふと視線を感じてチラッと見たら、その一部始終をじーっと見てた客がおったんだ。

ごん:あっはっは!もう麺通団団長の権威失墜ですよ(笑)。

団長:すいません、あの時に見られていた方、ネットにアップしたらこらえんぞ。

H谷:ははははは(笑)。

注目!CONTENTS