編集 田尾 和俊
16
団長:今回はちょっと長いので前振りは短く、さっそく本編に。
団長とH谷川君の出会い
団長:展開力のあるお便りを頂いております。
ごん:「話が長くなるお便り」とも言い換えられます(笑)。
いつも楽しく聴かせていただいております。ところで、ごんさんとか猿人Jさんなどと団長の出会いは過去の放送で何となく知っているんですが、長谷川さんと団長さんはどのような出会いがあったんでしょうか。もしよろしければお聞かせください。
団長:ちなみに、ごんと私の出会いは繰り返さなくてもよろしいか?
H谷:長いですか?
ごん:どうですかね、私の話を始めるには、まず“にっしゃん”の話からせないかんわけですよ。
団長:“にっしゃん”こと西岡を語るには『タウン情報かがわ』の創刊から語らんかったらいかんのやけど、創刊を語るには、「俺がなぜ広告代理店におったのにタウン情報創刊に関わることになったのか」を説明せんことには始まらん。
ごん:ということは、団長がその広告代理店の入社試験を受けた時のエピソードは欠かせませんね。
団長:入社試験の話は、俺が大学4年の時の“あり得ない状況”の話と切り離せんぞ。
ごん:すると、友達と一緒にその大学を受けに行った時の連絡船の中で食べたうどんの話から行かないと。
団長:それを言うならその前の…
H谷:あの、もう聞かなくていいです。
団長:じゃ、H谷川君の話を。
ごん:実は僕も、団長とH谷川君が知り合った経緯はよう知らんのですよ。
団長:しょうがないな。俺と長谷川君との出会いを語るには、どうしても盛の大将の話が出てくるんやけど、かまんか?
ごん:長くなければ。
団長:じゃ、不本意ながら短く。たぶん最初は「うどん王選手権」やな?
H谷:そうですね。
団長:「讃岐うどん巡りブーム」がピークに向かってグイグイ行っきょった1998年に、我々が国営讃岐まんのう公園で「讃岐うどん王選手権」いうのを始めたわけや。司会進行が俺。お供にごんとイデザオ。「キビダンゴやる」言うたらついてきたんやったっけ。
ごん:違いますよ皆さん。
団長:確か第1回は100人ぐらいの参加で、讃岐うどんの基礎知識から超マニアックな問題まで大量に用意してね。テレビもRSKの『VOICE21』が「特番を組む」いうて取材に来て、ほんで4時間もやった結果、第1回の優勝者が盛の大将。ラーメン屋の大将が優勝してしもたんや。あ、今日は盛の大将がゲストにいらっしゃっています。
盛 :お世話になっております。いやもう、あの時はめちゃめちゃ感動しましたよ。親には勘当されましたけどね。
団長:それでな、
ごん:ちょっとちょっと! 今の盛の大将の渾身のダジャレ、拾ってあげんのですか!
団長:ええねんええねん。昔、盛の大将と車でうどん屋探検しよった時に何か農道のあぜ道みたいなところに迷い込んでしもてね、ほんでも道にうっすらと車が通った跡が見えたから、「車の轍(わだち)があるから何とか行けるんちゃう?」言うたら、盛の大将が「ワダチにまかせなさい」言うたのにちょっと笑てしもたんが俺の人生の唯一の汚点なんや。
ごん:なるほど、それでさっきのは意地でもスルーしたと(笑)。
団長:ほんで翌年、次は「絶対にうどんマニアが優勝せないかん」いうて第2回をやったら、今度は愛媛県の生協の職員の福田君が優勝したんや。福田君は一応うどんマニアやったけど、タイトルが県外流出や。ほんで「県内のうどんファンは何をしよんや!」いうて第3回をやったら、第3回は大分のうどんマニアのUSO800さんが優勝した。
ごん:県外どころか、四国外に流出してしまいました(笑)。
団長:それで、「この調子でいったら、第4回は台湾かどっかに持って行かれるぞ」いうてね。
ごん:「讃岐うどん王」なのに、県内のうどんファンがタイトルを獲得しないまま、ついに国外流出するかもしれんという大ピンチになりました。
団長:そこで、そんな由々しき事態は何としても避けないかんということで考えに考えた結果、
ごん:結果、
団長:「讃岐うどん王選手権は第3回で終了しよう」という結論に達した(笑)。
ごん:どんな結論ですか!
団長:いや、それがな、この第3回は参加者が400人を超えて、さらに観客までようけ集まってえらい大きいイベントになったんや。キミも覚えとるやろ。ちょうど俺らの「うどん王選手権」の前日に「全国植樹祭」で皇太子ご夫妻がまんのう公園に来られてて、その時の式典に使ったでっかい野外のテント張りの会場を「そのまま使ってくれ」言われて、俺ら、あんなオバカなイベントを大量の菊の花で飾られた大ステージでやったやん。
ごん:いや、確かにあれ、すごかったですよね。
団長:そしたら500人ぐらい入る大会場からあふれるぐらい人が集まって、東京からテレビまで来て。正直俺、あの大盛況を見て、「もうこれ以上はないぞ」って思ったんよ。次回はどうやっても今回よりテンションが落ちる可能性が高いから、「ここでやめるのが一番かっこええ」と思ったんや。星野監督が阪神を優勝させて、みんなが「来年も!」言いよった時にサッと辞めたんと一緒や。
ごん:星野監督はどうだったか知りませんけど、何か言われてみたらその心境、わかりますね。
団長:そやろ? で、「来年はやらんとこ」と思いよったのに、ある日、「讃岐うどん王選手権が終わるらしい」という噂を聞きつけたパロットのマスターから連絡があって、「うちの若い衆(し)で、讃岐うどん王選手権に懸けとるやつがおる」言われた。
盛 :そうやそうや! パロットの一味の中にH谷川君がおったんや!
ごん:そうでしたね。H谷川君、うどん王選手権に懸けとったんや(笑)。
H谷:懸けてなんかないですよ! しかも「うちの若い衆」でなくて、僕はただのパロットの客やと。
団長:ほんでマスターが「ここでやめたらうちの若い衆の人生の目標がなくなるやんか」と。
ごん:もうH谷川君、グレますよ。
H谷:ちゃいますよ! 人生の目標でも何でもないですからね! というか、そんな話、初めて聞きましたよ!
団長:さらにマスターが言うには、「うちの若い衆、毎回選手権に出てええとこまで行くんやけど、いつも決勝に残れんのや」いうて。
H谷:それは確かにそうなんですよ。いつも準決勝までは残るんですけど、そこで毎回止まるんですよね。
団長:ほんで「うちの若い衆、次こそは言うて、今までの選手権に出た問題を全部研究して傾向と対策を立ててなあ、来年出そうな問題を自分で100問ぐらい作ってトレーニングしよんや」って。
ごん:そこまでしよったんや!
H谷:今思うとどうかしてたんだと思いますけど(笑)、自分でよっけ問題作ってね、それをパロットのマスターに見せて「どうですか?」言うたら、「ええんちゃうん」って。
ごん:そんな話を聞いたら、やめるわけにはいかなくなりますね。
団長:そうなんよ。それで仕方なく「もう一回やるか」となって、結局第4回の開催の告知をしたんやけど、今度は問題作成に苦しんでな。それまでの3回でオリジナリティあふれる問題を100問ぐらい作ってきて、超難問の決勝問題も3回作ったから、もう問題のネタがないがな。
ごん:そんじょそこらの問題だったらすぐできるんですけどね。
団長:我々はそういうわけにいかんがな。しかしそうこうしよるうちに第4回の開催が近づいてきて「困ったなー」思いよる時に、ふと「そうや、パロットのマスターんとこの若い衆が問題作っとった言いよったな」って思い出したんや(笑)。
ごん:そこ行きましたか!
団長:ほんでマスターに電話したら「あるで。渡そか?」言うから、それをもらって、そこから発想のヒントを頂いて、しかし同じような問題を出したらH谷川君の術中にはまってしまうから、全部ちょっとずつひねって何とか問題を作り上げた。
H谷:それでや! 第4回の時、僕、あまりにも予想した問題が外れまくるんで、準決勝にも進めんで予選落ちしましたよ!
ごん:あっはっはっは! 団長の術中にはまっとる(笑)。
団長:ちなみに第4回は、地元香川のうどん関係者の日讃製粉の景山君が優勝してくれました。めでたしめでたし、と。
H谷:僕はちっともめでたくないです。
団長:とまあ、そういうきっかけです。
ごん:でも、まだ団長とH谷川君が出会った話になってないですよ。
団長:あ、そうか。それから何があったんやったっけ?
H谷:僕、覚えてるんですけどね、『超麺通団1』が出た時に中を見たら、麺通団メンバーのところに突然僕の名前が入っとったんですよ!
団長:あ、思い出した。『超麺通団1』の原稿を書っきょった時、最新の麺通団員のリストを思いつくままに作りよって、パロットのマスターに「あんたまだ麺通団員やで。名前入れとくで」いうて電話をしたら、マスターが「適当に名前入れよんなら、うちの若い衆のH谷川君を入れてくれたら喜ぶわ」とか言うてきたから、そのまま名前だけ入れたような気がする。
H谷:いや、僕も今思い出したんですけど、団員に勧めてくれたのは盛の大将ですよ。
盛 :そやったか。そういや、パロットに「団長が麺通団メンバーの名前を集めよるらしいんやけど、パロットさん、おたくのH谷川君どうやろか」いうて打診したかもしれん。
団長:やっぱりそこからやな。H谷川君がピンポイントで俺とつながったんは。
H谷:そこから僕、人生間違ったんですね。
盛 :いやいや、立派な選択ですよ(笑)。団長にしても貴重な戦力を手にしたのは間違いないですからね。H谷川君、めちゃめちゃタイムリーなうどんの話題を拾ってきますからね。「昨日どこそこがオープンしました」とか、「明日オープンします」とか、そういう情報をいつもよっけ持っとんです。
ごん:さすが、情報が早い!
団長:早すぎて、たまに店の人も知らなんだりするからな。「えーっ! 明日うちオープンですか!」みたいな。
H谷:何でやねん!
盛 :けど、どっかの店のオープンの時に「H谷川君が開店準備まで手伝いよった」いう話も聞きましたよ。
H谷:それは一回ありましたけど。
ごん:あるんやほんまに!
団長:ま、そういうわけでお便りを頂いたこの方、長谷川君が何者かというのは、この番組をじわじわと聴いていただいているうちにだんだん判明してくるということでよろしいでしょうか。
ごん:長かったなー!
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