麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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団長:今年中に1000回を迎えるらしい『うどラヂ』には、不本意ながら「うどんの話」が全く出てこない回が何度かありまして。

ごん: 「不本意」と言う割には、200回ぐらいはあったような気がするんですけど。

団長:それはきみらがうどんの話を聞き逃してるんや。

ごん:えー!一緒に収録してるのに聞き逃してたんですか!

団長:俺が24分の1秒ごとにちっちゃく「うどん」言うてるのを聞き逃してる。

ごん:それ、もしそうだったとしたら、サブリミナル効果が全く現れてないということですけど(笑)。

団長:というわけで、うどんの話が出てこない回も、それなりにお楽しみいただいているようで、何よりです。

世界の「TAO」

団長:秋の、お便り大消化月間!

ごん:リスナーからのありがたいお便りを「消化」いうのはどうなんですか?

団長:秋の、お便り大紹介月間!

ごん:ま、それならね(笑)。

団長:「しょうか」に「い」を入れるだけでこんなにポジティブに変化するという、日本語の不思議やね。「頭がキレる」と「頭がキレている」では天と地の差があるみたいなもんや。

H谷:ははははは(笑)。

団長:1通目は、どう展開しても「うどんの話」にならないお便りです。

ごん:でも読むんですね(笑)。

皆さんこんばんわ。埼玉の「雪面の飛び魚」です。今日の夕刊に、世界的なトップモデルの「TAO」という人が載っていました。田尾団長のお嬢さんですか?

団長:全然違います。

ごん:違いますね。

団長:そのモデルの人は、名字じゃなくて下の名前の方が「多緒(たお)」らしいけど、実は「TAO」っていうのは世界中のあちこちにあるみたいなんや。

ごん:中国語にも「タオ」ってありましたよね。

団長:中国語で「タオ」は「道」のことや。宗教の「道教」は「タオイズム」やからね。

ごん:あっはっは! 

団長:ちなみに私は、ラスベガスで「TAO」に出くわしました。

ごん:どゆこと?

団長:5年ぐらい前に、観光開発の成功例の調査研究の一環でラスベガスに行きまして。

ごん:行き先がとても研究とは思えないんですけど(笑)。

団長:あのね、1950年にラスベガスの人口が3万5000人で、善通寺市の人口が3万7000人やったんや。それが、2020年に善通寺市の人口が3万1500人で、ラスベガスの人口が270万人って、どういうことや。

ごん:それは研究材料になりますね。

団長:なるだろ?ほんでラスベガスに行って、本買うたり詳しいガイドに聞いたりしよったら、あそこ、昔は今のダウンタウンあたりが栄えの中心やったのに、郊外に大型商業施設ができてごっそり客を持って行かれて寂れてきて、今、税金入れたりしてテコ入れしよるという、何か高松の旧商店街と郊外の大型商業施設の歴史と同じような話が出てきて、楽しいぞ(笑)。

H谷:何か、「ラスベガス」いうたらカジノのイメージなんですけどね。

団長:まあ、ほぼ全部のホテルにカジノはあるけど、何せ、いちいちバカでかいんや。例えばボクシングの世界戦なんかで出てくる「MGMグランド」いうホテルは、客室が5000室超。

ごん:と言われてもピンと来ませんが。

団長:高松のクレメントが300室ぐらい。

ごん:でかっ!

団長:しかも客室だけではなくて、ホテルの中に1万7000人収容のアリーナがあって、2000人収容のシルク・ド・ソレイユの常設劇場があって、レストランやナイトクラブが20軒ぐらいあって、ライオンの動物園があって、ディスコがあってテレビスタジオがあって結婚式ができるチャペルが2つあってスパがあってフィットネスジムがあってショッピングセンターがあって、カジノはテーブルが100台ぐらいにマシンが1200台ぐらいあって、ホテルの敷地内にはプールが5つあってテニスコートが2つある。

H谷:何ですかそれ。

団長: 「高松のサンポートと高松駅とその周辺エリアを全部合わせて1つのホテル」みたいな感じや。そういう「客室数3000~5000にカジノやショッピングやアトラクションがいっぱいくっついた巨大なホテル」が、全長5キロぐらいの1本道のストリートの両側に20コぐらい並んでるわけだ。ちなみに、日本で一番客室数が多いホテルが「品川プリンスホテル」の3700室ぐらいで、それを合わせて2000室を超えるホテルは全国で4つしかないらしい。

ごん:ちょっとおかしいですよね(笑)。

団長:おかしい。ラスベガスに何日かいてあちこち見て回った一番の感想が、「アメリカ人はどうかしてる」や(笑)。

H谷:ははははは(笑)。

団長:それで観光客はみんないろんなホテルに行って遊ぶんやけど、その中に「ベネチアン」いうホテルがあってね。ここはイタリアのベネチアの町を再現したみたいなテーマホテルで、客室は4000室オーバーで、カジノはテーブルが130台にマシンが2200台で、常設劇場が「ファントム(オペラ座の怪人)」ともう1つあって、レストランやショッピングモールやチャペルやプールやいろいろあるんやけど、さらに、ホテルの外から中にまで運河が巡らされてて、ゴンドラに観光客を乗せてゴンドリエーレ(船頭さん)が漕いで回ってくれるんや。

ごん:ベネチアと同じですね。

団長:そう。表にはちゃんとあの橋もあって。何やったっけ、何かボンカレーみたいな名前の有名な橋。あ、「リアルト橋」。

ごん:……そら「レトルト」や!

団長:ほんでね、ホテルの中に入ったら、ベネチアの町があるねん。店がいっぱい並んだストリートがあって路地があって、上を見たらスクリーンに映された空があって雲や夕焼けもちゃんとあって、ほんま、1時間ぐらい散策してたらホテルの中なのか外なのかわからんようになる。「ホテルの中のベネチアの町」なんよ。

ごん:やっぱりおかしい(笑)。

団長:ほんでその「ベネチアン」に行った時なんやけど、ホテルの前の大きな広場の一角に立ってた大きな広告塔に、でっかく「TAO」って書いてあったんよ。一瞬「俺?」って思ったんやけど、とりあえず「ベネチアン」に入って探したら、ほんまに「TAO」いう店があった。

ごん:怪しいですね(笑)。

団長:中に入ったら薄~くお香の匂いが漂ってて、奥の方に何やらレストランかクラブかバーの入口が見えたんやけど、ちょっとそっちは初心者には恐ろしそうやったからエントランスだけ見回したら、「TAO」ってプリントされたTシャツとか「TAO」ストラップとか「TAO」マグカップとか「TAO」コースターとか、とにかく「TAOグッズ」がそこら中にいっぱいあるんだ。

ごん:あっはっはっは!

団長:「俺の店か!」みたいな。ほんで思わず「TAO」Tシャツと「TAO」コースターを買うてしもたんよ。コースターは薄く切った大理石でできてて、裏がビロードみたいになってて、表にちっちゃく「TAO」いうて書いてある。

ごん:台無しですね。

団長:何でやねん。ほんでね、それをレジに持って行ったらチャイナドレス来たおねえさんが出てきたから、俺、その時に持ってたパスポートをチャイナ姉さんに見せて、「アイムタオ」って言いました。

ごん:小ネタを投入したわけですね。

団長:はいな。そしたら姉さん、チラッと見ただけでノーリアクションや。

ごん:ダメですね。

団長:やっぱりああいう所は、アジア人よりアメリカ人の方が断然おもろいわ。別の話やけど、その2年ぐらい前にナイアガラの滝に行ったんよ。

ごん:研究で。

団長:研究で(笑)。ほんで滝のすぐ横の大きな公園みたいな所に観光客がわんさかと集まって滝を見よって、俺もそこにおったんやけど、しばらくしたらその辺を警備してた警官がこっちに向かってきたんや。

ごん:何かやらかしましたか。

団長:何もやらかしてないし、危ないもんは持ってないし、ただ滝を見よっただけやのに、明らかに俺を目指して警官が来て、俺の手のあたりを指差して「オメガー」みたいなことを言うてきたんよ。一瞬何を言われたかわからんで、「オーマイガー」言うたんか? 「おめえ(お前)が」いうて呼びかけられたんか?いや、それは日本語や、何や何や…とか思いよったら、もう一回、今度ははっきりと俺の腕時計を指差して「オメガ」言うたんや。

ごん:あの、団長愛用の「007」のオメガの腕時計ですね。

団長:はい。ほんで俺のオメガの時計がどうしたんや?ナイアガラはオメガ禁止とかになってるんか?とか思う間もなく、その警官が自分の腕のシャツをまくって腕時計をこっちに見せて、「オメガー」って。

ごん:あっはっは!自分と同じ時計をしてる観光客を見つけたから、いじりに来た(笑)。

団長:どうよ、このアメリカ人のご陽気さ。

ごん:というか、やっぱりアメリカ人はどうかしてます(笑)。

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