麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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団長:これまで『うどラヂ』で私の食習慣についてキミらに散々突っ込まれてきたけど。

ごん:何がありましたっけ?

団長:「焼きうどんはソース」言うたら「醤油や」って叩かれたし、「ビッグマックを2つに剥がして食べる」言うたら引かれたし。

谷本:でも「ビッグマックを剥がして食べる」っていうの、試してみたらすごく食べやすかったですよ!

団長:だろ!あと、「食後にパンを食べる」いうのも非難囂々やったし。

ごん・H谷・谷本:それはどうかしてる(笑)。
 

小エビのかき揚げにウスターソース?!

団長:お便りを頂いております。

麺通団の皆様こんにちわ。東京都在住の「足立区民」です。小エビのかき揚げにソースなんて、以ての外(もってのほか)です。

ごん:でしょ?どう考えてもそうでしょ!

団長:何週間か前に「俺は小エビのかき揚げにウスターソースをかけて食べている」って言うたら、ごんとH谷川君から非難囂々だったのに、さらにリスナーからも「以ての外です」と突っ込まれました。

H谷:ははははは(笑)。

ごん:ま、世間は小エビのかき揚げには天つゆか塩、百歩譲って醤油までということですよ。

団長:ちなみに「足立区民」さん、その後ろに一文付いております。

マヨネーズです。

ごん:あっはっはっは!違う違う!

団長:マヨネーズは違うだろ!

ごん:あのね、みんなね、これは「自分の好きな物を発表する場」じゃないからね!

H谷:それ言うたらもう、何でもありになりますよ、これ(笑)。

ごん:話を整理しましょうよ。まず、小エビのかき揚げは「フライ」じゃなくて「天ぷら」組なんよね。フライならまだソースはわかりますよ。マヨネーズも「エビフライにタルタル」いうのもあるし、まあ良しとしましょう。ただ、天ぷらですからね。言うときますけど、「天ぷらにソース」はない。

団長:さらにもう一通頂いております。

団長ごんさんH谷川さんこんばんわ。アメリカ在住の笛太郎と申します。私はかき揚げを食べる時、天つゆまたは塩はかけますが、「醤油かソースか」と聞かれると、圧倒的に醤油だと思います。ソースをかける人が世の中にいたとは驚きです。

ごん:あっはっは!まあまあそういうことですよ。例えばキスの天ぷらをカウンターの向こうで大将が揚げ
て出してきたとしましょうよ。細長い菜箸でポンとね。

団長:キミ、高そうな店に行っきょんやのー。

ごん:テレビで見る店ですよ。すると、たいてい塩か天つゆが出てくるでしょ?

団長:天つゆも塩もなかったとしたら?

ごん:そんな天ぷら屋はないと思いますけど、もし何かのアクシデントで塩も天つゆも切らしたとしたら、そこに醤油があったら「大将、この醤油かけてもいい?」とか言うても「いいよ」って言うてくれると思いますけど、「ソースある?」言うたら「帰れ」言われますよ(笑)。

団長:けどな、お便りに続きがあるんや。

ごん:何でしょう。

ただ、ちょっと気になることがあります。数年前、「焼きうどんには醤油かソースか」という論争が勃発した時、私は醤油派を支持しました。しかしその後、試しに「ソース味の焼きうどん」を作ってみたところ、意外においしく、現在はソース派に転身しております。

ごん:裏切り者か(笑)。

ひょっとすると、小エビのかき揚げにもソースが合うのかもしれません。今度試してみようと思います。

団長:というお便りや。

ごん:まあ確かに、試さずして判断をするというのはよくないですからね。

団長:そこへ、「試してみました」というお便りが来ました。

ごん:素晴らしい!

静岡の「ジョルトレーン」と申します。第370回の放送で、「エビのかきあげ天には醤油を付けるのか、ウスターソースを付けるのか」という話がありました。

ごん:ありましたね(笑)。

H谷:僕の周りでも大反響でしたよ。「H谷川さん、変な人と付き合ってるんやね」とか言われましたからね。

ごん:あっはっは!ただし皆さん、言うときますけど「エビのかき揚げには醤油かウスターソースか」という2択の話やないからね。「ソースをつけるのはおかしい」という話だけやからね。

H谷:ええええ。

もう世の中、何を信じていいのかわからなくなって、晩酌にやけ酒をあおってしまいました。

ごん:まさにその通りですよ。

がしかし、冷静に考えてみますと、それまでほとんど注目を浴びていなかった製麺所型うどん店を発掘し、その驚愕の味と雰囲気を世に伝導したのは他ならぬウスターソース派の団長です。ということは、もしかして「かき揚げにソース」というのは今は世に知られていない製麺所みたいなものではないのか、という思いがこみ上げてきました。これは試してみなければなりません。

ごん:確かに試してみるのはいいことです。

そこで、責任を持ってレポートし、この件で諍いをしているお3人さんに和解をしていただかなくてはなりません。しかしまさか妻や息子がいる前で試すのはさすがに白い目で見られるような気がするので、妻が働きに出て息子が小学校に行っている平日休みのランチにこっそりと決行致しました。

ごん:「あり得ないことをやろうとしている」という自覚はあるんですね(笑)。

まずは、お腹が空いているとまずい物も「うまい」と勘違いしてしまう恐れがありますので、ラーメンの大盛りでお腹を満たし…

ごん:あっはっは!

次に、スーパーでウスターソースと、残念ながらエビのかき揚げがなかったので野菜のかき揚げを2つ、ついでにイカ天を1つ買ってきました。

ごん:「家にソース置いてないんかい」っちゅう話ですけどね(笑)。

ラーメンでお腹が一杯なのにウスターソースなんかをつけた天ぷらが果たして食べられるのか、胃袋に一抹の不安を感じながら恐る恐るかき揚げをソースにつけて口に運び、モグモグ。おや? もう一口、モグモグ。れれれ?

ごん:どゆこと?

これはイケます!何というか、かき揚げに醤油だと油にカドが立ったような味わいなんですが、ウスターソースは脂っこさがむしろ中和されて、、悔しいけどおいしいんです。ウスターソースですべて、あっという間に完食してしまいました。

団長:味覚の本質に触れたね、ジョルトレーン君は。

ここで私の考察ですが、かき揚げの材料は小麦粉と野菜。同じ材料で作られている物に「お好み焼き」があります。かき揚げにウスターソースというのは、実は慣れ親しんできた味なのかもしれません。

ごん:この人、理論で攻めてくるねえ。

醤油には砂糖は入っていませんが、ウスターソースには砂糖が入っています。ちなみに、私が今回購入したのは地元浜松の「トリイソース」です。

ごん:ウスターソースって、銘柄によって全然味ちゃいまっせ。

団長:違います。

ごん:だから、「トリイソース」だけは合うのかもしれないよ。

材料表示の筆頭が「砂糖」です。

ごん:あっはっは!

団長:野菜と果物が筆頭じゃないのか?

つまり、お子ちゃまの舌を持つ団長にしてみれば「醤油よりウスターソース」というのは必然だったかもしれません。

H谷:なるほどね。

団長:けど「トリイソース」も風味は絶対ソースやろ。

今回の実験で、私も「かき揚げにウスターソース派」に転向してしまいました。

団長:ほら見てみー!

ごん:まあそう言われれば確かにね、「醤油さえかけとけば何とかなる」という安易な気持ちがないかと言えば、あったかもしれませんけどね(笑)。けど、それならひょっとしたらマヨネーズもアリかもしれませんね。

団長:マヨネーズは合わない。

ごん:あっはっはっは!

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