麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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団長:1990年代後半から始まった「讃岐うどんめぐりブーム」は、いわゆる「怪しい製麺所型うどん店」が中心になって牽引してきたわけですが、その中で「怪しいおばちゃん」…じゃなくて「愛すべきキャラ大爆発のおばちゃん」もたくさんおられました(笑)。

H谷:皆さん、ブームに欠かせない面白キャラでしたね。

団長:「でしたね」と過去形で言ったのは、あの頃からもう20年も30年も経って、皆さん大体もう引退されてるからですけど。

ごん:当時すでにおばちゃんだったりおばあちゃんだったりしましたからね。

団長:では今回は、そんな「愛すべきキャラ大爆発のおばちゃん」の中でもトップクラスのインパクトのあった「赤坂」のおばちゃんが出てくる、リスナーのレポートの回です。

「赤坂」のおばちゃん

団長:お便りを紹介します。

いつも楽しい放送をありがとうございます。関西在住の「どこぞのハカセ」です。

ごん:いつもありがとうございます。

先日、久しぶりに「赤坂」へ行ってまいりました。

団長:「赤坂」のリピーターか。

H谷:あそこ、結構リピーターが多いんですよ。たぶん女将のキャラのせいですね。

団長:京都の別P君なんか、香川に来たら「赤坂」で泊めてもろたりしよったからな。

「赤坂」は「ハイテンションの名物女将がいる店」と聞いていたので、私はそれにどう対処するかイメージトレーニングをしながら日曜の昼下がりにお店に着いたのですが、覚悟を決めて店内に入ると、誰も見えません。目をこらして店の奥を見ると、女将がドッグフードをお皿に入れてしゃがんでいました。どうやら犬に昼飯を与えているところだったようです。

H谷:いい感じですねえ。いつもの「赤坂」です(笑)。

そこで女将に向かって「すみません」と声を掛けると、気配ゼロの状態から唐突に、カウンターの下からおっちゃんが現れました。

ごん:あっはっは!「黒ひげ危機一発」みたいな感じですね(笑)。

団長:最高の出会いやないか。もうこれで「赤坂」の魅力の60%は体験したぞ(笑)。

まさかのこの展開は予想していませんでした。気を取り直して女将のハイテンションに備え直したのですが、この日の女将はびっくりするぐらいローテンションでした。私の方を向いて抑揚のない声で「何玉?ぬくいん?冷たいん?醤油?ダシ?」と聞いてきます。テンションの低さに戸惑いつつうどんを注文すると、「200円、フタの中」とぶっきらぼうに言われて、慌ててチーズのフタにお金を入れました。

ごん:何かあったんですかね。昼下がりということは、昼のラッシュ時に嫌な客が来たとか。

団長:ちなみに「チーズのフタ」はヘビーなリスナーならご存じの通り、「赤坂」は今、雪印の「6Pチーズ」のフタがお代入れになっていて、お釣りも自分でそこから取るという、「赤坂」の最新のレジです(笑)。

H谷:僕、あれが初めて店に出た時、お金払おうとしたら女将にいきなり「200円、チーズのフタ~」言われて一瞬止まりましたからね。

さて、女将といえばハサミでのネギ切りですが、「切ってあるのもあるけどハサミで切る?」と言われたので「切ります」と答えると、ハサミをカウンターにバンと置かれ、「ハサミ取る」と命令形で指示されました。

H谷:来た来た(笑)。

言われるままにハサミを取ると、次に「ネギ持つ」と言われ、続けて「半分に切る」と言われたので自分でネギを半分の長さに切りました。最後に「残りを切ってうどんに入れる」と言われたので、ネギを短く切ってうどんに入れました。赤坂って、いつからネギ切りがセルフサービスになったんですか?

ごん:セルフサービスじゃなくて、正確には命令ですよね(笑)。

しばらくすると、男性5人組がワイワイ言いながら店内に入ってきました。すると、女将のテンションが急上昇! 「何人なー?ワンツースリー、5人やなー。何玉食べるかいうてねー。ダシと醤油どっちにするんなー?どっからきたんなー?みんなお友達かい?」と、ウワサに違わない赤坂の女将っぷりを発揮するではありませんか。そこで質問です。「赤坂」の女将も人の子、ギャラリーが少ないとテンションが上がらないのでしょうか。団長や赤坂の女将と携帯番号を交換されているH谷川さんであれば、お一人で行かれても女将のテンションは高いのでしょうか。

団長:という質問が来ていますが、まず私の経験を申しあげますと、最初の頃は何回行っても覚えてくれんでただの客扱いだったのが、今や行ったら手土産の一つも持たせてくれるぐらいの仲になっている私ですが、私に対しておばちゃんのテンションが上がったことは一回もありません。

ごん:あっはっは!

団長:一人で行くと、たいてい普通です。まあ普通に考えたら「赤坂」のおばちゃんも相手が一人だったらテンション上がらんと思う。というか、逆に1対1でテンション上げられたら、それはそれで妙な感じになるやん(笑)。

ごん:そらそうだ(笑)。

H谷:それと、「赤坂」の女将のぶっきらぼうなキャラは、「客に対して上から目線」とか「ちょっと怒っている」とかいうふうに感じ取っちゃダメなんです。

団長:あれは全然怒ってないんよな。

H谷:怒ってないです。赤坂の女将が語尾を「○○よ~」って延ばすのは、「○○」って短く言うと怒ってるみたいに取られるからって自分で言ってましたから。「赤坂」に限らず、ああいう感じの田舎の製麺所のおばちゃんというのはあちこちにいるんですよ。

団長:そうです。それが田舎の製麺所型の店の原風景だと思って下さい。

ごん:でも「どこぞのハカセ」さんは「ネギ取る、ハサミ持つ、ネギ切る」って短く言われたわけですね(笑)。

団長:ま、ある意味貴重な体験をしたということで(笑)。というか、正月の放送、赤坂のおばちゃんで終わっていいのか?

ごん:まあ「めでたい体験」の話ということでね。

団長:じゃあ、エンディングで何か挽回しよう。

ごん:挽回せないかんのや(笑)。

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