編集 田尾 和俊
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団長:どことは言わんけど、いろんなところにね、自分や自分たちの言ったりやったりしたことが間違ってたりうまくいかなかったりした時に、屁理屈をこねたり権威で抑え込んだりして自分を正当化して突っぱねようとする人たちがおる。
ごん:おりますけど、大丈夫ですか? ブーメランになって返ってきませんか?(笑)
団長:かなり返ってくる恐れがある(笑)。
H谷:でも、団長は昔から「私はいつでも前言を撤回できる」というのをモットーとしてますからね。
団長:その通り。あと、「名誉ある撤退」とね(笑)。
H谷:「間違ってることがわかったらいつでも訂正できる」とか、「うまく行かないことがわかったら直ちに撤退して方向転換ができる」いうのはとても大事なことですからね。
団長:だから、俺はいつでも「朝令暮改」ができる。
ごん:それは何か、あんまりいい意味に取れない気がしますが。
団長:「朝令暮改」どころか、「朝令“昼”改」でもできる。なんなら「朝令“朝”改」でもするぞ。
ごん:言うた端から訂正してますやん!
団長:ま、なるべく皆さん、よく調べたり考えてたりしてから、物を言ったりやったりするようにしましょう(笑)、という前振りで。
「香の香」のダシの真実
団長:うどラヂ始まって以来の爆弾情報を、今日はオープニングに使いたいと思います。
ごん:おー。
団長:私は今まで、いろんな勘違いをしていて失敗したことがよくあったわけです。
ごん:ありましたね。本を出した後でも「お詫びと訂正のコーナー」を必ずやってますしね(笑)。
団長:ま、「本を出す前にちゃんと校正しとけ」いう話やけど、こないだH谷川君から「長田in香の香」の愕然とする話を聞いたんや。
ごん:香の香と言えば、ダシですか。
団長:そうです。讃岐うどんのつけダシの世界では、「香の香のダシ」と言えば、ワタクシの言う「ノーザンダンサー」と言いますか、始祖やね。いや、サラブレッドの始祖はダーレーアラビアンとゴドルフィンアラビアンとバイアリータークやから、“始祖”でなくて“中興の祖”か。
ごん:すいません、100万リスナーが置いてけぼりですけど。
団長:全国2500万の競馬ファンにはわかりやすい例えなんやけど、しょうがないな。説明するか。
H谷:ごんさん、また変なスイッチ押しましたよ。
ごん:えらいことしてしもた。
団長:さて、「ノーザンダンサー」は1960年代にアメリカの3冠レースのうちの2冠を制するという大活躍をした馬なんですが、彼は自身の競走成績もさることながら、種牡馬になってから素晴らしい馬をどんどん輩出して「20世紀で最も成功した種牡馬のうちの1頭」と呼ばれるようになったことは、皆さんご存じの通りです。
ごん:ここにいる誰も知りませんけどね。
団長:ちなみに、「ノーザンダンサー」は直訳すると「北の舞踏家」。彼の代表的な産駒の「ニジンスキー」や「ヌレイエフ」はロシア出身のバレエダンサーの名前ですから、まさに馬の名前としてのストーリーもそこにあるわけです。そして、そのノーザンダンサーの産駒の1頭の「ノーザンテースト」という馬が日本で種牡馬になって名馬を次々に輩出して、1970年代後半から1980年代の日本の競馬界をブイブイ言わした。すなわち、ノーザンダンサーの血が日本の競馬界の一大主流となって脈々と流れ、燦然と輝く至宝の血統となっていったわけです。
H谷:なるほど、その構図が「香の香のダシ」に通じると。
団長:そうです。「香の香」のあの絶品のつけダシが登場して以来、香川県下の多くの店であれを真似…、いやリスペクトしながら参考にして、うまいつけダシを作るうどん店があちこちに広がっていきました。それを見るにつけ、私の中では「ノーザンダンサーを“中興の祖”として、世界にその優秀な血が広がっている」という話と「香の香のダシを“中興の祖”として、“旨いつけダシ”の優秀な血が香川から全国、世界に広がっている」という姿が、まさにシンクロするわけです。
H谷:言われてみれば確かに。
団長:しかも、香の香のダシは昭和30年代~40年代の「満濃の長田」で生まれたから、ノーザンダンサーの生い立ちとほぼ同じ時代になる。これはもう、「ノーザンダンサーの父のニアークティックは、カナダでノーザンダンサーを生んだ後すぐに日本で『カノカノダシ』を生んだのではないか」と思われるほどのシンクロぶりではありませんか。
H谷:そこはちょっと何言ってるのかわかりませんけど(笑)、まあ団長が「香の香のダシ」を「ノーザンダンサー」と言っている理由は何となくわかりました。
団長:それでね、昔、「香の香」の女将さんから「土井勝先生にダシをちょっといじってもらったらとてもおいしくなって…」とか「実はカツオや昆布やイリコなんかの他にメジカを足して…」とかいろいろダシの話を聞いてきたもんだから、「ゲリ通」とか『恐るべきさぬきうどん』を書き始めて以来20年以上にわたって、俺は「香の香のダシは讃岐うどんのつけダシの至宝だ! 香の香の女将さんは讃岐うどん界の宝だ!」とか言うて絶賛してきたわけや。しかも、「ダシばっかり褒めよったらうどんを作りよる大将に『わしのうどんはいらんのかい!』いうて怒られるわ」みたいな“ない話”のツッコミまで入れてネタにしたりして(笑)。
ごん:言うてましたね。
団長:ところがや、ここ皆さん、よーく聞いとってくださいね。こないだH谷川君から初めて聞いたんやけど、
ごん:はい。
団長:あの香の香のダシは、
ごん:ほう!
団長:大将が作っているそうです。
ごん:おーーーーーい!!!!!
団長:俺もう、目がポロッと落ちたよ。
ごん:いやいやいや! というよりH谷川君、今まで何回も僕と団長が話しよるのをずーっと聞きよってどない思ってたんや! 知っとったんやろ?
H谷:知ってましたよ。何か、事あるごとに言ってましたよね。
団長:言いよったわ!
H谷:それが、「大将が俺はいらんのかい」っていうオチまでついた一本ネタをしゃべるお二人があまりにも楽しそうだったんで、「これは知っとるけどやっぱり黙っといた方がええんちゃうか」って。
団長・ごん:言えよ!
団長:ちょっとこれは、麺通団法違反やの。
H谷:初めて聞きましたよ、その法律。
団長:判例を挙げるなら、以前、俺が大学で授業の前に総務のチンペイのところに行って教室のAV機器のカギをもらって授業してカギを返しに行ったらチンペイに「田尾先生、さっきカギ取りに来た時、歯にネギが付いてましたよ」言われて「早よ言え!」言うたんと同じ犯罪じゃ。
ごん:これは次回の麺通団裁判所で裁かないかんですね。
団長:裁判官は俺とごんと2人じゃ。
H谷:有罪確定じゃないですか!
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