麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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団長:このテキスト版は今、2014年あたりに放送したものを加筆再現しているわけですが。

ごん:「加筆」と言い切っちゃいましたね(笑)。

団長:当初から説明している通り、会話を一字一句文字正確に文字に起こしたら非常に読みにくい上に、被った会話が表現できないとか発言や笑いのニュアンスがうまく表現できないとかいろいろ不都合があるから、ああいうものはちゃんと「読む用の文章」に直さないかんのよ。

ごん:でも内容はちゃんと再現してますからね。

団長:それはどうかな?

ごん:おっさんおっさん!

団長:ま、いずれにしろ、なるべく楽しく読めるように頑張ってまとめているわけですが、一つだけ再確認しておくと、本編は基本的に「10年ぐらい前の話だから、事実関係は今とちょっと変わってるかもしれない」ということを前提に読んでいただきたいと。

H谷:大事な前提ですね。

ごん:これを読んで店に行って「違うじゃないか」と言われても困りますからね。

団長:すみませんがそういうことで、『うどラヂ』テキスト版は、「10年前にそんなことがあったんだ」というお話でございます(笑)。

「長兵衛」の真の楽しみ方

団長:お便りを頂いております。

ごん:ありがとうございます。

団長ごんさんH谷川さん、メリークリスマス。

ごん:メリークリスマース!って、いつのお便りですか!もう7月ですよ!

団長:大事なリスナーからのお便りは、いつまでも大切にしておかないと。

ごん:早よ読んであげなはれ。

広島県北部在住の「ナシ・ゴレン」と申します。

団長:ポイントの高いペンネームです(笑)。

先日行った讃岐うどんツアーの際、最後を飾る店をどこにしようかと考えた結果、初めて、仁尾の「長兵衛」にお邪魔しました。

団長:素晴らしい。

店に入ると、おばちゃん一人で客はおらず、とても静か。注文した中華そばが…

団長:やっぱり中華そばか(笑)。

H谷:「長兵衛」の一番人気メニューですからね(笑)。

…出てきても、なぜか全然話しかけられません。「はっはーん、本当はラジオと違うんだ。H谷川さん、だいぶ盛ってるなあ」と思いながら食べていたのですが…

団長:H谷川君が番組で「長兵衛」のおばちゃんの弾丸トークの話をしたのを聞いたんやな。

…しばらくして大体食べ終わった頃、「どっから来たんな?」という質問を皮切りに、今日の昼はものすごく忙しくて今疲れていること、最近テレビにも出てご近所や知り合いからよく聞かれること、『GajA』の取材があって雑誌に載ったこと、その『GajA』を見せてあげようと思ったのにいつの間にか誰かに持って行かれたことなど、噂に違わぬ弾丸トークが始まりました。そこから一気に加速して、おばちゃんが嫁に行ったところから現在に至るまでの半生が、さまざまなエピソードを交えて語られました。

ごん:あっはっはっは!

その時点で、おばちゃんがこの店の「おばちゃん2号」であること、「おばちゃん1号は12歳下の妹であることが判明しました。さらに「ポイントカード導入」の経緯とその効果がつぶさに説明され、「期限とかはないけんなー」と、半ば強引に黄色いポイントカードが手渡されました。

ごん:あーらら(笑)。

そうこうしているうちに、「おばちゃん1号」が外から帰ってきて、僕たちを見るなり何の前置きもなく「本を盗まれてなあ」と第一声。

ごん:あっはっはっは!もう持ちネタと化してますな(笑)。

そこから、今朝まではそこに置いてあったのになくなってしまったこと、出版社に電話して「送って欲しい」と言おうと思っていること、でも今日は休日なのでそれができないことなど、悔しくてたまらないその胸の内を3周半にわたって語ってくれました。「えー、じゃあそろそろ帰ります」と言って席を立つまでまだまだいろいろ話をしてくれましたが、うれしくて頭が真っ白になってしまい、よく覚えていません。おいしい中華そばと、おばちゃんたちとの熱いおしゃべり、ラジオでH谷川さんが言っていたのと全く同じでした。ごちそうさまでした。

団長:というお便りを頂きました。

ごん:いやー、よかったですねえ。

団長:よい経験をされました。おばちゃんとの会話がない状態で帰ったのでは、「長兵衛」に本当に行ったことにはならないからね(笑)。

H谷:「長兵衛」の楽しみの半分以上はそこですからね。

団長:「うどん」とか「中華そば」とか、そんなものを超越したところに「長兵衛」は君臨してるからね。

H谷:はははは(笑)。

団長:ただ、おばちゃんのおもしろい会話を引き出せるかどうかは、やっぱり客に一工夫が必要です。

H谷:待ってちゃダメなんです。

団長:そうそう。

H谷:攻めの姿勢が大事なんです。

団長:こっちから話しかけるか、少なくとも「話しかけて欲しいオーラ」は出した方がね。「県外から今日はおばちゃんの話を聞きたくてわざわざ来ました」という雰囲気をうまくおばちゃんに伝えられるようになったら、こっちから切り出さなくてもおばちゃんのトークが始まる可能性が高くなる。

H谷:「どっから来たんな?」が頂ける確率が高くなります(笑)。

ごん:それさえ頂ければもうね(笑)。

団長:勝利は確定。

ごん:何の勝利かわかりませんけど(笑)。

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