麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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団長:こないだ、『復活超麺通団/恐るべき讃岐うどんの世界』いう本が出てたので読んでみたんやけど。

ごん:ま、読む前に書いたんですけどね(笑)。

団長:その中にあった香川県の「外国人の延べ宿泊人数」によると、
2013年…10万人
2014年…14万人
2015年…21万人
2016年…36万人
2017年…48万人
2018年…55万人
ということで、2010年代にインバウンドが急増していることが数字で確認されていて。

ごん:ま、あなたが数字を並べて確認したんですけど(笑)。

団長:それを受けて当時、あちこちのうどん屋でメニューや案内表示に英語表記が出てきたり、店員さんが英語対応し始めたりしたのがあの頃です。

H谷:大将じゃなくて、大将の奥さんとか娘さんがよく英語対応してましたね。

団長:英語対応でなくて、「英単語対応」してたりしてたけど(笑)。では今回は、その頃の「竹清」のインバウンド対応のお話です。

「竹清」のグランマ

団長:先日の午後2時過ぎ、お客さんもだいぶ少なくなってきた時間帯に「竹清」に行ってまいりました。

ごん:いいですねえ。

団長:大将、孫ができてご機嫌でした(笑)。

ごん:あらま。

団長:「えー、田尾さんとこ孫はまだな?」とか言うてきました(笑)。

H谷:はははは(笑)。

団長:けど、いかに「竹清」の大将とは言え、プライベートをそう簡単に明かすわけにはいかん。俺が妻帯かどうかも言うてないからな。

ごん:H谷川君の背筋が伸びる奥様がいらっしゃるじゃないですか。

団長:ま、竹清の娘さんとうちの長男は小学校の同級生ですが(笑)、ほんでとりあえず、店内で並んでたんだ。そしたらいつものようにおばちゃんが天ぷらの注文を取りに来たから、いつものようにチクワ天と半熟卵天を頼んで、ふと左側の壁を見たら、それまでなかった貼り紙が目に入ったんよ。

ごん:ほう。

団長:A4のパウチされた紙が2枚並んで貼ってあって、内容を見たら「竹清」のうどんの注文の仕方とか流れ、段取りを英語と中国語で書いてあるんだ。それ見て「竹清にも外国人客の波が来たか」と思いながら、順番待ちの間にそれをずーっと見よったら、ある気になる表記を見つけたんで、食べ終わった後で大将に「ちょっとあの貼り紙、写真撮ってもええ?」って聞いたんだ。

ごん:おお?

団長:そしたら大将が「何な?」って言うから、「いや…別に、特に…」とか言うて。

H谷:はははは(笑)。

ごん:怪しい怪しい(笑)。

団長:そしたら天ぷらの注文を取ってくれるおばちゃんまでこっちに来て「何な?」言うから、しょうがない。その貼り紙を指して「これ、英語と中国語のやつ」言うたら、おばちゃんが「そうそう、これ、うちに中国人の子が来るんやけど、その子が外国人の人が来てもわかるように言うて、英語と中国語で段取りを書いて作ってくれたんよ。ほんまにええ子でなあ」って。

ごん:お客さんが作ってくれたんですか。いい話じゃないですか。

団長:そうなんよ。ええ話なんやけど、ちょっと気になる表現が1つだけあったんで、天ぷらの注文取るおばちゃんに「おばちゃん、この英語のやつ読んだ?」言うたんや。そしたら「いやいや、わたっしゃ読めんがな」って言うから、「これ、一番最初の1行が『まず最初に行列に並んでください』って書いてあるんやけど、2行目のところに『行列に並んでいると、おばあちゃんが天ぷらの注文を取りに来ます』って書いてあるで」って。

ごん:あっはっは!

団長:「えーっ! 『おばあちゃん』って書いとん?」って言うから、「ほらほら、ここ見てん。『granma(グランマ)』って書いてあるやろ?これ、『おばあちゃん』や。『おばちゃん』ちゃうで、『おばあちゃん』」って。ほんだらおばちゃん、「まあー!」って(笑)。

ごん:あっはっはっは!

団長:さらに横の貼り紙の方を指差して、「ほらこっちも。中国語バージョンの方、僕、中国語は読めんけど、この2行目見てん?こっちの英語版の『granma』のあたりに、明らかに『老』っていう漢字があるやん」って言うたら「あらまー!」って(笑)。

ごん:あっはっはっは!

団長:という国際的な事件が「竹清」でありました。

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