麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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団長:前回は『うどラヂ』誕生の衝撃の秘話をお送りしたわけですが。

ごん:どこかに衝撃ありました?

団長:第1回放送の冒頭の第一声でいきなり嚙んだのに、そのままオンエアするという衝撃(笑)。

ごん:そこですか!

団長:キューが出て5秒やぞ。普通、録り直すやろ。

ごん:そのまま行ったの、あなたです。

団長:ま、勢いついて行っちゃいましたが、あのオープニングの後の栄えある1本目の話題が、『うどラヂ』やのにえらい

真面目なこと言うとんや。

ごん:最初、番組のテイストが掴めんかったんですね(笑)。

団長:でも、2006年のブームの状況がちょっとだけ窺えるんで、聴いてみましょう。

ブームの真っ只中に「ブームが終わった」と言う方々が…

団長:最近、何となく「ブームも終わってきよんちゃうか」いうて言いよる識者とかがおるわけですが。

H谷:結構おりますね。マスコミも言うてましたし。

団長:行政の方々も、「もうそろそろ…」って言いよりました。

ごん:識者とマスコミと行政に言われたら、それを聞いた県民も何となく「そうかな」という気になりますわな。

団長:けどみんな、「ブームもやや落ち着いてきた感がある」とか「ピークを越えた感がある」とか「失速気味の感がある」とか、何や「カンカンカンカン」言うて、論拠となるファクトの話が出てこんのよ。そこで、「デスクワークよりフィールドワーク」をモットーとする麺通団として現実を確認するために、ごんと2人で、ゴールデンウィークの「山越」に行ってきました。

ごん:「どないなっとるか見に行こうで」いうて(笑)。

団長:うどん食べるんじゃなくて。

ごん:地元客はわざわざゴールデンウィークに行列に突っ込んで行かなくても、いつでも行けますからね。

団長:「ゴールデンウィークにしか来られない県外客に一人でも多く席を空けてあげよう」という奉仕の精神でね。それで行ったら、店の前から行列が交差点まで出てきて、そこから行列が90度南に曲がって、その先のちょっと奥まったところがポールで仕切られてあって、行列がうねうね、うねうねと。

ごん:遊園地とかの順番待ちの行列を仕切るやつと同じようになってて。

団長:そこまでをザッと数えたら、800人ぐらい並んでる!

ごん:まだ午前中なのに!

団長:しかも道端には…「山越」は田んぼを潰した大きな駐車場が2カ所あるけど、どっちも満杯で、あふれた車が道路に…いかんぞ。

ごん:いかんことですよ。ただ、事実として停まっていたと。

団長:道端に停めた車がそこから山の峠に向かってずーっと。そこで、測ってみたんや。ごんが車のメーターをゼロにして、メーターでないわ、そらタクシーや、走行距離計をゼロにして、車の列のこっちの端から向こうの端まで行ったら、900メートルを超えた。

ごん:車が1キロ近く道路に沿って、向こうの峠を曲がった先までズラーッと停まってました。

団長:一番向こうの最後の車、福岡ナンバーや。あの人は福岡から遠路車で香川くんだりまでうどん食いに来て、あそこに車を停めて、1キロ歩いて山越に戻って、800人の列の一番後ろに並んでるんや。

H谷:全然ブームは去ってませんね。

ごん:あれを見たら、たぶん識者や行政の皆さんのほとんどは現場を見ないというか、実際どうなっているかがあんまりわかってないのに情緒だけでしゃべってるような気がしますね。

団長:おそらくその原因は、全国ネットのマスコミで「讃岐うどん」の露出が減ってきたからやと思う。

ごん:確かにそうですね。

団長:1990年代後半から2000年代初頭にかけて、全国の雑誌とテレビがものすごい勢いで「讃岐うどん巡り」を紹介したやろ。グルメ系、レジャー系、旅行系、トレンド系なんかの雑誌やテレビ番組はほとんど全部が「讃岐うどん巡り」を特集したし、フランスのパリのタブロイド紙の『クリエ・アンテルナシオナール』にも2ページ見開きで「讃岐うどん巡りブーム」が特集されたし、アメリカの『ニューヨークタイムズ』にも紹介されたほど、そこいら中で「讃岐うどん巡り」の話題があふれとった。それが2000年代中盤になって、さすがにマスコミも何回も同じブームを紹介するわけにいかんから、だんだん露出が減ってきたわけや。ところが、その「露出が減った」というのをそのまま「ブームが去りつつある」と捉えて評論する方々が結構いらっしゃって(笑)。

H谷:間違いないですね。

団長:もっとひどい人もおったよ。

ごん:誰ですか。

団長:まあ、その方の名誉のために名前は伏せとくけど、数年前、あるイベント会場で某市の市長さんとお会いする機会があったんや。

ごん:かなり絞られましたね(笑)。

団長:ほんで、市長のお付きの方が市長に「田尾さんは讃岐うどんブームを起こした方で…」って紹介したら、その市長、讃岐うどんがブームになってることを知らんかった。ブームの最初のピークの真っ只中で全国から讃岐うどん巡り客が殺到してるのに、お付きの方が「今、讃岐うどんが全国的にものすごく有名になって…」とか言うたら、その市長、「昔から讃岐うどんは有名だったでしょ?」とか言うんだ(笑)。

H谷:なかなかすごいですね。

団長:きっと政治に忙しくて、地元の状況を見る暇なんかなかったんだろうと思いました(笑)。

ごん:「地元の状況を見ない政治」というのも、どうかと思いますけど(笑)。

団長:ま、いずれにしろ、庶民がその辺で井戸端会議をするならええんですけど、しかるべき方々がある程度公的な場面で発言するときには、ぜひ「ファクトベース」でお話をしていただきたいと願う次第です。

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