麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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団長:前回の仙台に単身赴任した「サクラエイコオー」さんのお便りが半分残っていましたので、続きをどうぞ。

「香川で修業した」岩手のうどん屋

団長:お便りの続きです。

さて、先日岩手県の某所でうどん屋に行きました。お店の中に「店主は香川で修業し…」という貼り紙があったので、ついうれしくなって、会計時に「どちらのお店で修業されたんですか?」と聞いてみました。すると、若い店主がとても困ったような、怒ったような顔をして「それはちょっと言えません」と答えるではありませんか。私は「どうも失礼しました」と言って会計を済ませて店を出たのですが、何だか腑に落ちません。

ごん:あっはっは!

H谷:それは腑に落ちませんねえ(笑)。

香川県のあのゆるいうどん文化で、「うちで修業したということを言うな」と禁じているようなお店があるのでしょうか。

団長:「そんな店は聞いたことがない」と言いたいところやけど…

H谷:「店」としてはないと思いますけど、個人的にはね(笑)。

団長:出来の悪い弟子というか修業に来たやつが、出来の悪いまま修業を辞めて、出来が悪いのに自分で店を出して出来の悪いうどんを出してたりしたら、師匠が「うちで修業したと言うな」みたいな気持ちになることはあるらしい。

ごん:気持ちになるだけでね(笑)。

団長:そんな決まりがある「店」は、ないと思います。

考えられることとしては、①修業の途中によんどころない事情があって岩手に戻ったものの、事情が落ち着いたら香川に戻るのが面倒になってそのまま店を始めてしまったため、師匠に開業したことを報告していない。

ごん:はははは。

②香川で学生あるいは社会人をやっていた時に、下宿していたおばちゃんがうどん名人で、作り方を教わった。県内ではこういうゆるい話はアリでも、県外に出ると「素人から習ったなんて」と言われかねないので黙っている。

ごん:それは修業先を言えませんね。

③実は「修業」というのはこんぴら参りのついでに「中野うどん学校」でのうどん打ち体験だった。

ごん:あー、ありますね(笑)。

H谷:あるかい!

団長:それなら「名人のおばちゃん」の方が説得力があるかもしれん(笑)。

④今まで知られていなかったが、弟子を取らないことで知られている超一流店が実は香川にあり、何かのコネでそこで修業させてもらった。その師匠は今でも弟子を取らないことを公言しているため、気を使って言わないことにしている。

団長:だんだんややこしくなってきたぞ。

…等が考えられるのですが、他に考えられるようなことはあるのでしょうか。仮に、お店の名前を出したらそちらに迷惑がかかるからと考えているとすれば、迷惑を掛けるようなうどんを出してるのかと思ってしまいます。いずれにしてもちょっと不思議だったのでお便りを出してみました。

団長:というわけで、岩手に「店主は香川で修業をし」と貼り紙をしてあるのに「どこですか?」と聞いたら口ごもってしまううどん屋があるらしい。

ごん:「香川で修業し」だから、「香川のうどん屋で修業し」とは書いてないわけですよ。

団長:なるほど。すると、うどん屋以外で修業したのかもしれないと。

ごん:十分考えられますよ。

団長:「化粧品店」とか、「自転車置き場」とか。

H谷:どっちも昔、うどん出してたところがありました(笑)。

団長:ま、いずれにしても「怪しい」ということには変わりない。

H谷:はははは(笑)。

ごん:ま、ゆる~くね、いいんじゃないですか?それはそれで(笑)。

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