麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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団長:麺通団は「うどんで遊ぶ集団」やから、基本的に讃岐うどんの歴史や文化や技術は語らんのやけど。

ごん:結構語ってきてますよ。

団長:あふれる知性が、どうしてもそういう話題をあふれさせてしまうんや(笑)。

ごん:ま、知的な話はあんまり聞いたことがありませんし、あっても必ず(笑)がついてますけどね(笑)。

団長:というわけで、今回は「香川の医学界における讃岐うどん文化」に鋭く迫ってみよう。

ごん:絶対鋭く迫ってないと思いますけど。

胃カメラ担当医のマニュアル?!

団長:こないだ。

ごん:はいこないだ。

団長:大学の研究室に「胃ガン検診センター」いうところから電話がかかってきたんだ。

ごん:何かイヤな予感がしますね。

団長:俺、その1カ月ぐらい前に大学で健康診断があったばかりで、その時「要精密検査」いう項目が1つあったんやけど、それまで「要精密検査」いうのがあってもいつも何ともなかったんで、大したことないと思って放っておいたんや。

ごん:ますますイヤな予感。

団長:で、恐る恐る「どういう要件ですか?」って聞いたら、「実は今度、検診センターで会合があって…」ときた。

ごん:とりあえずホッとしたわけですね。

団長:ホッとしたと同時に、「うわー、講演の話ちゃうかー」と思ったんや。俺、講演苦手なんやけど、人がええから頼まれたらなかなか自分で断れんで。

ごん:人がいいかどうかは議論の分かれるところですけど、講演は結構嫌がってますからね。

団長:すると、「今度香川である会合があって、そこで内視鏡カメラに関する研究発表をするんです」と。で、「内視鏡関係の研究発表をするのに、香川県の私たちが今発表のテーマに掲げていることについて、少しお伺いしたいことがあるんです」って言うてきたんや。俺、「そんなジャンルに詳しくないんで…」って言うたんやけど。

ごん:胃が4つありますから、参考になりませんからね。

団長:それもあるけど…ないわ! で、「何で私みたいなところに?」って聞いたら、「香川県チームの発表のテーマとして、内視鏡カメラとうどんの太さを比べたいのでご意見を」と。

ごん:あっはっは!

団長:全国の研究者がいろいろ発表する会で、香川が「内視鏡カメラの太さとうどんの太さの比較研究発表」でええんかと(笑)。

ごん:それ、あれですよ。内視鏡検査の前に医者が必ず言うやつ。

団長:そう。俺もテーマの元ネタはあれじゃないかと思った。俺、今まで2回も言われたぞ。最初は生まれて初めて胃カメラを飲んだ時。口にマウスピースみたいなやつをかまされて…

ごん:あれ、カメラを嚙まれたら修理代がえらいかかりますから。

団長:で、マウスピースかまされて口が閉じられんようになったところへ、先がピカッと光るカメラを入れてくるわけや。それがのどに来たら一旦グッとつかえるんやけど、そこで医者が「ぐっと飲み込んで!」って言うて来るやん。

ごん:みんなそこで一旦のどに詰まりますからね。

団長:けど、初めてやからオエオエいうやんか。ほんだら医者が、「ちょっと太いうどん飲み込む思ったらええんやがな」って言うたんだ。

ごん:それです!

団長:その時は「いやー、ええ小ネタ持っとるなー」思いながら、とりあえず涙を流しながら何とか検査が終わって帰ったんよ。そしたら、それから1年ぐらい経った時に、また何かで胃カメラを飲むハメになって、今度は違う病院で違う医者にやってもろたんやけど、カメラがのどに入ってきて「ぐっと飲み込んで!」言われて、それでもスッと飲み込めんでオエオエ言いよったら、医者が「太いうどん飲み込む思ったら大丈夫ですよ」って。それはマニュアルにあるんか! 香川の病院の胃カメラ担当者のマニュアルに書いとんか! と。

ごん:僕も一回、胃カメラ飲む前に「飲みづらそうですね」言うたら、「うどん飲むようなもんですから大丈夫ですよ」って言われましたよ。

H谷:これはもう、香川の医者のマニュアルに書いてありますね(笑)。

団長:というわけで、胃カメラを飲む人に「うどんを飲むようなものですよ」と声を掛けるのは、香川県ならではの「胃カメラ飲む時の医者のマニュアル」として未来永劫受け継いでいくべき文化だと、今、麺通団が認定しました。

ごん:でも、これからもきっと胃カメラはどんどん進化して、さらに細くなっていきますよ。

団長:そこは臨機応変に、「百こ萬の“しこ麺”を飲み込む思ったらええんや」とか。

H谷:マニアックすぎて患者がピンと来ません(笑)。

ごん:さらにもっと細くなっていったら、「『小豆島の島の光』を飲む思ったらええ」とかなりません?

H谷:それはまずいですね。医学界が讃岐うどんを見放してそうめん業界に行ってしまうことになりますよ。

団長:わかりました。ここで麺通団の公式見解として、香川県の医学界には「胃カメラの太さは何とかうどんの太さまでで止めて欲しい」とお願いしておきます(笑)。

ごん:あと、その「内視鏡カメラの太さとうどんの太さの比較研究発表」の内容をぜひネットか何かにアップしていただきたいと(笑)。

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