麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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団長:「讃岐うどん巡りブーム」のプロモーションは雑誌の連載(「ゲリラうどん通ごっこ」)と書籍(『恐るべきさぬきうどん』)から始まったんやけど、それをサポートするイベントの代表が「讃岐うどん王選手権」と「讃岐うどん巡礼88カ所」の2つや。

ごん:2つとも、ブームが来てからやりましたよね。

団長:「ゲリ通」が1989年からで、『恐るべき』が1993年からで、県外からうどん巡り客が殺到し始めたのが1995年頃から。その後、ブームが1回目のピークを迎え始めてから、「讃岐うどん王選手権」が1998年から4年連続、「讃岐うどん巡礼88カ所」が2000年から3年連続開催という順番や。

ごん:イベントは後からですね。

団長:当時、我々の間では「一過性のイベントでブームが起こることはほとんどない。何かでブームが起こった後、イベントで遊ぶ」というのが、経験則から導き出されたセオリーやったからな。

ごん:含蓄のあるお言葉です。

団長:というわけで、今回は「讃岐うどん巡礼88カ所」企画の後日談に触れた回を。

「達成者パーティー」のバイキング

団長:『うどラヂ』の公開録音に向けて、お便りを頂いております。

今度の公開録音、とても楽しみにしていて、例え長時間の録音であろうとも全く問題ないという覚悟はしています。

団長:ということですが、ほんまに覚悟しとかなんだらいかんのぞ。

ごん:あっはっは! ほんまですよ皆さん、僕ら、15分番組を録るのに2時間しゃべることもありますからね。

団長:イベントでも容赦せんぞ(笑)。

ごん:昔、何回もありましたよね。2時間イベントで5時間ぐらい帰さなかったとか(笑)。

団長:「讃岐うどん巡礼88カ所」の達成者パーティーの時やな。会場は出入り自由やから、みんな途中で帰ってもよかったんやけど、プレゼントとか残したままで4時間以上引っ張ったから、ホテルの大宴会場に集まった400人ぐらいがみんな帰るに帰れんで。

ごん:けど、みんな最後までメチャメチャ盛り上がってましたよね。

団長:何せ指定した88軒のうどん屋を全部回ってくるようなマニアばっかりが集まっとるから、あれは参加者もどうかしとった(笑)。その証拠に、あのパーティー、オープニングから信じられんことが起こったんやけん。

ごん:いやほんとに。

団長:でっかいホテルの宴会場の真ん中にバイキング方式のでっかい料理スペースがあって、最初に俺とごんがステージに出て行ってオープニングトークでドッカンドッカン笑わせて、それから乾杯して、久しぶりに顔を合わすマニア仲間とかもおるやろから「それでは皆さん、しばらくご歓談ください」言うて、本編に入る前に10分ぐらいフリータイムをとったんや。そしたら、「ご歓談ください」言うた途端に全員が料理スペースにワッて殺到して。あまりにみんなが料理に群がってるもんやから、歓談時間をちょっと延ばしたら…

ごん:20分ぐらいで料理がほとんどなくなった!(笑)

団長:私は今まで結構な回数、数十回どころか100回ぐらい、いろんな立食パーティーに行きました。しかしただの1回として、料理が全部なくなったことはありません(笑)。

ごん:確かに僕も、見たことはありません。

団長:しかも、料理が全部でなくて「ほとんどなくなった」という場面すら見たことがない。ああいう立食パーティーは必ず料理が余るんよ。半分近く余ることも多々ある。

ごん:ほんで帰りにいつも「もったいないな」と思う感じなんですよね。

団長:ところが、そのパーティーの時、言うとくけどそれなりの量は用意しとったんやぞ。

ごん:そう。しかも、入場時にうどん1杯ずつ食べさせてますからね。

団長:「ウェルカムうどん」を出したんや。立食パーティーとかに行ったら会場に入る時に「ウェルカムドリンク」をくれたりするやろ? あれの代わりにまず「駆けつけ一杯」で「うどん」を出したんよ。

ごん:バイキングで用意する料理を少しでも減らそうという魂胆でね(笑)。

団長:日清冷凍食品に頼んで、珠玉の冷凍うどんを500食ぐらい出してもろたんや。それでみんな「ウェルカムうどん」を食べた後で「ご歓談ください」言うたら、20分で全部なくなった上に、あのな、ステンレスの料理が入った器がズラッと並んでるやんか。あれをな、みんなパンでさらえてあるんや。

ごん:あっはっは!

団長:あんな光景見たことないわ。ほんで最後片付けする時に、係の人が「田尾さん、これもう洗わんでええんちゃいます?」って(笑)。

ごん:さすが、88カ所を達成するような人は鉄の胃袋を持っています(笑)。

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