麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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団長:小さなお便りを大きく展開することでおなじみの『うどラヂ』ですが。

ごん:「展開力」のあるお便りを頂くと、必要以上に展開したりしますからね。

H谷:でもね、お二人がしょっちゅう「展開力のあるお便りを」とかおっしゃるもんですから、僕の周りで「展開力って何や?」言うて、お便りを出すのをビビってる人がいるんですよ。

団長:ま、要するに「我々がそのお便りを元に、いらん話をどんだけくっつけられるか」という。「何ならラジオネーム一つで1本録れるぞ」いうぐらいの…

ごん:ま、行き当たりばったりのいい加減な基準ですね(笑)。

団長:じゃ、今回は「天かす」で無理やり展開した回を。

天かす大暴走

団長:横浜の松本さんからお便りを頂いております。

ごん:ありがとうございます。

いつもポッドキャストで楽しんでおります。もともと私は大阪人で、中学、高校生時代には父が高松に単身赴任していた関係で、四国村の「わら家」によく行っていました。質問です。東京にある讃岐うどん店には、天かすがおいてあるところと置いてないところがあるんですが、讃岐うどんと天かすって、どういう関係にあるんでしょうか。展開力があるかどうかわかりませんが、よろしくお願いします。

団長:「讃岐うどんと天かすの関係」と言われてもなあ(笑)。展開できるか?

ごん:とりあえずいってみますか。

団長:まあ、それほど深い関係ではない。「ただの友達」という関係かな。

ごん:まあまあそうですね。「特別な関係」までは行ってないような。

団長:「あなたとはいい友達でいましょうね」という感じかな。

ごん:それは「振られとんじゃ!」という話になりますけど(笑)。

団長:そうか。振られてはないか(笑)。確かに、中には何かねっとりとした油っこい関係の天かすもあるからな。

ごん:あるいは、お上品で色白でサラッとした爽やかな関係の、“天かすのお嬢さん”もいらっしゃいますし。

H谷:「松下製麺所」のきめの細かいサラサラの天かすなんか、うどんと切っても切れない関係じゃないですか?

団長:おー、確かにあれは爽やかに寄り添ってくる。

H谷:途中からちょっと絡みついてきたりしますけどね(笑)。

団長:ごんだったらすぐに「んー、もう、うっとうしい!」とか言いそうな。

ごん:へ?

団長:「最初はあんたから来たんやないの」みたいだったのに、もう数日経ったら「うっとうしい! あっち行け!」言われて、ほんまにかわいそうな天かすや。

H谷:ほんと、とんでもない関係ですよね。

団長:しかしこうやって身近な人物で擬人化すると、うどんと天かすの関係もすっきりと理解できるなあ。

ごん:何の話だか全くわかりませんけど!

団長:では次のお便りです。

H谷:全然展開してないじゃないですか!

団長:しょうがない。じゃあ一応、我々の印象に残っている天かす情報をちょっとだけ披露しとくか。まずはH谷川君から。

H谷:打ち合わせにないムチャ振りがくると思ってましたけど、僕ね、一応「好きな天かす」はいくつかあるんです。

団長:どこ?

H谷:まずはやっぱり、「藤原屋」の天かすですね。

団長:藤原屋の天かすがあるんか。藤原屋の天ぷらのコロモはしっとりしてうまいけど、藤原屋の天かすはうどんにかけて食べた記憶がないぞ。どこの店にあるんや。

H谷:えーとね、天かすだけが下りている店があるんですよ。琴平の「歩(あゆみ)」とか、満濃の「川中」とか。

団長:天ぷらはないけど天かすだけあるん?

H谷:基本、天かすだけの得意先なんです。藤原屋は天かすを専用に作ってますから。

ごん:へー!

H谷:ゲソとかを揚げたついでじゃないですよ。しかも、何種類もの揚げ粉をブレンドしてますから。

団長:それ、メチャメチャこだわりがあるやんか。

H谷:ありますあります。それで、かけダシに入れてもなかなかシナッとならなくて、食べたらうまいんです。

団長:なるほど。天かすはこれ、天かす自体の味の魅力と、外観というかビジュアル的な魅力と、方向が2つあるね。

ごん:かけのダシに入れたらコクとして味が出るというのもありますし。

団長:「味の藤原屋」に対して、ビジュアル的な魅力があるのはやっぱり「松下」の、あの細雪(ささめゆき)のような天かすか。あれは美しいね。見たことあるか? 細雪。俺は見たことないぞ。

ごん:ないんですか!

H谷:見たことないのに例えてるじゃないですか(笑)。

ごん:たぶん、松下の天かすみたいな雪が「細雪」ですよ。

団長:間違いない(笑)。

H谷:あと、僕がよく聞くのは高瀬の「渡辺」の天かすですね。あの木の葉型天ぷらを揚げた時に出てくるやつ。あれもきめが細かくてさわやかですよ。

団長:私は個人的に、県庁の裏の「さか枝」の天かすが、ある理由で好きなんだ。

ごん:何でしょう。

団長:あそこの天かすは基本、丸いコロコロしたつぶつぶ型なんやけど、ダシに入れると、つぶつぶにダシが染み込んでいって柔らかくなるわな。

ごん:なりますね。

団長:で、うどんを食べてるうちにそいつがどんどんダシを吸って膨れていくんやけど、これが最後まで丸いまま、ほとんど崩れんのよ。中がダシを吸って一杯一杯になっとんのに、周りの薄い皮が生卵の薄皮みたいに、ギリギリ丸い形を保ってるんや。

ごん:ああー、わかりますわかります!

団長:それが、麺を食べ終わった後にダシと一緒に吸い込んだら、

ごん:ほうほう!

団長:柔らかい丸いギリギリのやつが、

ごん:はいな!

団長:口の中に「スボスボスボスボー!」って入ってくる!

ごん:あっはっはっは!

団長:しかも、「スボスボスボスボー!」って入ってきたやつが、口の中で「プシュプシュプシュプシュー!」って弾けて、中のダシが「ジョワジョワジョワー!」っと出てくるんぞ。

H谷:はははは!

ごん:いやいや、おかしいおかしい。50過ぎたおっさんが口をすぼめて「トゥルルルルー」って(笑)。

団長:「トゥルルルルー」やない。「スボスボスボスボー!」や。「スボスボスボスボー!」の「プシュプシュプシュプシュー!」で最後「ジョワジョワジョワー!」や。競馬の馬なら間違いなく「ジョワドヴィーヴル」や。父ディープインパクト、母ビワハイジ、主戦騎手・福永祐一、妻・松尾翠。テレビ一緒にうどん屋回った女子アナの子やんか。

ごん:あっはっは! 確かに松尾さんとは一緒にうどん屋回りましたけど、天かすと全く関係ない!

H谷:まさか、天かすの話でこんな暴走するとは…。

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