編集 田尾 和俊
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団長:1990年代後半に勃発した空前の「讃岐うどん巡りブーム」以来、全国で讃岐うどんに関するデマやらトンデモ話がよっけ湧いて出ましたが。
ごん:『うどラヂ』としては、そういう誤解を一つずつきちんと正していく責務がありますね。
団長:ない。
ごん:えーっ!
団長:麺通団は「讃岐うどんをおもしろがる応援団」だから、「讃岐うどんを貶めよう」とかいう悪意のあるウソや、自分の都合や利益のために讃岐うどんの事実を捏造するようなウソは正しておいた方がええけど、悪意のない誤解や「讃岐うどんをおもしろがる」という意図のあるトンデモ話なんかは、おもろいからほっとこう(笑)。
うどんは嚙むぞ
団長:お便りを頂いております。
ごん:いつもありがとうございます。
元文化人Tと申します。私はうどんを食べる時にほとんど嚙まずにすすり込むのですが、こういうのは私だけなんでしょうか。田尾さんはかなり嚙むとのことですが、いかがなんでしょうか。
団長:「讃岐うどんは地元の人は嚙むのか嚙まないのか」というのは、もう50年ぐらい前から論争されているテーマですが。
ごん:論争まではいってないですけどね(笑)。
団長:今のところ、大方の意見が落ち着いているのは、「まあ嚙むぞ」と。
ごん:嚙みますね。
団長:普通、嚙むよな。俺、今までうどん屋で「嚙まずにうどん一杯を食べきった客」を見たことがない。
ごん:テレビなんかでインタビューされたおっちゃんが、「うどんは飲むんじゃ」とか言うて飲み込んでるのは見たりしますけどね。
団長:「讃岐うどんはのどごしじゃ」とか言うてな。
ごん:けどそのおっちゃん、カメラが向こうに行ったらたいてい、残りを嚙んで食べてますよね(笑)。
団長:ブームが最初のピークを迎えた2000年頃、讃岐うどん界では著名な重鎮の方が何かの全国ネットの番組に出ておられて、「讃岐うどんは嚙まずに飲むんです」って言うたんや。そしたら一緒に出とったタレントがお約束で「えーっ!」て驚いて、「では、実際にやってもらいましょう」いうことになったんやけど、その重鎮の方がうどんを一口口に入れて、「モグ、モグ」とやって飲み込んだんや。
H谷:はははは(笑)。
団長:それを見たタレントが一瞬固まって、明らかに戸惑いの表情を見せながら「今、嚙みましたよね」言うたら、その重鎮の方、「いや、嚙んでないですよ」言うて、もう一回ズーッとすすって、「モグ、モグ」とやって飲み込んだ。
ごん:あっはっは! で、その後どうやってまとめたんですか?
団長:ウヤムヤのまま、そそくさと次のコーナーに行ったわ。
ごん:あっはっは!
団長:まあそういうわけで、一応麺通団の公式見解としては「香川県民は全国のうどんを食べる人に比べたら、たぶん嚙む回数が少ない」ということにしておきますが、もう一人、同じようなお便りが来とったぞ。ペンネームは宮本さん。
讃岐うどんについていろいろ書かれているものの中に、よく「讃岐うどんは嚙まないで飲む」とか「飲める麺だから素晴らしい」とか書かれていることがありますが、これはどういうことなんでしょう。
ごん:飲めない。さぬきうどんは飲み物じゃない(笑)。
先日讃岐に行って私も試してみましたが、嚙まないで飲むのは私にはどうしても無理でした。
ごん:それが正しいです。
試したのは、「がもう」
ごん:まあ、無理したらちょっとは何とか。
「たむら」
ごん:無理です。
「山越」
ごん:飲めない。
「谷川米穀店」
団長:飲めるか? ギリギリ飲めるか…
「山内」
団長:飲めるもんか!
ごん:まああとは「なかむら」が何とか飲めるかもしれませんけどね。
それと「香の香」でも試したのですが、やっぱり私には無理でした。
ごん:いやこの人、とにかく「試した」というだけでもすごい。
香川県の方は子供の頃からうどんの飲み方を鍛えられているのでしょうか。よろしければ教えてください。
ごん:どこの家庭でもそんな教育はしてません(笑)。
団長:わからんぞ。どっかに子供に「うどん飲み養成ギプス」付けて鍛えとる父ちゃんがおるかもしれん。
ごん:星一徹かい!
団長:いや、うどんだけに「腰一徹」で(笑)。
ごん:さ、団長の持ちネタが一つ出たところで、そう言えば昔、モチをどんどん飲み込むおじさんがいましたよね。
団長:おー、テレビで見たことある。
ごん:あのおじさんなら、うどんもタライ一杯ぐらい飲み込めると思うけど。
団長:けどあれは食事でなくて、「芸」や。
ごん:あっはっは! 確かに食事ではない(笑)。
団長:しかし。
ごん:はいしかし。
団長:ワタクシこないだ、うどんを飲みました。
ごん:え?
団長:飲める麺は、確かにあります。
ごん:どこですか。
団長:こないだ一緒に「岸井」に行ったろ?
ごん:行きましたね。
団長:岸井の「熱いかけ」は「釜かけ」やんか。
H谷:ええええ。
団長:昼前に行って、俺が「熱いかけ」の大に天ぷら2つ。ゲソと…
団長・ごん:かき揚げ。
H谷:何でそこ、ハモるんですか(笑)。
団長:ほんで、ごんが「熱いかけ」の小。
H谷:大の大人が?
団長:大の大人が。
ごん:別にいいでしょ!
団長:ほんで、俺がまだ半分近く残ってる時に、先に食べ終わったごんが「何モタモタ食べよんや」みたいな視線を投げかけてくるもんやから、俺、ちょっと食べるのをスピードアップしたんや。
ごん:そんな気を使っていただいてたんですか。全然気がつきませんでした。
団長:けどな、岸井の熱いのは、ほんまに熱いんよ。
ごん:熱いですよ。「釜かけ」ですから。
団長:しかも、普通のかけは食べよるうちにだんだん冷えてくるんやけど、岸井の釜かけは底の方がたっぷりと熱を貯えてて、上の方より熱いんよ。
ごん:確かに。ずーっと熱いですからね。
団長:ほんで焦って、うどんを1本飲み込んでしもたんや。
ごん:あらら。
団長:ほんだらな、「釜かけ」やから麺のぬめりを取ってないやろ? すると、飲んだらぬるっとノドに入ってくるんよ。俺、あの日は風邪の引き始めだったのか、何かノドがちょっと荒れてヒリついてるところに、アツアツのぬるっとした太麺がなでていって、それが最高に気持ちよかったんや。
ごん:あっはっはっは!
団長:しかも太麺やから、ノドを通る時に細い麺より圧があるやん。すると、アツアツのぬるっとした太麺がヒリついたノドをグイグイと押しながら入って行くわけよ。
ごん:わかりますわかります!
団長:それが実に気持ちがええことを発見した。あれはな、ノドが荒れた時には、のど飴やトローチより絶対効くぞ。俺、あの後、何本も飲み込んだもん。
ごん:団長が横でそんなことをしよったとは、全然気がつきませんでした。
H谷:ということは、元文化人Tさんも気持ちがええから飲み込んみょんかもしれませんね。
団長:あの気持ちよさに目覚めたのかもしれん。
ごん:その言い方はちょっと変なニュアンスが出ますけど(笑)。
団長:ただし、味はわからんのぞ。「うまい」とか「まずい」とかいう味覚は、ノドにはない。
ごん:あっはっは! 確かに「味覚」は一般的には「舌」にありますからね。
団長:うどんをしょっちゅう飲みよる人がもしおったら、その人はたぶんうどんを味わってはない。ただ、気持ちがええんだと思う(笑)。
ごん:間違いないですね。
団長:というわけで、風邪を引いてノドが荒れた時には「岸井の熱々の釜かけを飲む」という新しい対症療法が発見されたことを、ここに発表しておきます。
ごん:リスナーの皆さん、あくまでも個人の感想ですからね(笑)。
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