麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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H谷:最近団長、テレビや雑誌でうどん屋を案内したりするのがほとんどなくなりましたね。

団長:「年取ってアップに耐えられん顔になってきたから、視聴者に不快感を与えたらいかん」いうてテレビを全部断りよったら、全然話が来んようになった(笑)。

ごん:いつ頃まで出てましたっけ。

団長:平成が終わった時、「平成を振り返る」いう特番があちこちであって、「うどんブーム」を振り返らされ回ったのが最後かのー。

ごん:結構最近ですやん!

H谷:しょっちゅう出てたのは2000年代ぐらいまでですかね。

団長:そやのー。近年は基本的に、「情報だけください」いうのばっかりや(笑)。

団長、「なかむら」に恐縮する

団長:こないだ。

ごん:はいこないだ。

団長:関西ローカルの某局から電話が掛かってきて、「全国の麺を巡る特番を組むんですけど、その中で讃岐うどんの店も2~3軒回りたいんで、店のピックアップしてくれませんか」と。

ごん:よくある話ですね。

団長:ほんで「どんな店をピックアップしたらいいんですか?」って聞いたら「有名どころ、人気どころでOK」言うから、人気の製麺所型店と一般店の特徴的な店を10軒ぐらい並べてあげたんや。

ごん:おやすい御用ですね。

団長:ほんだら、ついでに「ゲストの案内役で出てくれませんか?」って言われて。

ごん:ほう、ゲストの誰かタレントか有名人の方も一緒に来られると。

団長:そのゲストが、なんか若手の落語家の方と、「西川ヘレンさんです」って。

ごん:あっはっはっは! いやいやいや! それはぜひ見たいですよ俺は!

H谷:僕もめちゃめちゃ楽しみです(笑)。

団長:ほんでスケジュールが合うたからOK出して、とりあえず俺はいくつか店をピックアップして、そのリストを向こうに渡しとったんや。

ごん:はいはい。

団長:そしたら数日後、制作担当のディレクターがわざわざ俺の研究室まで打ち合わせに来ることになったんやけど、その打ち合わせの日の朝、あるうどん屋さんに行ったら、ちょっと店の名前は明かすわけにいかんのやけど、そのうどん屋に行ったら息子が出てきて…

ごん:あっはっは! いやいや、「息子が出てくるうどん屋」はたぶん200軒ぐらいありますからね(笑)。

H谷:どこにでも息子はいますからね(笑)。

団長:そこでうどんもろて、他のお客さんがどんどん外に出て食べよるところ、俺は一番奥の製麺台の前のスペースに入って食べよったわけだ。いや、そんな描写したら店が絞られるか。

ごん:息子が出てきた時点で1店に絞られてますけど(笑)。

団長:ほんだら息子が俺に、「こないだ、すんませんでした」って言うんだ。

ごん:どうしたんですか。

団長:俺、がも…いや、その店で息子から何か迷惑かけられたりしたんかなあと思ったら…

ごん:もう「がもう」でいいですよ(笑)。

団長:そこまで言うなら仮に「がもう」ということにしとくけど、ガモムスが言うには、「こないだ関西の某放送局から電話が掛かってきて“出てくれ”って言われたんですけど、聞いたら夕方の3時半頃に来るって言うから、“そんな時間には終わっとるから”いうて断ったんです」って。

ごん:そら断りますわな。

団長:そしたら、その放送局の人が「田尾さんが一緒に回ってくれるということなんですが」って言うたらしい。ほんでガモムスが「ちょっとこれはまいったな」と思ったらしいんやけど、さすがにそんな時間には、釜の火を落としてしもとるし、かといってずーっと釜に火を入れたままにしとくわけにもいかんで、「やっぱり断ったんです」と。ほんで俺に「すんませんでした」言うて来たわけや。

ごん:あーなるほど。

団長:それを聞いて、俺の方がめちゃめちゃ恐縮したわけや。讃岐うどんの取材をするんだったら普通、朝から来るやん。特に製麺所型の人気店に夕方行って「うどんを食べる取材をさせてくれ」いうのは、誰の紹介でも断って当然やん。

ごん:何でそんな時間に取材に行こうとしてたんですかね。

団長:聞いたら、「ゲストの都合で高松に3時に入る」って言われたらしい。

ごん:あっはっは! ヘレンさん、やっぱり前入りはせんのですね。

H谷:はははは(笑)。

団長:ほんで学校に行って、担当ディレクターの人に「店決まりましたか?」いうて聞いたんだ。「がもうが断った」いうて聞いたから。すると「あちこち断られた」と。「山越も谷川も断られた」って。

ごん:まあそうですよね。

団長:ほんで、1軒は「香の香」が受けてくれることになったと。まあこれはわかるわ。

ごん:3時なら「香の香」はまだやってますからね。

団長:ところが、もう1軒が飯山の「なかむら」やって言うんや。

ごん:あら!

団長:俺、「えーっ?!」って聞き直したが。

H谷:飯山の「なかむら」は営業2時までですね。でも土曜は1時半頃には玉切れになることが多い。

団長:しかも聞いて驚け。

ごん:えーっ!!

団長:聞く前に驚くな。まず最初に「3時半に香の香にアポ取ってますから、田尾さんはまず3時半に香の香に来てください」って言われた。

ごん:まあまあそれはね。

団長:その後や、聞いて驚け!

ごん:えーーっ!!

H谷:もうええですから。

団長:あ、すいません。あと2回ぐらい行けるかな、と思って(笑)。いやそうじゃなくて、「香の香が終わった後、なかむらに4時半に行く」って。俺もう、思わずメガネ外して目をこすって「えーーっ!!」って。

ごん:それ、「なかむら」の晩ご飯にお呼ばれするとか、そういうロケですか?(笑)

団長:ちゃうわ。うどんの取材や。ということは、「なかむら」は2時前に営業終わって、4時半にまた釜の火を入れるのを受けたんかと。しかも、俺らの取材のためだけやいうても、1玉だけ茹でるわけにはいかんからな。いっぺんに10玉とか15玉とか茹でることになるから、撮影した後残るやん。だから、それを聞いて俺、あわててその場ですぐにH谷川君に電話したんや。

ごん:「うどん余るけん食べに来い」と。

団長:ちゃうわ。放送局の人、「がもう」にも俺の名前を出して取材依頼しとるから、「なかむら」も俺の名前が出たからそんな無理を受けたんちゃうかと思って、そこの経緯をH谷川君に確認してもらおうと思って。

ごん:自分で「なかむら」に電話したらいいじゃないですか。

団長:そこはそれ、ナニはアレやがな(笑)。ほんで、担当ディレクターに「4時半になかむらにアポを取るということが何事か」ということを一応知ってもらわないかんから、ディレクターの横でH谷川君に電話した。

H谷:そんな感じでしたね、電話の感じが。

団長:ほんでH谷川君に「すまんけどなかむらに電話してくれ」と。「もし、俺の名前が出たから仕方なく店を開けるんだったら、たぶん今から断ったら向こうが困るやろから、段取りしとんだったらかまんけど、申し訳ないと言うとってくれ」と頼んだんやけど、その結果をワタクシ、まだ聞いておりません。

ごん:あらま!

団長:何かあるらしいんだ。

H谷:はははは(笑)。

団長:H谷川君に「どうやった?」って聞いたら、なんか妙な含み笑いをするんだ。で、どうだったんや。

H谷:ええ、一応僕がなぜか謝罪の電話をすることになりまして。

団長:いやいや、H谷川君が「なかむら」に謝ることなんかないやん。

H谷:いや、「団長の不始末は団員が尻ぬぐいする」ということで。

ごん:もちろんよな(笑)。

H谷:とりあえずケンイチさん(「なかむら」の三代目)の携帯に電話しまして、それで「まあそういう感じでこうなんですけども、どうなんですか?」って聞いたら、「あ、とりあえず最初4時半言われたんで断ったんですよ」って。

ごん:ほうほう。

H谷:そしたら、断った後に「あのー、行くのは田尾さんですけど」って言われたらしくて。

ごん:出たー!(笑)

H谷:「田尾さん来る言われたら断れませんやん」って。

ごん:あっはっはっは!

H谷:「だから一応、うどんもするという段取りで受けました」と。

団長:ちょっと待て待て待て! その後、どうフォローしたんや! その時点では俺、完璧に悪者やぞ。

ごん:それ、「田尾さんに言われたからまあええですわ~」みたいな軽いノリだったん? あるいは「田尾さんですか… これはどうしようもないですか…」みたいな重い感じなのか?

H谷:どっちかというと後者ですかね。

ごん:あっはっはっは!

H谷:いやいや、冗談ですよ。ちゃんとフォローしときましたよ。「団長が“すごく申し訳ない”って、ちょっと何か、半笑いで言うてました」って。

団長:変な形容が入っとるやないか!

H谷:いやほんと、ちゃんと言いましたから(笑)。

団長:一つだけ確認させてくれ。俺が行っても冷たくされん?

H谷:大丈夫です大丈夫です。ケンイチさんは大丈夫です。女将さんとかは知りませんけど。

団長:えーーっ!! ほなケンちゃんに言うといて。「女将さんが店に出てないのはいつや」って。

ごん:あっはっは!

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