麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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団長:琴平の「宮武」が閉店したのは2009年6月4日の「虫歯予防デー」でした。

ごん:あれから14年も経ったんですねえ。

団長:ということは、今、ネットやSNSでワンワン言いよる若いもんの多くは、おそらく「宮武の何たるかを知らん」ということや。

H谷:「宮武」を知らずにうどんブームを語る時代が来たんですねえ。

団長:そういうわけで、このテキスト版も“近ごろの若いもん”の方が多いらしいので、改めてここで「宮武」の基本情報をまとめておこう。

ごん:いいですね。

団長:まず、「宮武」の大将は“讃岐うどん界のイチロー”こと、宮武一郎さんだ。

ごん:そこから(笑)。

団長:大事なとこや。『うどラヂ』でH谷川君が何の注釈もなく「こないだ宮武の一郎さんに会いましてね」とか言い出すからね。

H谷:イチロー選手も宮武の一郎さんも、現役時代にメチャメチャ「タマ」をようけ打ちましたからね。

ごん:H谷川君、腕上げたなあ!

H谷:恐れ入ります。

団長:それから、映画『UDON』に出てきた主人公のお父さんのモデルは宮武一郎さん。

H谷:映画のお父さんは、一郎さんと同じキャップ被ってます。

団長:ちなみに主人公のモデルは私だから、「宮武」の大将と私は「親子同然だ」と言っても過言ではない。

ごん:何でやねん(笑)。

H谷:その映画『UDON』を撮った本広監督が「宮武」に付けた異名が、「ゴッド宮武」です。

団長:讃岐うどん界で「神」の異名が付いたのは、「ゴッド宮武」の一郎さんと、「神の手」の先代「田村」の大将だけだ。

H谷:あと、「あつあつ、ひやひや、ひやあつ」のメニュー名は「宮武」が発祥で、香川県内でも「宮武ファミリー」の数軒の店しか使っていません。

ごん:全国ネットのテレビや雑誌やサイトで「讃岐うどんのメニューは『あつあつ、ひやひや、ひやあつ』と言います」とか言うたり書いたりしてるのを見ますけど、あれは間違いですね。

団長:大して取材もせずに書いとるからな。ちなみに「宮武ファミリー」というのは「宮武」の親戚関係と師弟関係にあるうどん屋のグループ名で、私が命名しました(笑)。

H谷:有名どころでは「山内」「松岡」「あたりや」が宮武ファミリーの代表格ですね。

団長:それで、「宮武」が健在だった2006年に「麺通50人が白状した『私の好きなうどん屋』ランキングを発表したんやけど、トップ10に「宮武」と「「山内」と「松岡」の3軒が入って「あたりや」も20位あたりに入ったという、そんな珠玉のファミリーの親分が「宮武」です。

H谷:やっぱり「神」ですね。

団長:そんな「神」を私ら、小ネタでよういじってきたわけですが(笑)、ま、一介の我々に笑いながらいじらせてくれるところもまた「神」だ、ということで、「宮武追悼」の回の小ネタをもう一本、テキスト版に起こしておきましょう。

ごん:ちなみに、「宮武」の詳しい歴史や大将のとっておきのお話は「讃岐うどん未来遺産プロジェクト」のホームページの中にある「開業ヒストリー/宮武」をぜひご覧ください。

オクラを食べてハワイに行こう

団長:宮武追悼番組第3弾~。

ごん:というか、今まであんまり追悼になってなかったような気もしますが。

団長:イワシはだいぶ追悼したんやけどな。しょうがない。じゃあ、お便りもまだたくさん頂いてるし、宮武を偲ぶエピソードは山のようにあるんやけど紹介してたらキリがないから、最後に我々の「宮武の思い出」を語って一区切りつけとこう。まずは、「私が宮武の大将に言われた印象に残る言葉ベスト2」。

ごん:2つですか。

団長:2つしか覚えとらん(笑)。第2位。「どしたん、今日も学校休みやったんな」。

H谷:あー、はいはいはい(笑)。

団長:ある日、朝早くから学校に行ったら、何かの行事で学校が休みだった時があるんや。ほんで肩をガックシとカカトまで落として、仕方ないからそのまま「宮武」にうどん食いに行ったら大将に「どしたんな、こんな時間に」言われて、ほんで事情を説明したんやけど、「学校に行ったら休みやった」いうのはその1回だけやのに、それから「宮武」に行くたびに大将に「どしたん、今日も学校休みやったんな」いうて言われ続けて今日に至っとる。

H谷:はははは(笑)。

団長:今思い返すと、きっと「1回やっただけやのに何かあるたびに言われ続ける」という大切な人生の教訓を宮武の大将から頂いたということやね。

ごん:けど俺らの場合、「1回もやってないのにやったことにされてキャラを作られる」いうのが多々あるからな、H谷川君。

団長:何言いよんかわからんけど。続いて第1位は「田尾さん、うどん食べるんヘタやな」。

ごん:あっはっは! 団長そういやちょっとモゴモゴ食べますからね(笑)。

H谷:食べるのそんなに早くないですしね。

団長:それは相対的なもんじゃ。そもそも、宮武の大将も君らも基準がおかしいんや。きみらの周りには猛スピードで一気にうどん食うおっさんばっかりおるから、そんなんと比べられたら誰でも「食べるんヘタやな」になるわ。

ごん:けど、2位も1位も「宮武の大将にツッコまれた一言」なんですね。

団長:ほんまや。無意識にそうなったということは、やっぱり「神にいじられる喜び」なんやろな(笑)。

H谷:それはありますね、間違いなく。

団長:じゃ、続いてH谷川君の「宮武の大将に言われた印象に残る一言」を。

H谷:僕はやっぱり寿司ネタが一番印象に残ってるんですけど、宮武の大将は夏になると、「寿司大将」から「オクラ大将」にチェンジするんです。

ごん:何それ。

H谷:大将の友達でオクラ作ってるおっちゃんがおって、そのおっちゃんが夏場だけ、オクラを袋詰めにして宮武の店内に置いて100円で売ってたんです。

ごん:あー、思い出した! 俺も帰り際にお金を払う時に、大将から「オクラもあるで」いうて勧められたわ。

H谷:あったでしょ。大将、寿司のおっちゃんと一緒で「オクラが余るとかわいそうだから」ということで夏場は「オクラはいかがですか」って必要以上に推してくるんです。それでね、ある日、僕がカウンターでうどんを食べてたら、いきなり大将が「オクラを食べてハワイに行こう」って言い出したんです。

ごん:何の脈絡もなく?

H谷:ええ、急に。他にたくさんお客さんもいるのに。けど、僕の目の前で言うたからたぶん僕に言ってるんだろうと思って、大将に「え? オクラ買って帰ったら何かハワイ旅行が当たるキャンペーンか何かやってるんですか?」いうて聞いたんです。そしたら、「いや、ちゃうちゃう。オクラみたいなネバネバ系のもんを食べたら元気になろがい」と。「ほんで元気になったら旅行行きとなろがい」と。

団長:ほうほう(笑)。

H谷:それで、「え? ほんだらそれ、自腹ですか?」って聞いたら、「それは自分で払てもらわんと」って。

ごん:あっはっはっは!

団長:それ、ただの大将の呼びかけやないか(笑)。

H谷:何かようわかりませんけど、ほんと、ギャグの神でした(笑)。

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