編集 田尾 和俊
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団長:讃岐うどん巡りブームも勃発から30年近く経ったらみんな、人気店以外の店にもいっているみたいやね。
H谷:ネットやSNSでいろんな人が情報発信してますから、意外な店が流行ったりしてますよ。
団長:そんな中、『うどラヂ』ファンはまたひと味違った讃岐うどんの遊び方をしているようです。
ごん:我々がネットに上がらない変な情報ばっかり流すからです(笑)。
えらいとこから入ったなあ
団長:神奈川の熊沢さんからお便りを頂いております。
ごん:ありがとうございます。
8月28日に配信された放送で、H谷川さんから「焼き豚屋さんで神奈川から来た人と会った」と思いがけず紹介していただいた者です。その節はご親切にお話を聞かせてくださり、ありがとうございました。
H谷:いえいえ、とんでもない。
「麺通団のどなたかとお会いできればうれしいなあ」とリスナーなら誰でも思うものですが、本当にH谷川さんとお会いできて感激の一夜でした。
ごん:あらま。
ワタクシ、8月9日からのお盆休みを利用して2度目の聖地巡礼を果たしました。ツアーの情報源は、昨年買った『超麺通団3』と『うどラヂ』だけです。
団長:けど、その2つがあれば、ほぼ完璧よな。
H谷:十分ですね。
ところが、『超麺通団3』と『うどラヂ』のお店情報を書き込んだ地図を家に忘れてくるという体たらくで、最悪の滑り出しでした。さらに、高松道は通行止めでした。香川到着は深夜でした。
ごん:事故でもあったんですかね。
しかし翌日、善通寺方面に向かう途中に偶然にも「一福」さんを見つけることができて、何とも繊細な奇跡の細麺を味わうことができました。しかし、第一目的の「清水屋」さんは何と臨時休業でした。
ごん:「第一目的が清水屋さん」って、どんな計画立てとんや(笑)。
ちなみにその夜、H谷川さんに会ったら、H谷川さんから「あの店に行くのは再来年でええ。あんたにはその前に行かなくてはならない店が山ほどある」と叱られました。
ごん:あっはっは!
H谷:いや、叱ってはないですけど、思い出しました。聞いたら、まだS級であったり『恐るべき』の1巻目であったり、あのあたりをそんなに押さえてないのに「清水屋に行く」って言ったから、「先に行くとこいっぱいあったでしょ」ってね(笑)。
団長:確かに、香川県に800軒以上あるうどん屋巡りの一軒目に清水屋から入って行くというのは、なかなか斬新やぞ。
ごん:すいません、どういう意味で斬新なんですか?
団長:これはの、ジャズの素人さんがジャズをちょっと聞き始めようと思った時に、「エリック・ドルフィー」から入るみたいなもんや。
H谷:何ですかそれ。
団長:その昔、FM香川で『TJ=CALL』いう30分番組をしよった時の話や。番組が始まって半年ぐらい経った頃、スポンサーの旧レオマワールドの専務がジャズが好きで「番組の中でジャズのコーナーやってくれんやろか」言われて、俺、ジャズなんか全然知らんから仕方なくジャズ屋の「アップタウン」に行って、そこのマスターに「師匠」として出てもらうことにしたんよ。
ごん:何か、ジャズのド素人と超マニアックなジャズ屋のおっさんが、なかなかジャズファンに失礼なジャズコーナーをやってたみたいですね(笑)。
団長:師匠が厳選されたジャズの1曲をかけて、俺がド素人の質問をしながら進めていくというパターンにしたんや。ほんである回で、師匠が「今日はピアノトリオのええのをかけてやる」言うて曲が始まったんやけど、聴いてると、途中でベースやドラムの音が聞こえるんよ。そやから不思議に思った俺が「師匠、ベースとドラムの音が聞こえるんですけど」言うたら、「当たり前や。ピアノとベースとドラムのピアノトリオや」って言われて、「えーっ! ピアノトリオって、ピアノが3台違うんですか!」言うたのが、師匠の周りのジャズ通の中でバカウケしたらしい。
ごん:あっはっは! しかしまあ、そのレベルの話も初心者向けの番組としてはアリっちゃアリですよ。
団長:ほんでね、そんなのが始まった頃、俺も何かジャズのCDぐらい買うて聴いた方がええような気がして、アップタウンで「とりあえず何のCD買うたらええですかねえ」言うたら、店のねえちゃんが「エリック・ドルフィーがええよ」って勧めてくるから、わけもわからんと言われるままにエリック・ドルフィーの『Last Date』いうCDを買うたんや。
ごん:で、どうでした?
団長:聴いたら何かフルートとバスクラリネットのすごい音がするんやけど、どうもそれまで聴いたジャズとはかなり様子が違う(笑)。けどまあとりあえずそれを聴いていた頃、仕事で毎週3日ずつ徳島に行かないかんようになってね。向こうでアパート借りて、晩に銭湯に行った帰りに時々「コレクター」いうジャズ屋に行くようになったんや。
ごん:そういや、徳島に行ってた頃がありましたね。
団長:「ジャズ屋では初心者は迂闊なことをしたらいかん」と教わってたんで、店に入ったらいつもおとなしく一人でじっとしてたんやけど、10回ぐらい通いよったら、ある日、店の人が声を掛けてくれたんや。
ごん:ジャズ屋の客として、ワンランクアップですね(笑)。
団長:そうよ。ほんで、常連の方が何人かいらっしゃるカウンターに座らせてもらって、けどジャズに詳しいと思われたら辛いから「全くの初心者なんです」言うたら「何聴きよん?」って言われて、「こないだ初めて買うたCDが、エリック・ドルフィーです」言うた途端に、常連の方々が腹抱えて笑い始めて、「あんたえらいとこから入ったなー(笑)」って………という感じの「清水屋」や。
ごん:例えが長いわ!
H谷:讃岐うどん巡りに「清水屋」から入ったら、通の方から「あんた、えらいとこから入ったなあ」って言われるかもしれんということですね。
ごん:腹抱えて笑いながらね(笑)。
団長:いや皆さん、「清水屋」さんはそんなマニアックな店ではないんですよ。ただ、麺を深掘りする通に言わせたら、あの麺はかなりマニアックな特徴があるという、そういう意味でね。
H谷:確かにそれはわかります。
団長:ではお便りの続きです。
「清水屋」さんの臨時休業に途方に暮れつつも「長田in香の香」にたどり着き、珠玉のダシ、麺、炊き込みご飯を堪能して、「宮武」さんへ、ついに食べることができませんでしたけど、せめてお店の跡だけでもこの目に焼き付けて帰ろうと思いまして見に行きました。さらに善通寺の「白川」さんへと向かう途中、ふと「そう言えばこのあたりにソフトクリームのおいしい店があったな」ということを思い出し…
ごん:あっはっは! いやいや違いますよ。「ソフトクリームのおいしい店」じゃなくて「ソフトクリームのおいしい中華料理店」ですから(笑)。
でもお店の名前を忘れて、「やっぱり地図を持ってくるべきだった」と後悔したその瞬間、道の右前方に「ラーメンも食べよ」という看板が発見されました。
ごん:あっはっはっは!
団長:えー、一応解説しておきますと、琴平に「豚珍館」という中華料理屋さんがあるんですが、私がそこのソフトクリームが香川でトップ3のうまさだとあちこちで言いふらしていたら、どうも「豚珍館」にソフトクリームだけ食べに来るお客さんが続出したらしく、たまりかねた店主が表に「ラーメンも食べよ」という看板を出したという心温まるエピソードが元ネタです。
ごん:どこが心温まるんですか!
団長:私と店主の片岡さんとの、心温まる揺るぎない信頼関係が生み出した珠玉の一本ネタや(笑)。
あーっ! と雄叫びを上げて、レンタルCD屋さんの駐車場で引き返して、ここでこの店を外したのでは『うどラヂ』リスナーの名が廃ると思い、意を決して店に入りました。「ソフトクリームください」と注文すると、おねいさんが大変にこやかに「はあい」と請け合ってくれてホッとしました。本当にうまかったです。
ごん:いやー、それにしても『うどラヂ』聞いててよかったですねえ。普通、「ラーメンも食べよ」の看板でそこにうまいソフトクリームがあるとは思いませんからね。
それにしてもH谷川さん、さすが次期団長を目論むだけあって、うどんに関する情熱はハンパではありませんね。ますますのご活躍をお祈りいたしております。長々と失礼しました。
H谷:目論んでないですよ!
団長:というわけで、なかなかマニアックな讃岐うどん巡りのレポートでした。
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