麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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団長:『うどラヂ』が始まった2006年あたりの放送を今、テキスト版に起こしているんですが。

ごん:もう15年以上も前になるんですね。

団長:私が50歳を超えて穏やかな日々を送り始めた頃、キミが40歳を超えてまだ髪も頑張っていた頃、H谷川君が30歳を超えてそこら中にガンを飛ばしてた頃やな。

H谷:違いますからね、皆さん!

ごん:というか、私も決してイメージのいい紹介だとは思えませんが。

団長:ま、その頃、私も大学でアカデミックな仕事に取り組んでいたわけですが、今回はそのあたりのうどん絡みの調査報告の回です。

うどん屋の数と電柱の数

団長:不肖ワタクシ、大学の授業の一環で学生たちと年に2回、フリーマガジンを発行しているわけですが。

ごん:『インタレスト』ですね。

団長:それでこないだ、香川県内にうどん屋とラーメン屋とそば屋が何軒ぐらいあるのかを調べてみたわけです。ま、地域の基本情報ではあるけど、「軒数」となるとほとんどの県民が認識していないと思うので。

H谷:うどん屋の数なら何となく想像がつきますけど、ラーメン屋とそば屋は見当もつきませんね。

団長:じゃ、まず「うどん屋の数」。2006年10月時点で、学生たちが電話帳や雑誌やいろんな資料を精査して集計した結果、「約820軒」という数字が出ました。

ごん:精査したのに「約」ですか(笑)。

団長:「うどん屋」とするか、「食堂」とするか、そのあたりの線引きの曖昧な店があるからしょうがない。ちなみに、1998年に私が『讃岐うどん全店制覇攻略本』で香川のうどん屋の数を「約650軒」と発表するまで、四国新聞や多くの識者の間では「香川県のうどん屋の数は2000軒とも3000軒とも言われている」という表現がまかり通っておりましたが、私がスタッフ総出で全店に取材をかけて、ほぼ実数に近い数字を出して、根拠のない「3000軒」論者に鉄槌を下しました(笑)。

ごん:ほんまに、先人たちには迷惑な話です(笑)。

団長:我々はデータとファクトベースの情報発信をモットーとしておりますので、申し訳ございませんでした。で、90年代終盤から「讃岐うどん巡りブーム」に乗って毎年30軒、40軒、50軒と急激に増えていって、2006年には800軒以上のうどん屋が確認されたということです。

H谷:ブームでめちゃめちゃ増えましたからね。

団長:では続いて「ラーメン屋の数」。

ごん:これはだいぶ少ないと思いますよ。

団長:ラーメン屋は、約190軒でした。

ごん:えっ?! そんなにあるんですか。100行くか行かないかぐらいだと思ってました。

H谷:「ラーメン屋の数はうどん屋のだいたい4分の1」と覚えときましょう。

団長:次に、「そば屋」です。

ごん:そば屋なんて、僕、10軒ぐらいしか出てこんですよ。

団長:ちょっと贔屓目に「ま、そば屋だろう」というのも入れて、20軒見つかりました。

ごん:20軒もあるんですか! というか、「贔屓目にそば屋だろう」いうのはどういうそば屋なんですか(笑)。

団長:ま、そばもうどんも出してるけど、何となく「そばの方が強そう」っていう店(笑)。

ごん:なるほど、看板に「うどん・そば」じゃなくて「そば・うどん」って書いてあるみたいな(笑)。

団長:ま、そういう感じで「約20軒」という結果になりました。ちなみに、私の大好きなそばを出す「日月庵」の大将は、下の名前が私と字も同じ「和俊」です。

ごん:いりますか? その情報(笑)。

H谷:ごんさん、そこが麺通団の付加価値じゃないですか。

ごん:「讃岐うどん解説業界の増田明美」ですか(笑)。

*****

団長:さてここからです。「脇道に逸れる情報収集」でおなじみの『インタレスト』は、さらに他の店も調べてみました。まず、香川県内にコンビニは何軒あるのか。

ごん:コンビニは結構なくなったりできたりしてますよ。

団長:そうです。これはうどん屋やラーメン屋以上に数字が確定しにくいんですが、全国チェーンのコンビニ以外の、地方の何とかストアみたいなコンビニっぽいのまで数えました。

ごん:「コンビニっぽいの」って(笑)、そもそもコンビニの定義は何なんですか?

団長:「コンビニエンスなストア」やんか。和訳すると「便利なお店」。

ごん:雑貨屋は?

団長:便利な雑貨屋だったらコンビニ。すごい不便な雑貨屋だったらこれはコンビニではない。

ごん:すげえ乱引き(笑)。

団長:ま、そこは深く追求しないことにして、学生の源成が調べたところによると、313軒。もう一人の学生の今田が調べたら290軒。

ごん:じゃあ、間を取って約300軒ですね。

団長:いや、今田の方が信用できるから、「約290軒」としとこう(笑)。

ごん:源成ですからね(笑)。

団長:さて、その他にも街中でよく見かけるスーパーとかガソリンスタンドとかパン屋さんとか喫茶店とかいろんな客商売の店の数を調べたんですが、県内で店舗数が一番多かったのは何でしょう。

ごん:クリーニング店は多そうですよね。僕の住んでいる所の近くの交差点周辺に、クリーニング屋さんが5店舗もあるんですよ。「どしたんぞこれ」いうぐらい密集してるんです。

団長:それはたぶん、君んちの周辺で「家では絶対洗濯せん」いう人が集団でおるんや。

ごん:どんな特殊なエリアですか!

H谷:じゃあ、喫茶店ですか?

団長:ええとこいったけど、喫茶店は「約1050軒」で1位ではない。

ごん:でも、喫茶店の方がうどん屋より多いんですね。

団長:はい。正解は、理美容店です。香川県全体で「約2700軒」。

ごん:えーっ! そんなに!

*****

団長:さて、そこでもう一つ、うどん屋の数となると調べなければならないものがあります。

ごん:何でしょう。

団長:一昔前、香川のうどん店の数の多さを表すのに、うどん屋の数をあるものの数と比較する言い方がありました。

ごん:あー、わかりました! こうなって、こうなって、丸いのが3つ付いてるやつ。

団長:はい正解。信号機の数です。「香川のうどん屋は信号機の数ほどある」とよく言われていましたね。あと、「香川のうどん屋は電柱の数ほどある」と言う人も結構いたので、香川にある信号機と電柱の数を調べてみました。

ごん:相変わらず、どうでもええことに全力を注ぎ込みますね。

団長:それが我々の存在意義ですから仕方ありません(笑)。調べた結果、平成18年の3月末時点での警察発表の数字が下一桁まで出ました。香川県の信号機の数は「2048基」。

ごん:それ、交差点1つで1基?

団長:いや、信号のある交差点の数でなくて、信号機自体の本数らしい。

ごん:交差点1カ所で何基もあるということですか?

団長:そうらしい。

ごん:何か、もっとあるような気もするんですけどね。

団長:俺ももっとありそうな気がするけど、一応公式データやからな。

ごん:街中にはそこいら中にありますけど、田舎では僕らが思ってるほど信号機がないんかもしれませんね。

団長:そう言われれば、俺、詫間の実家に帰ったら家の周りに信号機1本もないわ(笑)。

ごん:ちなみに、電柱の数は何本でした?。

団長:「約17万本」です。

ごん:あっはっは! 誰が「電柱の数ほどうどん屋がある」って言うたんや(笑)。

団長:ただし、江戸時代とか、電柱や信号機が1本もなかった時にもうどん屋があったとすると、どこかの時点で「電柱とうどん屋の数」と「電柱と信号機の数」がピッタリ一致した瞬間があるはずや。

ごん:確かに!

団長:とすると、電柱埋設工事が進む昨今、またどこかの時点で「電柱とうどん屋の数」が一致する時が来るかもしれん。

ごん:四国電力さんに頑張ってもらいましょう(笑)。

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