麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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団長:旅番組なんかでタレントが香川に来たら、うどん屋によく行きますが。

ごん:昔は完全にうどん屋巡り番組が多かったんですけど、近年は旅番組の途中にうどん屋に何軒か立ち寄るぐらいの感じですね。

団長:けど何かねえ、最近のタレントは、うどんを食べた時のリアクションとかコメントに、“趣”とか“深み”みたいなのがなくなってきたと思うのは俺だけか? 

ごん:例えば?

団長:昔、何かの番組で鈴木杏樹さんと何軒か回ったやろ?

ごん:行きました。最初、飯山の「なかむら」で落ち合うシーンで、鈴木杏樹さんがあの「なかむら」の“原始セルフ”にまごついているところに、団長が小脇に『恐るべきさぬきうどん』の本を5巻抱えて近寄っていって「何かお困りですか?」って声を掛けるやつ(笑)。

団長:最初、番組ディレクターからあのシーンを指示された時、「そんな客はおらんでえ!」言うて抵抗したんやけど、押し切られてしもた。

ごん:ほんまに恥ずかしい小芝居をやらされますねえ。

団長:ほんでね、私が方向性の違う珠玉の麺の店を数軒案内して食べ歩いた後、最後に杏樹さんに感想を聞いたら、「同じうどんなのに、店ごとにフランス人とアメリカ人ぐらい違う。でもどっちも白人」って言うたやん。

ごん:あれは素晴らしい感想でしたね。

団長:今、同じこと言うたら「人種がどうした」とかいう“為にする文句”を付けてくるやつが出てきそうやけど、そんなこと以前に、豊かな感受性と言語能力がなかったらとっさにあれはなかなか出てこんコメントや。

ごん:近年のタレントの「食レポ」では、なかなか聞けませんね。

団長:というわけで、もう一つ、タレントがさぬきうどんを食べていいコメントをしてくれた回を1本。

Mの海さんの食レポ

団長:広島の「メタボックリ」さんっからお便りを頂いております。

ごん:ありがとうございます。

「麺豪山下」に、「3月3日、8時30分に、麺通団団長と舞の海がアームレスリングで対決!」という手書きの掲示が出ていました。

ごん:え? え? 

記憶に頼っているので正確さに欠けますが、もしかして腕相撲で腕を痛めて原稿が遅れることの口実にするつもりかとも思いましたが、楽しげな収録のようですね。放送局や放送日時などわかりましたら『うどラヂ』で告知をお願いします。

H谷:「アームレスリングで対決」は間違ってますよ(笑)。

団長:私はそんなことはしませんが、ちょっと呼ばれて行ってまいりました。

ごん:あの、舞の海さんて、あの舞の海さん?

団長:そうやけど、あんまり有名人の行動を大っぴらにしたらいかんかもしれんから、伏せ字で「Mの海さん」としておこう。

ごん:あっはっは!

団長:元関取の、「Wのデパート」と異名の付いた。

ごん:背の小さい、新弟子検査の時に頭にSリコンを注入して身長をごまかして合格したというMの海さん(笑)。

H谷:もう「舞の海さん」でいいじゃないですか!

団長:そういうわけで、某放送局から「出てくれんか」と電話がありまして。けどその日は昼から会議があったんで「午前中しか空いてない」言うたら、「午前中だけでも」って頼まれたから、まあ行くことになったんだ。それで、朝の7時半に「麺豪山下」に来てくれって。

ごん:早いですね。

団長:ほんで7時半に行ったら、20~30分ぐらい遅れて他のスタッフの方々とMの海さんと局アナの女性の方が来られて、そこから「オープニングのシーンを撮る」いうて、俺、「麺豪山下」の前の県道を北にちょっと行ったあたりに1人だけ連れて行かれた。

ごん:ちょっと待ってくださいよ。それ、昔何回かあった、オープニングで恥ずかしい小芝居やらされるパターンじゃないですか?(笑)

団長:そこで指示されたのは、まず、俺が「ようこそ、讃岐うどんテーマパークへ。麺通団団長」と書いたプラカードを持って、道端に立っとくんだ。

ごん:あっはっはっは! 過去最強レベルの恥ずかしい小芝居じゃないですか!

団長:ほんで、向こうからMの海さんと局アナの方が乗った車がやって来て、プラカード持って立ってる俺を見つけて「あ、あそこだ!」いうて俺と出会う、というオープニングを撮るって。俺、ディレクターに向かって「そんなやついねえよ!」って、

ごん:言うたんですか!

団長:心の中で激しく突っ込みながら、口から「わかりました」って。

ごん:何やってるんですか!

団長:けどまあ車通りの多い国道じゃないから、県道だったらまだ…と思たんやけど、行ったら朝の8時台や。

ごん:通勤ラッシュの時間帯じゃないですか!(笑)

団長:「向こうから車が見えたらプラカード出してください」って言われとったから、とりあえず車が来るまでプラカードを小脇に抱えて通行中の車から見えんようにしとったんやけど、それでも道端に1人で立ってるから、普通の人が見たら「あの人、あんなとこに1人で立って何しよんやろ?」って思うやん。

ごん:しかもよく見たら、「あれ? どっかで見たような人や(笑)」って。

H谷:「テレビで見たことあるような人や」って(笑)。

団長:ほんでしばらくしたらディレクターが「あ、向こうに見えました。プラカード上げてください」言うから、とりあえずプラカードを上げたんやけど、通勤ラッシュの渋滞がどんどんひどくなってきて、俺の前を車がずーっと連なってノロノロ運転しよんねん。

ごん:あっはっはっは!

団長:俺、道端で「ようこそ、讃岐うどんテーマパークへ。麺通団団長」って書いたプラカードを上げたまま、Mの海さんと局アナが乗った車がジワジワジワジワと近づいてくるのを延々待った。

H谷:通勤ラッシュの車に見られながら(笑)。

団長:ローカル局のディレクターって、なんであんなわざとらしい演出ばっかりするんかのー。

ごん:もう、わかってたら学習しましょうよ。

団長:ほんとにね。

H谷:で、店では恥ずかしい演出はなかったんですか?

団長:店内のロケはまあ、特に変なものはなかった。店に入ったら真ん中にアームレスリングの台が置かれてて、そこで店主の山下君と“スモササイズ”の芸人の「あかつ」さんがアームレスリングをやってたぐらいで。

H谷:それ、十分“変”です(笑)。

団長:ほんで、みんなで「かけ」の「ひやひや」と「ひやあつ」と「あつあつ」を食べ比べた後、私が山下君の麺を「いつでも150キロの球を投げられるピッチャーがあえて145キロぐらいで丁寧にコーナーを突いてくるような、隙のない麺です」と解説したわけや。

ごん:なるほど。

団長:そしたら舞の海さんが、「それは相撲で言うと、白鵬ですね」って。「白鵬は恐ろしく力が強いのに7分か8分ぐらいの力で丁寧に相撲を取ってくるから、手のつけようがないんです」って。私の比喩を即座に理解して、すぐさま相撲の事例を当てはめてくるという、見事な切り返し。

ごん:さすが、「技のデパート」ですね。

団長:しかしまあ、あんまり大将を持ち上げすぎてもためにならんので、「唯一の難点は、ちょっと大将に煩悩が多いことですか(笑)」言うたら、舞の海さんがすぐさま「じゃあ白鵬じゃなくて、朝青龍だ(笑)」って(笑)。

H谷:お見事です!

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