麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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団長:「ゲリラうどん通ごっこ」を連載してた1990年代って、俺ら、車にカーナビが付いてなかったのに、たいていの店はどないかしてたどり着きよったやん。

ごん:地図と勘でね(笑)。

団長:それが今やカーナビに慣れてしもたら、初めての店にはカーナビなしで行けんようになってしまうとは、「便利なものを使い始めたら、人間の本能的な能力は間違いなく退化する」ということか。

ごん:友達や仕事先の電話番号も昔はかなり覚えてましたけど、名前押したらつながるようになったら、番号なんか全く覚えてませんからね。

団長:ちなみに、あるリサーチ会社の調査によると2020年のカーナビ普及率は80%ぐらいだそうですが、その10年前の2010年頃は普及率が50~60%ぐらいだったとのことです。では、その頃の人気店の「道案内ネタ」の回をどうぞ。

「なかむら」の道案内

H谷:「なかむら」の大将から「『うどラヂ』でぜひ言ってください」って頼まれたんですけど。

団長:聞きましょう。

H谷:県外から讃岐うどんを食べに来るお客さんで、「道順がわからない」ということでお店に電話してくるお客さんが結構いるそうなんですが。

団長:県外客や初めての客には、「なかむら」は店の近くの道が特にわかりにくいんかもしれんな。

ごん:あの県道から細い道に入るところとか、土手の道を通っても通り過ぎる人がいますからね。

H谷:いや、それがね、お客さんから「今から鳥取から行くんですけど、道教えてもらえますか?」いう電話があったそうなんです。

団長:鳥取からかい! ほんで大将、何て返したん?

H谷:「すまんけど香川に来てから電話してくれるか?」って(笑)。

ごん:あっはっは!

H谷:それでね、大将が「“今から大阪から行く”とか、“新潟から行くんですけど”とかいうのは、ちょっとお店も対応が困るんで、せめて香川県に来てから電話してくれるようにラジオで言うとってくれんやろか」って。

団長:いやー、俺らの知らんところで、昭和の常識人には想像もできんような事態が進行してるみたいです(笑)。

ごん:あと、店が忙しい時間帯でも平気で店に電話してくる客とかもいますよね。

団長:そういや以前、「竹清」の店内で並んでたら、パートのおばちゃんらが昼時でてんてこ舞いしてる時に店内の電話が鳴って、天ぷらの注文を取りよるおばちゃんがその電話を取ったんよ。

ごん:忙しい最中なのに。

団長:おばちゃん、ええ人やから。ところが、すぐ済む用事かと思ったら、どうも電話の相手が「竹清」に行く道順を尋ねよるらしくて、それも聞いてたら、どこから来よんかしらんけど「国道11号線」言うてもピンと来てないみたいで。

ごん:えらい客に捕まってしまいましたね。

団長:けどおばちゃん、ええ人やから一生懸命説明してたら、それを見かねた常連客らしいおっちゃんが「ワシが言うてやるわ」言うておばちゃんから受話器を取って、そこから相手が店の前に来るまで客のおっちゃんがずーっと電話で案内した。

ごん:素晴らしい! これぞ「讃岐うどんの風景」です!

H谷:そういや、「なかむら」でも昔はしょっちゅう常連のお客さんが店にかかってきた電話を取ってましたね。

団長:おー、取りよった。俺、電話で業者の人とやり取りしよる客のおっちゃんを見たこともある。

ごん:あっはっは!

団長:あと、昔、タウン情報時代に「なかむら」に電話取材しよったやつが、住所や電話番号や営業時間や定休日や値段やいろいろ確認しよったら、途中で電話の相手が客のおっさんやいうことに気がついたこともある。

ごん:いやー、いい風景ですねえ(笑)。

団長:しかしカーナビやスマホがどこでも道案内してくれるようになって、確実に“ネタ”が減ったなあ。

ごん:まあ便利になって、それはそれでいいんですけどね。

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