麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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団長:今回はちょっと息抜きで、うどん以外の話をした回を。

ごん:うどん以外の話、今までに結構あったような気もしますけど(笑)。

団長:ありました(笑)。えーと、バックナンバーをひもといてみると、「ススムのミカン」「牛の胃の謎」「太宰府天満宮の奇跡」「編集牛から教牛へ」「メロン詐欺事件」「イワシの大群」「ホルモン学院大学」「インピツ」「ミシェル・ウィー」「喫茶まんさく」「食後のパン」…メチャメチャ充実しとるやんか!

ごん:中でも“大作”は、「メロン詐欺事件」と「イワシの大群」ですか。

団長:というわけで、大作の第3弾、あの「コルネのタニシ」事件を2週にわたってお送りします。

ごん:絶対手抜き(笑)。

タニシ・スペクタクル(前編)

団長:今日は盛の大将をゲストにお迎えしております。

盛:お久しぶりですー。

団長:盛の大将と言えば、

ごん:はい、何でしょう。

団長:大昔の夕方の陽も落ちかけたある日、盛の大将の運転で俺が助手席に乗って2人で丸亀の郡部の田んぼのあぜ道みたいなとこを走りよったんよ。

ごん:どんな状況ですか!

団長:たぶん、うどん屋探検をしよって道に迷って田んぼのあぜ道に突っ込んだような気がする。

H谷:いろいろやってたんですねえ(笑)。

団長:あの頃はまだ若かったからね。それであぜ道に迷い込んで、周りがだんだん暗くなってきたから「これ、出られるんか?」と不安になってたら、あぜ道にうっすらと車の轍(わだち)が見えたんよ。

ごん:車が通った跡を見つけたわけですね。

団長:うん。轍があるということは車でもここから抜け出せる可能性があるということや。ほんで大将に「あ、轍(わだち)がありますよ」言うたら、大将が「ワダチに任せなさい」言うたのを聞いてちょっと笑ってしまったのが私の人生の唯一の汚点、という盛の大将です。

盛:どんな紹介や(笑)。

団長:というわけでこないだ、ある熱帯魚を売っているお店に行ったんだ。

H谷:えーと… いきなりどんな展開ですか?

ごん:あの、ゲストを迎えてゲストをないがしろにした話に展開しそうな匂いがするんですが、頼みますから、しょうもないオチだけはやめてくださいよ。

団長:失礼な。これはスペクタクルに満ちあふれた話やぞ。

H谷:熱帯魚とスペクタクルがまだちょっとつながりませんけど。

団長:大丈夫。すぐにみんな、物語に引き込まれていくから。ほんでね、「えのき君」がおるところに行ったんだ。

ごん:誰ですか。初めて聞きますけど。

団長:「えのき君」の話はまだしてなかったか。以前、そのある熱帯魚を売っている店に行ったら、新人の店員が入ってたんだ。

ごん:まあ、入りますわな。

団長:それが、色白でシュッとしてておとなしそうな兄ちゃんなんやけど、頭の大きさに比べて体がひょろっと細くてね、俺ら夫婦で「エノキみたいな子やなあ(笑)」とか言うてたんや。ほんでいろいろ買うてレジに行ってその子の胸に付いてる名札を見たら、ひらがなで「えのき」って書いてた。

ごん:あっはっは!

団長:いや、本名か愛称かは知らんよ。ほら、何かスタッフが愛称を名札にしとる店とかあるやん。

ごん:ありますあります。居酒屋とかね。

H谷:回転寿司でも見たことあります。

団長:ほんでそれ見て我々夫婦、いっぺんに「えのき君」のファンになって何回も通ったという、そういう「えのき君」や。

ごん:いやー、確かにスペクタクルな出会いですねえ(笑)。

団長:ほんでその日も熱帯魚をちょっと増量しようと思って行ったんやけど、もう一つ、「えのき君」にちょっと尋ねたいことがあってね。

ごん:ほうほう、何でしょう。

団長:俺、家に90センチの水槽があってちっちゃい熱帯魚を100匹ぐらい飼いよんやけど、こないだ、あるところで水草を買うてきて入れとったら、丸いちっちゃいタニシがいっぱい発生したんだ。

ごん:あー、いますね。

団長:水槽のアクリルガラスの内側とか水草の葉っぱの上とかにいっぱい出てきた。けどあれ、水槽の中に大量発生したらビジュアルがあんまりよくないやん。そやから駆除に取りかかったんよ。

ごん:どないしたんですか?

団長:まず、カップヌードルのカップを用意して、それから水槽の中に手を入れてタニシを1匹ずつつまんで取り出してカップの中にカツンと入れて。

盛:あっはっは! 指ではじいてね(笑)。

団長:ほんで数日かけて、目に見えるとこにおる丸いタニシを一掃したんだ。

ごん:おお。

団長:するとね、それから1カ月ぐらいして、今度は巻き貝の、先のとんがった、三角の細長い、とんがりコーンの極小タイプみたいなタニシが1匹出てきたんや。

ごん:あー、コルネみたいなやつですね。

団長:おー、コルネコルネ! シャープなコルネの極小タイプ。

盛:あっはっは!

団長:あれが1匹出てきて「おやおや」と思いよったら、1匹が2匹に、2匹が4匹に、4匹が8匹に、8匹が16匹に…

ごん:1匹見たら30匹おると思えと。

団長:とにかく1日ごとにどんどん増えてきたんだ。

ごん:それは大変。

団長:けど私的には、シャープなコルネはちょっとデザイン的に丸いタニシよりはいい感じだと。うちの90センチ水槽は底に2~3ミリ角ぐらいのちっちゃい石を厚さ3センチぐらいに敷き詰めとんやけど、そこに全長5ミリぐらいのコルネが少々紛れておっても、まあこれはええかと。

ごん:砂浜に小さいコルネの貝殻があるようなビジュアルですよね。

団長:あー、そうそう。そやから、そのコルネのタニシはそのまま「多少増えてもええか」ぐらいで温かい目で見守ってやっとったんや。そんなある日、ある熱帯魚を売っている店に行きました。

ごん:「えのき君」のとこですね(笑)。

団長:そう。ほんで、「えのき君」と一緒に話しながら店の水槽を見よったら…

ごん:すっかりお友達になってるじゃないですか(笑)。

団長:お互い素性は全然明かしてないけどね。ほんで見よったら、店内に丸い黒いタニシがようけおる水槽を見つけたんや。そやから「えのき君」に「タニシがいっぱいおるやん。駆除せないかんのちゃう?」言うたら、「こいつはね、コケを食べるからええんです」と。

ごん:おや?

団長:どうも丸いタニシは、ええヤツらしいんだ。

ごん:おやおや?

団長:俺は丸タニシはビジュアルがあんまり好きでないから全部駆除してしもたのに、あれはええヤツだって。ほんで、ふと思い出して「えのき君」に「ちなみに、シャープなとんがったタニシがおるやん。あれはどうなん?」って聞いたんよ。そしたら、「あいつはダメですよ! あいつは水草をかじるんですよ!」って。

全員:あっはっはっは!

団長:コルネは極悪タニシだったんだ。

ごん:ええヤツを駆除して、極悪タニシを温かい目で見守ってたわけですね(笑)。

団長:そういや、あの後、モワーッとしたウイローモスとかいう水草を買うて入れとったら何か毎日ちょっとずつちぎれて行っきょったんやけど、あれ、あいつのせいやったんや!

ごん:コルネ野郎のせい!(笑)

団長:あいつほんまに人のよさそうな振りをしやがって。

ごん:あんたがビジュアルを気に入ってただけです(笑)。

盛:人もタニシも「見た目で判断してはいけない」ということですね(笑)。

(次週に続く)

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