麺通団のうどラヂテキスト版 編集 田尾 和俊

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団長:『うどラヂ』の特徴の1つに「“ない話”を繰り出す」というのがあるんやけど。

H谷:「『うどラヂ』の特徴」というより、団長とごんさんだけの特徴ですけどね。

ごん:「そんなことは現実的にはないわ」というネタを連発するんやけど、あれ、いつも打ち合わせなしで突然団長が言い始めるから、ついていくの必死なんやぞ。

H谷:わかりますわかります(笑)。

団長:というわけで、“ない話”の大ネタはテキスト版75回の「麺主主義」の回をご覧いただくとして、今回は小ネタ入りの回です。

うどんの国の「小、中、大」

団長:お便りを頂いております。

ごん:ありがとうございます。

初めまして。愛媛の東端から本場にうどんを食べに行っている「デポデホ」です。

団長:愛媛からわざわざすみません。

ごん:愛媛の東端というと、香川との県境のあたりですね。

団長:何や、ほとんど香川県民やないか。

H谷:はははは(笑)。

先週、朝ご飯を食べずにお腹を減らしてうどんを食べようと思って、1軒目に「上戸うどん」でつい「大」と注文してしまい、いきなり3玉で腹一杯になってしまいました。

団長:朝から「上戸」の大か。

H谷:3玉ですね。

しばらくドライブして山本町の「ふる里」で天ぷらうどんを注文したのですが、「並」と「大」と書いてありました。「小」ではなく「並」とするのは、何か訳があるのでしょうか。お店の人に聞けばいいんですが、素人と思われてもいやなので西讃のお店に詳しいH谷川さん、ぜひ教えてください。

団長:なるほど、そこに気がついたか。

H谷:「ふる里」に限らず、「小」のことを「並」って表記している店は結構ありますね。あと、「小」がなくて「中」と「大」だけの店もあります。

団長:讃岐うどん界の主にセルフの店にある「うどん玉の数の表記」について整理しておくと、まず大きな分類として、「小、中、大、特大」と表記している店と、「1玉、2玉、3玉…」と表記している店があります。で、「小(1玉)、大(2玉)、特大(3玉)」とか、「小(1玉)、中(2玉)、大(3玉)」とかいうふうに、店によって「小、中、大」の表記と玉数の関係にはばらつきがあるというのが基本形。

H谷:「中」が1.5玉とかいう店もありますね。

団長:「小」が1.5玉という店もあった。

H谷:「かながしら」ですか。

団長:はいそうです。かつて高松市郊外にあった「かながしら」の「小」は、丼にダシが見えんぐらい麺が盛り上がってて、天かすかけたらあちこちで落石事故が起こっていました(笑)。私が「かながしら」の探訪記に付けた見出しが、「世界最大の小」です(笑)。

H谷:「小」の下にあった「ミニ」が1玉でしたよね。

ごん:全然ミニじゃない(笑)。

団長:でね、その頃、私の記憶では香川のセルフのうどん屋に「並」いう表記はなかったと思うんや。実際、『さぬきうどん全店制覇』の全部の店の代表メニューをくまなく見たら、2000年代前半あたりまで「並」表記はどこにも出てこない。あの頃に「並」を見たのは、牛丼屋だけだったような気がするわ。

H谷:はははは(笑)。

ごん:いつごろからうどん屋に「並」が出てくるんですか?

団長:それがな、聞いて驚け。

ごん:えーっ!

団長:まだ言うてないがな。

H谷:ありがとうございます(笑)。

団長:『全店制覇』によると、県内で最初に「並」という表記を出したのは、県外うどんチェーンの「丸亀製麺」でした。

ごん:ほー。

団長:さすが「丸亀製麺」、讃岐うどんの世界にはない発想を持ち込んできたな、と(笑)。

ごん:牛丼屋や「丸亀製麺」ということは、要するに県外の飲食店が「並」を使ってるんですかね。

団長:何かそんな感じがするなあ。想像やけど、「小」と表記したら「普通より小さいんか」と思われそうだから、違う言葉を探して「並」を採用したんじゃないかと。

ごん:確かに、「小200円」と「並200円」だったら「並」の方がお得感があるというか、「小200円」の方は「小さいのに200円か」とか思っちゃいますからね。

団長:「並」にお得感があるというより、「小」に“お損感”がある(笑)。

H谷:はははは(笑)。

団長:しかし、香川県民はうどん屋に行って「小」の文字を見ても「1玉やな」と思うだけで、「普通より小さい」というイメージはほとんど持っていないと思われます。

H谷:たぶん香川県民だけの特徴ですね。

団長:お便りの続きです。

その後、コンビニでコーヒーを買おうと豊浜のセブンイレブンに寄ったら、セルフのコーヒーマシンの「レギュラー」と書いてあるボタンの上に漢字で「並」と書かれたシールが貼られていて、「ラージ」の上には「大」と貼ってありました。さすが本場。さらに大満足で帰りました。

ごん:いやー、地域性ですねえ(笑)。

H谷:でも普通サイズは「小」じゃなくて「並」なんですね(笑)。

団長:セブンイレブンも県外資本やから、やっぱり「小」と表示するのはちょっと抵抗があったのかもしれん。で、このお便りを読んで考えたんやけど、香川県が「うどん県」で押すなら、いろんなものを「小、中、大、特大」と表示するというのはどう?

ごん:例えば?

団長:まず、さっきのセブンイレブンにならって、香川のスタバとかタリーズとかのカップのサイズは「ラージ」とか「トール」とかじゃなく、全部「小、中、大」に統一する。

H谷:いいですね(笑)。

ごん:ええか?オシャレさが台無しやぞ(笑)。

団長:次に、香川県内の服屋は全部、サイズは「S、M、L、LL」じゃなくて「小、中、大、特大」と表示する。

ごん:あっはっは!

団長:さらに、香川県のゴルフコースは全部、「ショートホール、ミドルホール、ロングホール」じゃなくて「小ホール、中ホール、大ホール」と表記する。

ごん:市民会館と紛らわしい(笑)。

団長: 「ここ、1番から“小”か」とか「上がり3ホールは“中、小、大”やぞ」とか。

ごん:はいはい。

団長:さらに、ガソリンスタンドに行ったら給油の選択肢は「小、中、大」の3択しかない。「小」はちょっとだけ、「中」は半分ぐらいで「大」は「満タン」。

H谷:店によって「小」の量がちょっとずつ違うというのはどうですか?

団長:おお、「あそこのスタンドの『小』はちょっと量が多い」とかな。

H谷:ガソリンスタンド界の「かながしら」ですね(笑)。

ごん:クレームの嵐になりますよ! 

団長:世知辛い世の中や。一度社会を見直してアバウトにざっくり生きるのもええぞ。

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