編集 田尾 和俊
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団長:「讃岐うどん」と「骨付鳥」と「あん餅雑煮」を今、「香川の三大ご当地グルメ」に認定したんやけど。
ごん:あなたが勝手に(笑)。
団長:全国のグルメの中での差別化度合いとメディアで紹介されてきた度合いを勘案すると、“料理”としては妥当なところではないかと思うんやけど、この中で「あん餅雑煮」だけ、全国メディアの扱い方が違うんや。
ごん:と言いますと?
団長:「讃岐うどん」と「骨付鳥」は「うまい!」とかいう紹介のされ方やけど、「あん餅雑煮」だけ「えーっ!」みたいに扱われる(笑)。
ごん:まあそうでしょうねえ。普通に考えたら、あの組み合わせはどうかしてますからね(笑)。
団長:あと、「讃岐うどん」と「骨付鳥」は年中あちこちで食べられるけど、「あん餅雑煮」だけ基本、正月にしか食べられてない。
ごん:ということは、ビジネスチャンス?(笑)
団長:年中開いてる「あん餅雑煮屋」とか、年中「あん餅雑煮」がある食堂とか居酒屋とか…微妙な感じもしますが、とりあえず「あん雑煮うどん」と「あん餅雑煮」の話が出てきた回を。
あん餅雑煮率は60%
団長:「たかちゃんマン」から頂いております。
麺通団のみなさんこんにちわ。いつも楽しく聴いています。
ごん:ありがとうございます。
『秘密のケンミンshow』で、観音寺の「かなくま」という餅とうどんを売っている店の「あん雑煮うどん」という思い切ったうどんが紹介されていました。見た目は「力(ちから)うどん」ですが、餅の中に甘いあんこが入っていました。家族みんな引いてしまいました。極めつけは、カレーうどんの中にあん餅や揚げたあん餅が入っているなど、まさに衝撃的でした。香川に住んで22年になりますが、うどんでドン引きしたのは初めてです。皆さんは知ってましたか?また、食べたことはありますか?よかったら感想を聞かせてください。
団長:香川に22年住んでるけど、「かなくま餅」の「あん雑煮うどん」は知らなかった、というお便りです。
ごん:テレビや雑誌では昔から結構紹介されてますけど、確かにそこまでポピュラーじゃないですからね。
団長:県内で「あん餅」が入ったうどんを出してるのは「かなくま餅福田」ぐらいか?
H谷:そうですね。白餅が入った「力うどん」を出す店はありますけどね。
団長:というか「たかちゃんマン」、「あん餅雑煮」自体も知らんのかもしれんぞ。
ごん:「あん餅雑煮」は一応、香川県の名物とは言われてますけど。
団長:言われてるけど、実は、かく言う私も香川生まれの香川育ちでありながら、大人になるまで「あん餅雑煮」なんて、聞いたこともなかったぞ。
ごん:僕も10何年か前に食べたのが初めてでした。
団長:だろ?そもそも「雑煮」って、ほとんどの人が自分の家の雑煮しか食べたことがないから、ほとんどの人が「自分ちの雑煮しか知らん」ということや。だから俺らみたいに「あん餅雑煮を作らない家」で育った子は、誰かに聞くまで「あん餅雑煮」なんか知らんわけだ。
ごん:そういう人、結構いるんじゃないですか?
団長:というわけでワタクシ、大学で作っている情報誌の『インタレスト』で「あん餅雑煮を食っている家庭が香川県にどれぐらいあるのか?」を調べてみました。県内あちこちで「正月の雑煮の餅にあんこは入ってますか?入ってないですか?」という聞き取り調査をやりまして。
ごん:なかなか大仕事ですね。
団長: 『インタレスト』は授業の一環だから、ワタクシ、タウン情報時代にはできなかった「学生たちを単位を人質に自由自在に使う」という人海戦術を手にしましてですね。
ごん:あっはっは!例の「イナゴ軍団」(笑)。
団長:単純な連続作業には滅法強い(笑)。で、調査の結果、県内の60%の家で雑煮に「あん餅」を入れていることが判明しました。
ごん:そんなにいるんですか。
団長:そうなんよ。俺は子供の頃から食べたことも見たこともなかったから、絶対もっと低いと思いよった。ひょっとしたら「新築の家の風呂でうどんを食べる」くらい、「言われてるけどほとんど誰もやってないぞ」みたいな話かと思いよったら、6割も「あん餅雑煮」だった。
ごん:でも逆に「あん餅雑煮」を食べてる人にして見れば、「あんこが入ってない雑煮を食べてる家が4割もあるのか」と思うかもしれませんね。
団長:ちなみに、市町別で行くと、あん餅雑煮率が一番高かったのが綾川町で、何と92%。サンプル数は少ないけど、13軒で聞いたら12軒が「あん餅雑煮」だった。続いて第2位が三木町の83%で、24軒中20軒が「あん餅雑煮」。
ごん:高松市南部の両サイドですか。
団長:そうなんよ。だからたぶん、香川の「あん餅雑煮」の本拠地は「綾川~三木ライン」あたりにあると睨んでいる。あとは大きく離されて、丸亀市(70%)、高松市(64%)、観音寺市(62%)、多度津町(62%)、まんのう町(61%)で、ここまでが平均以上。平均以下はさぬき市(59%)、三豊市(53%)、琴平町(53%)、東かがわ市(50%)、善通寺市(50%)で、50%を切っているのが宇多津町(44%)と坂出市(43%)。そして、小豆島がゼロという結果です。
ごん:小豆島は食文化がちょっと違うみたいですけど、宇多津と坂出が低いというのは何かありそうですね。
団長:あと、観音寺市と三豊市で「塩あんのあん餅雑煮を食べている」と答えた人が5人いました。
ごん:塩あん?
団長:塩味のあんこが入った餅や。子供の頃に食べた記憶があるけど、決して子供が喜ぶ味ではない(笑)。
ごん:今まで「あん餅雑煮」いうたら“香川のイロモノ”的な紹介しかなかったですけど、やっぱりちゃんと調べるといろんなことがわかってきますね。
団長:とりあえず香川の「あん餅雑煮」については、
●6割ぐらいの家で食べているらしい。
●綾川町~三木町あたりが本場らしい。
●西の方で「塩あん餅雑煮」があるらしい。
ということを覚えておくと、よそで知ったかぶりができます(笑)。
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