FM香川 CMコピー大賞2025

I LOVE RADIO 786

総評

今年は、なんと「昨年比・1.5倍」のたくさんのご応募を頂きました。ラジオCMの世界にチャレンジして下さったみなさま、本当にありがとうございました!

20秒で伝えられる文字数は、たった100文字程度。欲張らずにワンメッセージに絞ることが鉄則ですが、そのうえで、その企業・商品にしか言えないことを探して、コピーとして磨きあげることが何より大切です。今回のグランプリと準グランプリの作品は、それをみごとにクリアしていました。

エースワン「ジャンケン」篇は、審査員全員一致のグランプリ。『最初はグー、最後もグー』は、思いつきそうで、思いつかない秀逸なコピーです。こんな風に、みんなが知っている『最初はグー』という言葉から、みんなが気づかないアイディアを見つけ出したところが素晴らしく、コピーライターとしての資質を感じます。

準グランプリの丸善工業「帰り道」篇は、情景が思い浮かぶ、情感たっぷりの作品。「パパ見て!袋まで、可愛いよ!」というセリフに、娘のうれしい気持ちがあふれていて、思わず「わかる~」と声に出してしまいました。たった20秒で、聴く人の「思い出」スイッチを押して、共感を引き出してしまう。その手腕がみごとです。

この「CMコピー大賞」は、回を重ねるごとに、応募作品のレベルアップを感じます。
来年も、皆様のチャレンジを、審査員一同、心よりお待ちしています。

グランプリ

株式会社エースワン

「ジャンケン」篇ソフィーと双子の姉妹(東京都)作品を聞く
【子どもたち】 最初はグー、最後もグー
【母親】 何やってんの?変なジャンケンね
【子どもA】 おにぎり食べてんの
【子どもB】 エースワンのは最初から最後まで具があるの
【子どもたち】 ねー
【NA】 どこから食べても具がいっぱい
エースワンの具だくさん手作りおにぎり
【子どもたち&母親】 最初はグー、最後もグー
【 寸評 】
『最初はグー、最後もグー』というコピーに、思わず「その手があったか!」と拍手したくなりました。たとえばアサヒビール「おつかれ生です」のように、みんなが知っている言葉から、みんなが気づかない新しい言葉を紡ぎ出しているところに、コピーライターの資質を感じます。声に出して言ってみたくなるところも、このコピーの魅力です。

準グランプリ賞

丸善工業株式会社

『帰り道』篇村上 敬亮(東京都)作品を聞く
SE: 父と娘が歩く音
【父】 娘と買い物に出かけた帰り道。
手に持つ袋を何度も見つめながら、幸せそうだった。
【娘】 パパ見て!袋まで可愛いよ!
【父】 ほんとだな。
【父】 袋が、帰り道の雰囲気を作ってくれている。
【娘】 おうちまで、うれしいね。
【NA】 印刷で、心を動かす。丸善工業
【 寸評 】
丸善工業には、毎回、情感あふれる作品が集まります。袋はただの「入れ物」じゃない。美しい発色とデザインの袋は、帰り道を幸せにする力がある。そんなメッセージが、素直に伝わってくる作品です。このCMを聴いたリスナーそれぞれの心に、お父さんに買ってもらった宝物や、幸せな帰り道の風景が蘇ってくるはずです。

協賛社賞

株式会社朝日段ボール

『大人になったら』篇つべる(神奈川県)作品を聞く
【先生】 大人になったら何を作る人になりたい?
【男の子1】 かっこいいロボ!
【女の子】 綺麗なお花!
【男の子2】 何でも治せるお薬!
【先生】 ダイスケくんは?
【男の子3】 みんなが作ったものをぜーんぶ、安全に届ける段ボール!
【先生・子どもたち】 いいねえ
【NA】 想いの数だけ箱がある。朝日段ボール。
【 寸評 】
一口に段ボールといっても、用途にあわせてたくさんの種類があります。それは「中に入れるものを大切に運びたい」という想いの表れであることを、子供たちのほほえましい会話で伝えています。「想いの数だけ、箱がある」は、朝日段ボールの社員様にとって、「誇り」と「元気」をくれるコピーになるのではないでしょうか。

株式会社UMAYADO

『試飲は・・・』 篇阪田 夏芽(東京都)作品を聞く
【NA】 甘さスッキリ和三盆ラム。
馬宿蒸留所では、
その製造工程の見学、ラム酒の試飲などをお楽しみいただけます。
ただし車、自転車でお越しの方は試飲はご遠慮ください。
馬でお越しの方も同様です。
【男】 え、馬?
あ、軽車両だからか…
SE: ヒヒーン
【NA】 東かがわ 馬宿蒸留所
【 寸評 】
東かがわの馬宿蒸留所では和三盆ラムの試飲が楽しめます。車や自転車で来る人は試飲できないのは常識ですが、作者が目をつけたのは「馬」でした。実は「馬宿」は、源義経一行が源平合戦屋島の戦いに向けて馬を休めた場所なのだとか。「馬」は軽車両なので、和三盆ラムの試飲はできない、というオチ。義経もさぞ無念でしょう。
※オープン日は未定です

エビス紙料株式会社

『再生』篇秋沢 一文(神奈川県)作品を聞く
【女】 みてみて、めっちゃ再生されてるらしいよ。
【男】 え、人気の動画?
【女】 いや、この会社、
プラスチック、燃やせるゴミ、もちろん古紙も、
どんどんリサイクルしてるんだって。
【NA】 再生数、伸びてます。
紙のリサイクルだけじゃない。エビス紙料、紙に材料の料と書いて、
【男&女】 エビス紙料!
【 寸評 】
昭和36年創業。歴史あるエビス紙料を、今どきの若者の視点で紹介しているところがミソ。動画の再生数とリサイクルの再生をひっかけた「再生数、伸びてます!」というキャッチーなコピーが効いています。これからの時代、リサイクル事業の重要性は増すばかり。このCMは若者にエビス紙料を知ってもらうきっかけになると思います。

株式会社大河内工務店

『彼女の父』篇吉川 文義(東京都)作品を聞く
【彼氏】 娘さんと結婚させてください。新居は僕が建てます!
【父】 お前にはやれん!
【娘】 お父さ~ん・・・
【彼氏】 僕が大河内工務店の建築士でもですか!
【父】 何?!
じゃあ、デザイン、性能、自然素材、職人技にこだわった平屋がいいな~♪
【娘&彼氏】 お、お父さん・・・?
【NA】 家を建てる話をしましょう。大河内工務店
【 寸評 】
結婚の申し込みをする男性と、それを頑なに拒む父。よくある昭和のドラマのワンシーンかと思いきや、男性が大河内工務店の建築士だとわかると、父は手のひらを返したように、家づくりの夢を語り始めます。まさに、劇的ビフォー・アフター。大河内工務店が持つブランドパワーが、面白おかしく伝わる作品です。

柿茶本舗有限会社

『地元』篇清水 裕一朗(静岡県)作品を聞く
【夫】 あっ、このお茶、ほんのり甘くて美味しい。お義母さん、これなんですか?
【義母】 これはね、地元の人たちと収穫したお茶だから・・・ジモティーって言うの。
【妻】 ちょっとお母さん、嘘教えないで。柿茶って言うんだよ。
【義母】 地元のところは嘘じゃないわよ。
【NA】 地域の人たちとつくる、やさしいお茶。 柿茶本舗
【 寸評 】
CMのお題は、柿茶と地元のつながりを知ってもらうこと。「ジモティー」というセリフを、婿でも娘でもなく、義母に言わせたところがGOOD。若者コトバを使う「茶目っ気」だけでなく、「地元のところは嘘じゃない」という、1枚上手の返しに、さすがの「年の功」も感じられます。柿茶を囲んで、世代を超えて会話が弾む様子が想像できます。

有限会社黒川種苗園

「トラブル」篇土屋 憲佑(山梨県)作品を聞く
SE: ドドンッ!(大太鼓)
【応援団長】 ハナ~!!ヤサ~イ!!ナ~~~エッ!! それっ!!
【団員達】 花!野菜!ナ~エ!!花!野菜!ナ~エッ!!
【NA】 自社農場から直送の元気な苗たちが、あなたのガーデンライフを応援!
黒川種苗園
【応援団長】 もうすぐ出荷だぞ!
【団員達】 ワ~~イ!!
【 寸評 】
黒川種苗園の自慢は、自社農場から直送された、元気で良質な苗たち。その「元気」を「音」で伝えるために、応援団のエールを使ったCMです。ふつうのエールが始まるのかと思いきや、応援団長の声に続くのは、ちいさな苗たちの元気な声。苗たちの笑顔まで目に浮かぶような、楽しいCMになっています。

西村ジョイ株式会社

『ビフォーアフター』篇脇川 一也(愛知県)作品を聞く
【刑事】 警部。容疑者の顔写真です。
こちらが整形前。こちらが整形後。
【警部】 全然違うな。
【刑事】 次の2枚。
こちらが西村ジョイに行く前。
と、出てきた後。
【警部】 全然違うな?!
【NA】 行けばニコニコ。西村ジョイ
【 寸評 】
この作品を審査する時、コピーだけでは「なんの店だかわからない」という点が議論になりました。でもある審査員が「西村ジョイに行くと、ほんとにニコニコになるんです。行けばわかります!」と力説。営業担当者も「香川で西村ジョイを知らない人はいない」と太鼓判。地元に愛される店に説明はいらないのですね。私も勉強になりました。

農機具市番館(㈱イーグル)

『卒業式』篇杉山 聡(静岡県)作品を聞く
【生徒A】 一生懸命やった、
【全員】 六月の田植え!
【生徒B】 たくさん収穫した、
【全員】 十月の稲刈り。
【生徒C】 私たち農機具は今日卒業します。
【全員】 新しいオーナーのもとへ!
SE: パチパチパチ(拍手)
SE: 農機具が動く音
【NA】 農機具の旅立ちを応援します。
売るのも買うのも、農機具市番館
【 寸評 】
CMのお題は、農家の方が、愛着ある農機具を安心して買い取ってもらいたいと思えるコピー。そこで作者は、農機具を擬人化して「卒業式」の設定にあてはめました。よくある手法ではあるものの、「卒業して、新しいオーナーのもとへ旅立つ」というシチュエーションがみごとにハマっているので、審査員全員一致の協賛社賞となりました。

株式会社ハーモニー

『昔話』篇脇川 一也(愛知県)作品を聞く
【女児】 むかしむかし、歯医者はたいそう痛かったそうじゃ。
【翁】 はぁ。
【女児】 でも、今は・・・
健康な人が健康をキープするための、楽しい場所になったとさ。
めでたしめでたし。
【翁】 はぁ。
【NA】 あなたも「デンタルフィットネス」を!
【 寸評 】
歯から健康づくりをサポートする「デンタルフィットネス」。まだあまり知られていない新しい概念を伝えることは、なかなか難しいものです。そこで作者は「昔話」というフォーマットで、「古い概念」と「新しい概念」を対比させました。昔話の語り手が、お爺さんではなく、幼い子供であることがミソ。歯科業界の新時代を感じさせてくれます。

株式会社はなまる

『讃岐の響き』篇吉沢 惇(香川県)作品を聞く
【NA】 同じ讃岐でも、響きは違う。
伝統をこね、個性をのばし、革新を切り、多様性をすする。
【NA】 多彩な店、豊かな音。新しいはなまるへ。おいでまい!
【 寸評 】
新しい「はなまる」を表現するために順次改装している店舗は、コンセプトは違いますが、共通するのは讃岐の「魂」。このCMではその魂を「音」で表現しています。職人がこねる音、のばす音、切る音。客がすする音。「いらっしゃいませ」が響く店内の音。1つ1つの「音」がつながって、香川のうどん文化を作っていることが、理屈抜きに伝わってくる作品です。

平松工業株式会社

『温度が大事』篇米澤 和陽(長野県)作品を聞く
SE: シュポン、トクトクトク
【NA】 キンッキンに冷えたビール
【男性】 くぅ~っ!
SE: ズズズ
【NA】 あったかい味噌汁
【女性】 沁みる~・・・
【NA】 冷たいもの、熱いもの、その温度に価値がある。
私たちは、「熱絶縁工事」を通じ、
工場や発電所の生産性を高めています。
香川から世界へ 平松工業株式会社
【 寸評 】
平松工業は「熱絶縁」のエキスパートとして、「熱」という形のないものと向き合っています。その仕事の必要性・重要性をみごとに言い当てているのが「冷たいもの、熱いもの、その温度に価値がある」というコピーです。たった1行で、平松工業を知らないリスナーにも「確かにそうだよね」と共感させてしまう、まさにCMコピーのお手本です。

株式会社増田鐵工所

『何磨いてるの?』篇竹泉 維人(熊本県)作品を聞く
SE: 金属を磨く音
【男A】 先輩?何磨いてるんですか?
SE: 金属を磨く音
【男A】 先輩?オーイ、せんぱーい?
【男B】
【男A】 え?
【男B】 腕を磨いてるんだよ。
【NA】 高い技術力でチャレンジし続ける。金属加工の増田鐵工所
【 寸評 】
増田鐵工所が昭和初期から培ってきた技術力。それは職人たちのたゆみない研鑽から生まれます。その奥深い世界を、シンプルなコピーと、金属を磨く音だけで表現した潔い作品。たった20秒で、職人たちが積み重ねてきた日々、常に上を目指す心意気を感じさせてくれます。若い世代にも好感度の高いCMになっていると思います。

株式会社吉田石油店

『タイムスリップ』篇青山 雅士(東京都)作品を聞く
SE: タイムマシーンが開くプシューという音
【博士】 よーし、大正時代にタイムスリップ成功じゃ!
【助手】 博士、本当に大正ですか?あそこに吉田石油店がありますよ?
【博士】 ほ、ほんとじゃ!
【NA】 創業大正15年。100年の感謝をエネルギーに、次の100年へ、
吉田石油店
【 寸評 】
「創業100周年」の企業は、世の中にそうそうありません。だからこそ100年の価値を、リスナーにリアルに感じてもらいたい。そこで作者は「タイムスリップ」という手法を使いました。タイムマシーンで大正時代に行ってみたら、そこに吉田石油店があった。そんなに昔から続いてきたのか!と、素直に感嘆できる作品に仕上がっています。

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